ちょっとヘンだぞ・変化している自然環境(第4回)

2 生態系の危機への対応
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エコロジカル・フットプリント
ミレニアム生態系評価
生物多様性条約
国内対策
生態系が提供しているサービス
生態系が提供しているサービス
① 供給サービス →食料、淡水、木材・繊維、
燃料など
② 調整サービス →気候調節、洪水調整、水
の浄化、疫病制御など
③ 文化的サービス →美しさを楽しむ、教育に
役立つなど
④ 基盤サービス →光合成、土壌の形成、窒
素やリンの循環など
各国のエコロジカル・フットプリント
世界のエコロジカル・フットプリント
の推移
日本のエコロジカル・フットプリント
の推移
ミレニアム生態系評価の特徴
• 1950~2000年までの50年間を振り返り、
2000~2050年のシナリオを描く
• 「人間の幸福や福利に、生物多様性や生態
系がどのように役だっているのか」という視点
でまとめられている
• わかったこと →地球の生態系は過去50年
で大きく劣化している
ミレニアム生態系評価の一例
(供給サービス)
サービス
区分
状態
備考
穀物
△
生産量が大幅に増加
家畜
△
生産量が大幅に増加
漁獲
▼
乱獲により生産量が減少
水産養殖
△
生産量が大幅に増加
野生の生物
▼
生産量が減少
木材
±
ある地域で森林が減少、他の地域で増加
綿、麻、絹
±
ある繊維で生産量が減少、他で増加
木質燃料(炭など)
▼
生産量が減少
遺伝資源
▼
絶滅と作物の遺伝資源消失による減少
自然薬品、
医薬品など
▼
絶滅と過度採取による減少
淡水
▼
飲用、工業用、灌漑用の非持続的な使用
食糧
繊維
ミレニアム生態系評価の一例
(調整サービス)
サービス
区分
大気質の調整
状態 備考
▼
大気の自浄能力が低下
グローバル
△
20世紀半ば以降は正味の炭素固定源
広域・地域的
▼
負の影響の方がまさる
水の調節
±
生態系の変化と場所によって異なる
土壌浸食の抑制
▼
土壌劣化が進む
水の浄化・廃棄
物処理
▼
水質が低下
疫病の予防
±
生態系の変化によって異なる
病害虫の抑制
▼
殺虫剤の使用により自然による抑制能力
が低下
花粉媒介
▼
花粉媒介者の数が世界的に減少
自然災害の防護
▼
自然緩衝地帯(湿地、マングロープ)が消
失
気候の調節
ミレニアム生態系評価の一例
(文化的サービス)
サービス
区分
状態
備考
精神的価値と
宗教的価値
▼
神聖な林地と生物種が急激に減少
審美的価値
▼
自然の土地が質的・量的に減少
レクリエーションと
エコツーリズム
±
利用可能な地域が多くなるが、多くのところで
質が低下
ミレニアム生態系評価の結論
• この先も生態系の喪失が加速していく。その
結果、生態系サービスの劣化が進む
→例
• 途上国では水不足が深刻に
• 途上国(貧困層)で食糧の入手がより困難に
• 地域レベルの在来種が減少し、生物多様性
が劣化
生態系の劣化を防ぐ方法を提示
• 確かな環境技術や順応的な環境管理
• 問題が顕在化する前の予防的な取り組み
• 社会経済の格差と貧困をなくすための力強い
行動
• 順応的な生態系管理を進めるための人材開
発
• ……
生物多様性の保全に向けて
• 生物多様性条約
• 国民行動リスト
キーワード→
• 「生物多様性」は生態系だけでなく、種や遺伝
子なども含むより大きな概念
地球サミットで生まれた双子の条約
地球サミット(国連環境開発会議)
1992年リオデジャネイロ
気候変動枠組条約 →1994年3月発効、
1997年温室効果ガスの削減目標を定め
た「京都議定書」を採択
生物多様性条約 →1993年12月発効、
日本を含む193ヶ国およびEUが加盟(20
10年8月現在)
生物多様性条約の目的
• 生物多様性の保全
• その構成要素の持続的な利用
• 遺伝資源の利用から生ずる利益の公平かつ
衡平な配分
• 対象とする議題;保護地域、侵略的外来種、
気候変動、ビジネス、……
生物多様性条約2010年目標に
関する指標の傾向
生物多様性に配慮した
経済社会への転換
• 「生物多様性」の普及啓発
• 企業による取組 →事業者の責務として、事
業活動が生物多様性に及ぼす影響の把握と
影響の低減等に配慮;生物多様性基本法(H
20)
• 家庭による取組 →国民行動リスト