大腸菌 と溶血性連鎖球菌のL型菌における 45℃ での増殖能とHSP60産生量について これまでの目的: Spirosomeのペリプラズム局在を調べる 大腸菌スフェロプラストを1.75% NaCl液に懸濁し、攪拌した 前後の菌体と攪拌上清中の蛋白を調べた。 A 1 kDa 9467- 4330- 2 3 B kDa 94 A, 3 1. 撹拌前のスフェロプラスト菌体 2. 撹拌後のスフェロプラスト菌体 3. 上清成分。 67 Spirosome 43 60kDa蛋白 B, 攪拌後の上清成分(A,3) 抗HSP60によるウエスタンブロッティング。 抗HSP60抗体 Ab2(Clone LK2) #MS-263-P1ABX (LVC, USA) HSP60もペリプラズムに局在するのか ペリプラズム局在ならL型菌ではどうなっているのか 野生型と L型菌の全菌体成分の比較(35℃、8時間培養) 1 2 E.coli の安定型 L型菌(EcL株) kDa 9467- 1 E.coli B (全菌体) 2 E.coli L型菌 (全菌体) 矢印 spirosome蛋白 43- 30- 矢印 60 kDa 蛋白 35℃ 培養のL型菌 EcL株には spirosome蛋 白と60 kDaに相当するバンドがなかった 45℃培養のL型菌ではHSP60が増加するか 45℃培養における L 型菌(EcL株)のHSP60 A 1 2 3 B 1 2 3 A, SDS-PAGE 1. 野生型(E.coli B)全菌体 kDa 94 94 2. 安定型 L 型菌全菌体 67 67 3. 培養上清 43 43 B, 抗HSP60モノクローナル抗 体によるウエスタンブロッティン グ。 1. 野生型 30 30 2. 安定型 L 型菌 3. 培養上清 矢印 60kDa蛋白 45℃培養の L型菌にもHSP60のバンドは見られなかった。 (L型菌はHSP60を産生せずに45℃で増殖できた) 大腸菌L型菌 NC7 株の45℃増殖能とHSP60産生量 (45℃、40℃、培養) 抗HSP60モノクローナル抗体によるウエスタンブロッティング 1 2 3 kDa 1 E.coli K-12 45℃培養(野生型) 67- 2 EcL株 45℃培養( L型菌 ) 3 NC7株 40℃培養( L型菌 ) 矢印 HSP60蛋白 K-12 EcL NC7 大腸菌L型菌 NC7株は45℃では増殖できなかったが、40℃で増 殖しHSP60を産生した 化膿レンサ球菌 L 型菌 124L株とL-C株の45℃増殖能 とHSP60産生量 (45℃、40℃、培養) 抗HSP60モノクローナル抗体によるウエスタンブロッティング 1 2 2 3 kDa 1 124 P 株 (野生型) 40℃培養 67- 2 124 L 株 ( L型菌 ) 40℃培養 3 L-C株 ( L型菌 ) 124P 124L 124L L-C 45℃培養 L型菌124 L株は45℃で増殖せず、40℃で増殖した菌でもHSP60 の産生は極めて少なかった(野生型の親株は産生した) L型菌 L-C株は45℃で増殖できHSP60も産生した L型菌の45℃での増殖能とHSP60の産生 45℃での増殖 HSP60の産生 EcL株 + - (Escherichia coli) NC7株 ー (40℃では+ ) + 化膿レンサ球菌 L-C株 + + (Streptococcus 124L株 ー (40℃では+ ) 大腸菌 - pyogenes ) (NC7、124LのHSP60は40℃での産生を示す) L型菌のHSP60産生量は45℃増殖能とは必ずしも相関しない (HSP60は熱ショックストレスに直接には関連していない) 大腸菌L型菌 EcL株と NC7株の形質の違い EcL株 親株に復帰 できない HSP60 - 10μm NC7株 細胞壁を作 り親株に復 帰できる HSP60 + 親株に復帰できない安定型L型菌はHSP60を産生しない NATURE Vol 392 1998 ま と め 1.大腸菌と化膿レンサ球菌のL型菌では菌 株により45℃での増殖能に差がみられた。 2.HSP60の産生量は45℃の増殖能と相関し なかった。 3.安定型L型菌は40℃~45℃で増殖する場 合でもHSP60の産生は極めて少なかった。 4.L型菌におけるHSP60の働きは主に細胞 壁合成に関与する可能性が示唆された。 5.L型菌の感染ではHSP60産生と非産生の 場合があることが示唆された。
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