理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄 講義スケジュール 1. 2. 3. 4. 5. 6. ことばとは何か-思考・表現・コミュニケーション 文化とは何か-社会・文化・場面 ことばと文化の関係-文化リテラシーとしての言 語習得 総合活動型日本語教育のめざすもの ことばと文化はなぜ統合されなければならないの か 言語教育のめざすもの 5.ことばと文化は,なぜ統合 されなければならないか 5.1. 言語教育/学習の目的 学習者の言語習得 学習者のコミュニケーション能力 の獲得 コミュニケーション(能力)とは? 他者認識 ↓ 感覚・感情 ↓ 思考(内言の調 整・確立) ↓ 表現(外言化) コミュニケーションとは,社会の中での他 者と関係を取り結ぶための協働的相互行 為。 どのような社会にいるかは,それぞれの 人一人一人の意識内に存在し,その意識 化された社会メンバーとしての他者と交流 することが,その人の〈社会化〉を意味す る。 コミュニケーション能力とは,他者との協 働的相互行為を自ら活性化させる能力。 〈文化〉とは? 社会における他者との協働的関係を取り結ぶための,個 人における認識の方法や様式を〈個の文化〉と呼ぶとする と,個人一人一人が,こうした〈個の文化〉を獲得する能力, つまり〈文化リテラシー〉を備えていると考えることができる。 その場合,人がコミュニケーション活動を通じて獲得しな ければならないのは,「文化論」としての集団社会に関す る情報ではなく,〈個の文化〉としての〈文化リテラシー〉で ある。 学習者の言語習得 → コミュニケーション能力の獲得 学習者の認識と発信意識の育成→学習者主 体の表現活動とその組織化 他者との信頼関係が取り結べた 学習者自身が自ら「考えていること」を発信し という達成感 ようとする行為を支援する 学習者自身の「考えていること」を引き出す 教材のヒエラルキィーの排除 個の自己実現 学習者と担当者あるいは学習者間の〈個の文化〉 の接触 学習者の言語習得 → コミュニケーション能力の獲得 以上は,言語教育の「教授法」(メソー ド)ではなく,言語教育/学習に関す る,担当者の基本的な立場・考え方 (アプローチ)である。 5-2. 初級文型・語彙習得段階ではこうし た学習は困難だとする考え方の問題性 以上の「考え方」を「方法」と捉えてしまう 担当者の側に文型・語彙が「教えるべきも の」として存在すると,必ず教授ヒエラルキ ィーが発生する 学習者の発信意欲を失わせる危険 5-2. 初級文型・語彙習得段階ではこうし た学習は困難だとする考え方の問題性 「文型・語彙」がないと対話ができないという発 想は,人間としての対等で協働的な相互関係 を放棄することにつながる危険がある 日本語教師の「猛獣使い」化 場面の中で,人は考えていることを必死に発信 しようとする,これをサポートするのが担当者の 仕事であるという視点の欠如 5-3. 言語教育における担当者の あり方 学習者は内容中心,担当者は言語・内容を結ぶ 思考表現中心 学習者は常に具体的な活動の内容に関心を持つ 担当者は,学習者の関心(具体的な活動とその内 容)に目を向けつつ,学習環境としての言語形式 (語彙・文型)に気を配る 5-3. 言語教育における担当者の あり方 目的(何をめざすか) 理念(どう考えるか) 学習者のコミュニケーション能力獲得 言語・文化の統合 方法論(どう組織するか) 学習者自身の「考えていること」を引き出す 5-3. 言語教育における担当者の あり方 方法(どう動かすか) 内容(何を扱うか) レポートを書く 動機/仮説・取材・結論の手順を踏む 言語(どのような語彙・文型を使うか) 場面に即した表現の運用
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