5. プライマリー・マーケットにおけるCBA 07/11/07 1 5.1 実際上の測定値と理論的な測定値 5.2 政策の結果の評価 5.3 投入要素の機会費用の測定 5.4 プロジェクトが政府の歳入に与える影響 07/11/07 2 プライマリー vs. セカンダリー 1. プライマリー・マーケット =ある政策の直接的な影響を受ける市場 2. セカンダリー・マーケット =ある政策の間接的な影響を受ける市場 (例)政策=新しい地下鉄網の建設 プライマリー=公共交通の市場、資材の市場 セカンダリー=ガソリン市場 07/11/07 3 5.1 実際上の測定値と理論的な測定値 本章 ⇒ 理論的に正確な測定値を求める方法 1. 完全競争市場 ⇒市場価格≒社会的限界便益(費用) 2. 外部性&不完全競争 ⇒ 市場価格≠社会的限界便益(費用) ⇒ 影の価格(shadow price) 3. 生命の価値? 07/11/07 4 5.2 政策の結果の評価 1. 効率的な市場における便益の評価 • 無料配布のケース • 民間の供給曲線を下方シフトさせるケース 2. 歪みのある市場における便益の評価 • 自然独占 • 外部性 07/11/07 5 復習 <社会的便益と社会的費用> 純歳出(net expenditure) =「歳出(expenditure)」-「歳入(revenue)」 純歳出の機会費用(opportunity cost) =「歳出の機会費用」-「歳入の機会費用」 便益 B (social benefit)= CS + PS 費用 C (social cost)=(政府の)純歳出(の機会費用) 純便益 NB (net social benefit)=便益 B -費用 C あるプロジェクトが「効率性」の観点から採択されるためには、 純便益が正、すなわち NB >0 (1-4) という条件が成立しなければならない。 07/11/07 6 <無料配布のケース> q=無料配布量; p1以上の価値を認める消費者のみに無料配布 p ΔCS= Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ+Ⅵ+Ⅶ ΔPS= -Ⅱ B= Ⅲ+Ⅳ+Ⅵ+Ⅶ S S+q Ⅰ p0 p1 Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ D q2 07/11/07 q0 q q1 Q 7 <自然独占のケース> • 現状は平均費用価格形成原理で価格設定されてい るとする。 • 限界費用価格形成原理で価格を設定するとともに、 その結果生ずる損失を補助金でカバーするという政 策を評価する場合のCBAについて検討する。 07/11/07 8 <自然独占のケース> 固定費用FCはサンクされていないものとする。 限界費用形成原理の下で生じる損失分を補助金でカバー ΔCS= Ⅰ+Ⅱ ΔPS= 0 B= Ⅰ+Ⅱ C= Ⅰ P FC=Ⅰ P0 = AC0 P1 = MC Ⅰ NB= Ⅱ C0=MC×Q0+FC FC= AC0×Q0 -MC×Q0 AC0=C0/Q0 AC Ⅱ D Q0 07/11/07 Q1 Q 9 <外部性のケース> • 現状は何ら政府の介入がないとする。 • ピグー税を導入するという政策を評価するCBAについて 検討する。 • この場合は、社会的余剰に負の外部性を金銭評価された ものが含まれることになる。 07/11/07 10 <外部性のケース> ピグー税を課すことで効率的な資源配分を実現する。 P MSC MPC+t P* MPC Pm t D Q* 07/11/07 Qm Q 11 <外部性のケース> ピグー税を課すことで効率的な資源配分を実現する。 ΔCS= -(Ⅰ+Ⅱ) ΔPS= -(Ⅳ+Ⅴ) 外部性のコストの減少分=Ⅱ+Ⅲ+Ⅴ B= Ⅲ-(Ⅰ+Ⅳ) NB=Ⅲ C= -(Ⅰ+Ⅳ) MSC P Ⅲ P* t Ⅰ Pm Ⅳ MPC Ⅱ Ⅴ D Q* 07/11/07 Qm Q 12 5.3 投入要素の機会費用の測定 歳出の機会費用 =歳出+投入要素市場で生じる社会的余剰の減少分 社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰 1. 効率的な市場における機会費用の測定 • 供給曲線が水平のケース • 供給曲線が右上りのケース 2. 非効率的な市場における機会費用の測定 • 失業者の雇用 07/11/07 13 <効率的な市場における機会費用の測定> 水平な供給曲線のケース 歳出=(歳出の)機会費用=Ⅰ+Ⅱ P D D+q P0 Ⅰ Ⅱ Q0 07/11/07 Q1 Q 14 <効率的な市場における機会費用の測定> 右上りの供給曲線のケース P D D+q S P1 P0 Q2 07/11/07 Q0 q Q1 Q 15 <効率的な市場における機会費用の測定> 右上りの供給曲線のケース 歳出= Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ+Ⅴ+Ⅵ 機会費用=Ⅱ+Ⅳ+Ⅴ+Ⅵ P D ΔPS=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ D+q S P1 Ⅰ P0 ΔCS= -(Ⅰ+Ⅱ) Ⅱ Ⅴ Ⅲ Ⅳ Ⅵ Q2 07/11/07 Q1 q Q 16 <失業者を雇用するケースにおける機会費用> Pm =下限賃金率 w D S Pm Ld0 07/11/07 Ls 失業者数 L 17 <失業者を雇用するケースにおける機会費用> Pm =下限賃金率 w D D+L’ S Pm Ld0 07/11/07 L d1 L’ L 18 <失業者を雇用するケースにおける機会費用> 歳出=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ+Ⅳ w D D+L’ S Pm Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ L0 07/11/07 L1 L’ L 19 <失業者を雇用するケースにおける機会費用> 機会費用の小さい労働者から雇用される場合 機会費用=Ⅲ+Ⅳ w D D+L’ S Pm Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ L0 07/11/07 L1 L’ L 20 <失業者を雇用するケースにおける機会費用> 就職を希望する労働者からランダムに雇用される場合 「供給曲線=直線」 雇用者1人当たりの機会費用=(Pm+Pr)/2 機会費用=L’(Pm+Pr)/2 w D D+L’ S Pm Pr L0 07/11/07 L1 L’ L 21 5.4 プロジェクトが政府の歳入に与える影響 限界超過税負担METB =marginal excess tax burden =追加的に1単位の税収を得るときに生じる 超過負担の増分 METBを考慮した場合の純歳出の機会費用 =(1+METB)純歳出 +投入要素市場で生じる社会的余剰の減少分 07/11/07 22 5.1 実際上の測定値と理論的な測定値 5.2 政策の結果の評価 5.3 投入要素の機会費用の測定 5.4 プロジェクトが政府の歳入に与える影響 07/11/07 23
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