外来植物の侵入・拡大モデル 都市社会工学科 保全生態学研究室 23117003 秋江 佳弘 目次 • • • • • • 背景・目的 調査対象・調査地 実験方法 結果 考察 課題 背景 • 現在, 日本には様々な特定外来種が非意図 的に侵入している. そのような現状のなかで 外来種の定着や分布拡大防止の取組が必 要とされている. 目的 • 定着や分布拡大防止のためには… 様々な防除方法があり, どの防除方法が費用対効果 が高いかを考える必要がある. 本研究では, ①外来種の拡大侵入モデルを作成し, 経年変化を把握する. ②モデルを使用し, 効率的な防除方法を検討する. 調査対象 • • • • スパルティナ・アルテルニフロラ(Spartina alterniflora) 自生地は北アメリカ 日本では, 愛知県と熊本県で確認されている. 汽水域に生育し, 多年生草本である. • • 根の断片は, 生存能力が あり, 生長できる. 一度形成された株は毎 年1m以上も成長し, 干潟 を草原に変えてしまう. 調査地 • 愛知県豊橋市梅田川 河口域周辺 梅田川河口域 実験方法 • モデルの作成 • セルオートマトンモデル(格子モデル) を使用. • 調査地点を31のセクションに区切って 作成した. • 基礎となるセルの大きさを2m四方とし た. • セル内に分布する量を, 侵入していな い場合は0(白色), スパルティナが約 1㎡占めている場合を1(黄緑色), 約4 ㎡占められた場合は2(緑色)で表現 することとした. classごとのスパルティナの応答の違い class0 0 強熱減量の違いにより土壌を四つのclassに分類 侵入できない class1 1 2 1 2 1 2 1 1 class2 1 1 1 2 1 class3 1 1 1 2 1 2 1 2 2 2 1 2 1 生育可能な比高と傾斜角 育成可能 育成可能 平成24年度の分布より, モデルも図の範囲を育成可能とした. 種子・断片の応答 • 種子・断片は他のセクションに移動可能. 移動:残留=9:1 • 潮汐により上流にも移動可能. 上流に移動:下流に移動=8:2 • セクション間の距離が遠いほど流失する種子・ 断片が減衰するモデルとした. section 1 2 3 4 5 6 7 8 9 移動元 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 1 0.075 0.030 0.024 0.021 0.020 0.019 0.014 0.018 0.019 0.020 0.021 0.023 0.027 0.035 0.065 0.264 0.291 0.042 2 3 0.175 0.085 0.140 0.026 0.018 0.022 0.016 0.015 0.014 0.012 0.013 0.011 0.010 0.008 0.014 0.010 0.014 0.011 0.015 0.012 0.016 0.013 0.019 0.017 0.023 0.220 0.039 0.265 0.299 0.194 0.181 0.061 0.114 0.053 0.298 0.106 4 5 0.048 0.017 0.032 0.009 0.203 0.053 0.135 0.035 0.023 0.031 0.016 0.014 0.010 0.010 0.014 0.014 0.016 0.019 0.019 0.238 0.023 0.183 0.267 0.152 0.245 0.070 0.124 0.045 0.044 0.017 0.024 0.028 0.043 6 0.056 0.113 0.203 0.035 0.019 0.027 0.293 0.379 0.200 0.109 0.069 7 0.035 0.049 0.156 0.057 0.286 0.122 0.037 0.041 0.029 8 0.072 0.143 0.371 0.714 0.193 0.065 0.080 9 0.092 0.184 0.477 0.183 0.392 0.120 0.133 0.093 移動先 10 11 0.036 0.050 0.159 0.152 0.018 0.031 0.161 0.085 0.046 0.029 0.054 0.109 0.195 0.359 0.022 0.018 0.026 0.038 0.279 0.126 0.075 0.053 12 0.008 0.041 0.082 0.147 0.015 0.011 0.012 0.016 0.022 0.074 0.176 0.081 0.052 0.020 13 0.026 0.014 0.080 0.205 0.192 0.020 0.014 0.012 0.016 0.019 0.030 0.043 0.211 0.107 0.038 0.021 0.024 0.037 14 0.058 0.039 0.243 0.285 0.020 0.017 0.014 0.012 0.017 0.019 0.023 0.028 0.044 0.353 0.098 0.046 0.048 0.081 15 0.126 0.208 0.271 0.018 0.015 0.014 0.013 0.011 0.015 0.016 0.018 0.020 0.025 0.039 0.289 0.091 0.079 0.157 16 0.163 0.201 0.024 0.017 0.015 0.013 0.012 0.010 0.013 0.013 0.014 0.015 0.017 0.022 0.036 0.169 0.106 0.278 17 0.145 0.179 0.017 0.014 0.012 0.011 0.011 0.008 0.010 0.011 0.011 0.012 0.013 0.016 0.020 0.037 0.166 0.024 18 19 梅田川 0.020 0.138 1.000 0.001 0.170 0.923 0.001 0.901 0.001 0.886 0.001 0.850 0.001 0.809 0.001 0.794 0.001 0.587 0.001 0.758 0.001 0.781 0.001 0.762 0.001 0.806 0.002 0.840 0.002 0.871 0.002 0.868 0.002 0.895 0.004 0.143 0.996 0.090 1.000 0.002 0.932 防除手法の有効性の検証 • これらの防除方法を, 組み合わせながら効率 的な防除方法を検証する. 防除方法 振舞い 土壌分類に関係なく、分布量が減少する 掘取った群落からの種子の発生はない (分布量2→分布量1、分布量1→分布量0) 参考資料での結果 年1回の掘取りでは侵入初期 掘取り 状態に戻るが、1回では完全に (年1回 10月) は取りきれない 年2回の刈取りを実施したとこ 刈取り 種子散布はなくなり、群落の拡大は減少する ろ、拡大範囲は50cm~90cm (年2回 5月10月) (class2→class1、class1→class3) 程度となった 設置されたシートの効果は大 シートを張ったエリアについては、種子の定着や 防草シート きく、多くの場合は分布の拡大 群落の拡大は起こらない を抑えられた 結果 2年目 1年目 0年目 3年目 7年目 6年目 5年目 4年目 初めて種子による定着が 確認される. 防除手法の検証 • 場所は港湾区域水路の 境川合流部とし, 初期値 を平成23年2月の航空 写真の判読によって得 られた分布範囲とした. • 今回, 掘り取りの労力を 40㎡とした. • 防除シートを張る面積は 80㎡とした. 防除できなかったもの 掘り取りのみ 刈取りのみ 防除できたもの 刈取りと掘り取りを組み合わせたも の 防除シートと掘り取りを組み合わせ たもの 5年目 掘り取りのみ 5年目 刈取りのみ 3年目 刈取りと掘り取り 3年目 防除シートと掘り取り 考察 3年目から種子での拡大が始まり, 他のセクションにもス パルティナの定着が始まる. そして5年目を過ぎると急速に拡大を始める. 初期の防除が重要である. 5年目を過ぎると人力で完全に根絶することは 困難である. 防除シートはシミュレーションを参考にし, 効率的にスパル ティナを防除可能な場所に貼ることが重要 掘り取りだけで根絶を目指そうとした場合, 刈取りや防除 シートを組み合わせたものに比べて, コストが大きくなる. シミュレーションを用いることで防除シート を効果的に貼る位置を特定することがで き, シートを張る面積を減らすことができる. 掘り取りを中心とし, 補助的な役割として 刈取りや防除シートを用いることによりコ ストを抑えることが可能となる. 今後の課題 • 現在, 愛知県では防除がほぼ完了しているが, 熊本 県ではほとんど進んでいない. • 熊本県での本格的な生態調査が重要である. • 作成したモデルを用い, 熊本県の拡大を予測する. • 愛知県は種子繁殖タイプだが, 熊本県は栄養繁殖タ イプ. ご清聴ありがとうございました • • • • • ab間の距離 dab = Σ(di) + da セクションbの幅 wb = ab / db セクションaからbへの移動に関する重みづけ の指標値 • Iab = ( 1 /( dab / Σ(dn) ))×wb • セクションaからbへの移動に関する重みづけ の係数 • Cab = Iab / Σ(In)
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