H食肉センターにおける豚肝臓の細菌汚染の実態とその対策 [PDF

H 食肉セン
ンターに
における豚
豚肝臓の
の細菌汚
汚染の実態
態とその
の対策
村健太郎 平野
平
浩
○八島由美子 川村
はじめに
厚生
生労働省の「生
生食用食肉等
等の安全性
性確保につい
いて
(平成 10 年 9 月 11 日
日付生衛発 1358 号)」
の通知
知によると、生食用食肉(牛または馬
馬の肝臓また
たは肉であっ
って生食用食
食肉として販売する物
物
をいう)は糞便系大
大腸菌群(ffecal coliforrms)及びサ
サルモネラ属
属菌が陰性で
でなければならないと
されて
ている。
平成
成 15 年、H 食肉センタ
ターで処理さ
された豚肝臓
臓を、県内の
の飲食店が レバ刺しとして提供し
し
ンターで処理された肝
たことによる食中
中毒事件が発
発生した。こ
これをうけて
て当所では、H 食肉セン
肝
細菌汚染実態
態を把握する
るため、平成
成 17 年から
ら大腸菌群お
および大腸菌
菌について、平成 20 年
臓の細
を行った。その結果を
度から
らは調査項目
目にサルモネ
ネラ属菌と黄
黄色ブドウ球
球菌を追加し
し実態調査を
を
基に H 食肉センタ
ターに対し衛
衛生指導を行
行い若干の知見を得たでその概要
要を報告する
る。
材料と調査期間
H食
食肉センター
ーで処理され
れた肝臓
H17 年 6 月~平成
大腸
腸菌群および
び大腸菌: 266
2 検体(H
月
21 年 1 月)
サル
ルモネラ属菌
菌および黄色
色ブドウ球菌
菌:55 検体(平成 20 年 4 月~平成
成 21 年 1 月)
月
調査方
方法
肝臓
臓表面の各種
種細菌数の調
調査はフード
ドスタンプ(ニッスイ)
)を用いた。
。
は格子状の合成樹脂製
処理
理された肝臓
臓は冷蔵庫内
内でラックに
に入れて一時
時保管される
る。ラックは
製
品で概
概ね 2~3 段程度重ねて
段
て保管される
ることから、ドリップの
の影響を調べ
べるためラックの各段
段
の肝臓
臓表面の調査
査もあわせて
て実施した。
調査結
結果
① 平成
成 19 年は平
平成 18 年と
と比較しわず
ずかながら大
大腸菌数の減
減少が見られ
れた。また、データの
の
ばらつきも小さくなった。
(図1:H
H17 については例数が少ないため
め参考値)
② 大腸
にかけて菌数が増加し
腸菌群、大腸
腸菌、サルモネラ属菌
菌、黄色ブド
ドウ球菌は 8 月~10 月に
し
4月
月~7 月及び
び 11 月~1 月は減少傾
傾向にあった
た。また、サ
サルモネラ属
属菌と大腸菌はほぼ同
同
様の
の菌数で推移
移した。(図
図2)
③ 表1のとおり下段のラックにおいて
て菌数が増加
加する傾向に
にあった。
E.coli(cfu/cm2)
45
40
Coliform
35
E.coli
30
Salmonella spp.
s
25
S.aureus
20
15
10
5
0
4月 5月 6月 7月
7
8月 9月
月 10月11月1
12月 1月
図1
肝臓表面
面大腸菌数の
の推移
図2
月毎の各種細
月
細菌数の推移
推移(H20 年度)
年
表1
ラックの段毎における細菌数(cfu/cm2)
Coliform
E.coli
Salmonella
spp.
4.89
0.16
0.29
上段
8.6
0.70
0.89
中段
16.1
1.46
1.3
下段
S.aureus
2.20
2.70
15.5
衛生指導
調査結果を踏まえた衛生指導により下記のとおり施設の改善がおこなわれた。
平成 18 年度 :内臓室出入り口に踏み込み槽設置。
平成 19 年度 :内臓保管用冷蔵庫の内装補修。
スノコを木製から樹脂製に変更。
平成 20 年度 :肝臓洗浄用のシャワーが増設
肝臓処理専用の手洗い設備とナイフ消毒設備の増設。
内臓摘出用トレイの塩素消毒の頻度贈。
考察
平成 19 年度の豚肝臓における大腸菌数は、平成 18 年度と比較して減少したことから、本実
態調査の結果に基づいた衛生指導と施設改善は、豚肝臓の汚染レベルの低下に効果が認められ
たと考えられた。(平成 20 年に行った衛生指導による結果は現在集計中である。
)
平成 20 年度から調査を開始したサルモネラ菌属と黄色ブドウ球菌は、夏季に多く検出され
た。これらは食中毒原因菌であり、一度汚染した肝臓は洗浄しても菌数が減少しづらく食品の
安全性の観点から、さらなる衛生的な処理が求められる。
また、肝臓保管用ラックは重ねる毎にドリップの影響を受け、菌数が増加する傾向にあるこ
とから、ドリップによる相互汚染の防止が必要と考えられた。
今後、本調査を継続し汚染原因の分析を行うとともに、内臓処理室における作業動線だけで
なく内臓摘出時の処理方法や作業動線の検証を行った上で、指導方法の検討を重ねることが重
要である。