相対論的 重イオン衝突実験における 集団的運動の解析

相対論的重イオン衝突における
楕円形集団的運動の解析
第1学群 自然学類 970362
進藤 美紀
指導教官 : 三明 康郎, 江角 晋一
相対論的重イオン衝突実験とQGP
衝突
反応関与部
ビッグバン直後の宇宙創生初期状態
QGP(クオーク グルーオンプラズマ)が存在したと推定
加速器RHIC(200A GeV )で金原子核同士の
相対論的重イオン衝突実験
(反応中心部で2~6 GeV / fm3 )QGP生成の可能性
PHENIX実験
QGP生成のシグナルを検出する事を目指す
衝突後の生成ハドロン放出における
集団的運動(Flow)に対する影響
FlowとQGP
エネルギー密度上昇
QGP相
相転移
ハドロン相
潜熱にエネルギーを消費
エネルギー増分に対して圧力上昇は小さい
圧力勾配最大
の方向にFlow発生
Flowの大きさが減少するのでは?
ハドロン放出におけるElliptic Flow
衝突後放出されるハドロン粒子の
ビーム軸に対する方位角方向の偏り
方位角Φ方向に放出された粒子数をフーリエ展開
N (φ)  N0{1  2v1 cos(φ-Ψ0) 2v2 cos2(φ-Ψ0)}
Y
Y
0
X
Z
Beam軸方向
X
Elliptic Flow
研究の目的と流れ
目的
• Simulationによって v2 を評価
• PHENIX実験のデータから v2 を解析
流れ
SimulationによるData
PHENIX実験Data
1. Flattening Reaction plane
2.2粒子の間の方位角差分布
v2 を評価
• Beamエネルギーと v2の関係
• Multiplicity依存性
Reaction planeのFlatteningによるSimulation
PHENIX検出器PAD CHAMBER1のAcceptance
t an 2
cal
0

sin 2 I
cos 2 I
本来一様な分布になるはず
 0cal
 0flat
0
補
正
Acceptance
 c  ( An cos(2n 0cal )
n
 Bn sin(2n 0cal ))
An  
2
sin( 2n 0cal )
n
2
Bn 
cos( 2n 0cal )
n
 c
 0flat   0cal   c

 cと  0
cal
cal
0
の関係
Reaction planeのFlatteningによるSimulation結果
 0flat で再構成したφ分布
 0 で再構成した

分布
i 
flat
0
F ( x)  1  2v1 cos x  2v2 cos2 x

Reaction planeの分解能
cos 2( 0   0flat )  0.309
v2  0.1 解析
発生させた
v2 
v 2Fitting
Resolution
 0.102  0.01
v2 は、解析後の値に一致
2粒子の方位角差分布を用いるSimulation
PHENIX検出器PAD CHAMBER1のAcceptance
v1  0.1 v2  0.1
Real Event
  i  
A
Mixed Event
A
j
    
*
A
k
B
l
V2  0.100101
 0.40103
Real/Mixed

F ( x)  F0 (1  2V1 cos x  2V2 cos2x)
2粒子の方位角差を用いるSimulationの結果
V2
V2
と
v2 の関係
2
V2  v2
V2 を計算すれば、 v2 の値が得られる
v2
PHENIX検出器について
PAD CHAMBER1
位置検出器
Acceptanceは360°覆っていない
PHENIX実験DATA
解析に使用したDATA
Multiplicity
PHENIX実験DATAの解析結果
100<Multiplicity<200
PAD CHAMBER1で検出された荷電粒子
Reaction planeのFlatteningによる解析
Reaction plane分解能
解析
v2 
  0.220
v2Fitting

2
3
 6.5910  1.4 10
PHENIX実験DATAの解析結果
100<Multiplicity<200
PAD CHAMBER1で検出された荷電粒子
2粒子ペアの方位角差の分布による解析
V2  v
2
2
3
V2  1.8510
 1.2 104
2
v2  4.3010
3
 1.4 10
BeamエネルギーとElliptic Flow
Reaction Planeの
Flattening
2粒子の方位角差
2つの解析方法の違い
Reaction planeのFlatteningの解析による v2 の方が、
2粒子の方位角差の分布からの解析から得られたv2 より
大きい値になっている。
MultiplicityとElliptic Flow
Reaction planeのFlattening
2粒子の方位角差から解析
両解析方法とも、Multiplicityが大きくなると
Elliptic Flowの大きさは小さくなっている。
2解析方法による違い
Flow以外の効果に感度がある
Summary
SimulationによるDataの解析
PHENIX実験Dataの解析
1. Reaction planeのFlatteningによる解析法
2. 2粒子間の方位角差からの解析法
Simulation:両解析法とも一致
実験Data :両解析法に違い
Flow以外の物理に感度がある
<1の解析法>
Reaction Planeが決まるので、粒子識別可能
なら各粒子ごとのElliptic Flowの値 v2 が
得られて有効
<2の解析法>
Event Mixingという簡単な方法でAcceptance
の影響を取り除く事ができるため有効