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初級ミクロ経済学
-余剰分析の応用-
2014年11月17日
古川徹也
2014年11月17日
初級ミクロ経済学
1
余剰分析の応用
余剰分析によって,様々な政策の効果について
理解を深めることができる。
よく知られているのは(1)従量税(従価税)
の影響と死重損失,(2)貿易自由化の影響,
などである。
従量税については,弾力性との関係が面白い。
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従量税と従価税
従量税:「1単位あたり何円」という税金がか
かる。例:タバコ税,ガソリン税
従価税:「1円あたり何円」という税金がかか
る。結局これは「価格のx%」と言っているの
と同じだから日本の消費税と同じである。
税込価格を式であらわすと,
p T
従量税
(1  t) p
従価税
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たばこ税について
http://www.tioj.or.jp/o
thers/
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従量税を課した場合(1)
p
課税後
S1
S0
課税前
供給側に納税義務が
ある場合→価格に上
乗せされる
T
X
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従量税を課した場合(2)
p
S1
E1
p1
p0
E0
p1
「均衡」はE1に移動。買い
手の直面する価格は上昇す
るが,売り手が実際に受け
取る価格は下落する。
X1 X 0
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S0
X
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弾力性と従量税(1)
p
S1
E1
p1
p0
E0
S0
需要の価格弾力性が大きい
場合,p1はあまり上がらず,
p’1は大きく下落する。
p1
X1
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X0
X
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弾力性と従量税(2)
p
S1
E1
p1
p0
E0
p1
需要の価格弾力性が小さい
場合p1は大きく上昇するが,
p’1はあまり下がらない。
X 1X 0
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S0
X
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余剰の大きさの比較:課す前
p
S0
CS
CSとPSの合計がSS
E0
p0
PS
X0
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X
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余剰の大きさ:課した場合
p
S1
CS
p1
p0
p1
E1
E0
税収
S0
CSとPSに,税収を加えたも
のをSSと考える。
PS
X1 X 0
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X
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余剰の大きさ:死重損失
p
S1
E1
p1
p0
E0
p1
課税によって,左の赤い三
角形の分だけSSが減少する。
これを死重損失と呼ぶ。
X1 X 0
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S0
X
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余剰分析からわかること
税のない場合には「限界便益=限界費用」が成立
するので,余剰は最大化される。
しかし税が導入されると,「限界便益>限界費用
」となり,余剰は最大化されない。死重損失が生
まれる。
しかし税金は徴収せざるをえない。したがって,
「死重損失を最小化するような課税方法はないか
」というのが次の目的となる。
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弾力性と死重損失(1)
p
S1
S0
E1
p1
p0
E0
p1
X1
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X0
X
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弾力性と死重損失(2)
p
S1
S0
E1
p1
p0
E0
p1
X 1X 0
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X
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弾力性と死重損失
需要の価格弾力性の絶対値が小さい(需要曲線が
垂直に近い)ほうが,死重損失は小さくなる。
従価税が大きく(重く)なればなるほど死重損失
は大きくなるので,様々な財に従価税をかけるの
であれば,絶対値の小さい財に重く,大きい財に
軽くかけるべきである。
絶対値の小さい財は,必需品である傾向がある。
したがって,この論理だけでは「必需品に重く」
となって軽減税率の議論とは矛盾する。
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自由貿易の利益
自由貿易の利益については,以下の2つのケース
をモデルで考えることが多い。
(1)輸入を可能にしたことの効果
(2)関税を導入したことの効果
輸入を可能にすると,輸入がなかったときに比べ
消費者余剰が増大,生産者余剰が減少し,結果と
して社会余剰が増大する場合がある。
輸入品に関税をかけると,関税がないときに比べ
死重損失の分社会余剰が減少する。
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