九州工業大学学術機関リポジトリ Title Author(s) Issue Date URL 腐蝕の反応速度論的研究(第3報) 水酸化ナトリウム溶液 (1/(10)∼1/(100)N) によるAlの溶解について 乾, 忠孝; 細川, 邦典 1963-03-01T00:00:00Z http://hdl.handle.net/10228/3731 Rights Kyushu Institute of Technology Academic Repository 19 腐蝕の反応速度論的研究 (第3報) 水酸化ナトリウム轍十、1。)NによるA1の酬について 乾 忠孝、細川邦典 Study on Corrosion Based upon Theory of Reaction Velocity. (3)Th・Diss・1uti・n・f Al in Dilut・N・・H−aq(島一吉N) Tadayoshi INUI Kunisuke HOSOKAWA Result・f th・・tudy・n diss・lving reacti・n・f Al in dilut・N・・H一㎎(☆一、1。N) was as followes: (1)The dissolving reaction of Al in NaOH−aq follows the next equation・ Al+N・・H+H・・−N・Al・・+一号H・ (2)Th。 diss・1ving reacti・n・f Al in N・・H−aq(吉一晶N)i・th・÷・rder reaction. (3)The activation energy is about 13・7KCa1/mol, so that this is a diffusion reaction. (4)Formula of the reaction velocity is 」〔Aの..旦一328×、α,.S.e−L3欝1°4(V..−V)% dt dt て50×20×1.5mmとなし、表面を研磨紙にて研 1緒言 磨し、洗條、脱脂して使用した。 第1報(1)、第2報(2)に於てはAlが塩酸に溶 罰図 解する反応を調べ、反応次数を決定し・A1の寿命 一 を算定する方法について報告した。 7 一方Alは両性金属であるので、アルカリにも良 了 く溶解し、水素ガスを発生するので、水素ガス発 生量を測定して反応速度式をたて、反応次数を決 定し、水酸化ナトリウム水溶液中に於ける寿命を 弘 算出する実験式を求めたので、ここに報告する。 巫 実験方法 1.試 料 試験片のAlは純度99.8%以上で、これを切断し カロコ ー水 呑 1 20 2・実験装置 A1の水酸化ナトリウム溶液中に溶解する際の水 実験装置は第1図の如くにして、反応管に試料 素ガス発生量とA1の溶解量との関係を求めた。 を入れ発生するガスをガスビュレットに導きその すなわち脱脂洗條、乾燥した試料を実験前に秤量 体積を測定した。反応管の容量は約80ccである。 しておき、一定時間反応せしめてから取り出して 皿実輪過及び考察 同様に竺・乾燥してから稿し・その差をもっ てA1の溶解量とし、その時間内に発生した水素ガ 1・Alの溶解量と水素ガス発生量との関係 ス量を測定して対比したのが第1表である。 第1表 Alの溶解量と水素ガス発生量(40°C) 水酸化ナトリウ 1 . 「 ,{ …『…二 『一 ムの灘(N)戸5間(分)lAlの溶角靱(9) 理論H・発生量(cc)IH2発生量実測値(cc)i差(cc) _ _ −L _ 一一.−1 ._ L_一. __L−一一.一一一_ ‘ ミ 158.2 }4.5 % 1 ・2・ 1 ・.・228 153.7 i 「 180 ‘ 0.0870 乃5 108.3 112.7 1 4.4 66.0 69.4 3.4 31.3 32.1 i O.8 ↓≦∼5 100 1 0.0530 i ↓50 180 i O.0255 駈゜° P 6° α゜11° 1 13.7 15.0 1 ].3 1 水素ガス発生量は標準状態に換算した数値を示 ス発生量を測定してAlの溶解反応を知ることが した。理論水素ガス発生破というのはA1が水酸 できる。 化ナトリウムに溶解する際に次の式に従って溶解 2・A1と水酸化ナトリウムの反応の終点 するものとして計算したAlの溶解量に相当する Alが過剰にrr:在する場合に水酸化ナトリウム 水素の珪である。 の濃度がどの程度まで反応が継続するかを調べた Al+N・・ぽ・−N・Al・・+三H・(D;《㌘篇篭、㌶:;;撒:‡8《 第1表の如く水素ガスの発生量は理論値と測定 水素ガスの発生が全く止んだとみられるまでの水 値が略々一致しているので(D式は正しく、水素ガ 素ガス量を測定したものである。 第2表 Alと水酸化ナトリウム溶液の反応の終点(40°C) l i ‘ 水酸化ナトリウムの澱(N)、 理論H・発彊(cc) H・発糧矧‖値(cc) i差(cc) i : 一一一一一一一 一 _一 _L.__一_ 一 _.,_..___一一____._ 一_.一_ 「 協N I 195.3 196.8 1.5 万5N : 110.0 111.8 … 1.8 %5N ‘ 67.8 71.3 i 3.5 [ 336 1 0.4 %oN I 34.0 ‘ ’ 1 第2表において理論量は反応が(1)式に従って進 ガス量(c.c)をもってVOOとする。 行し、完全に消費されたものとして記算したもの 3.反応速度式の追求 である。第2表の如く水酸化ナトリウムが完全に (1)式の反応が定量的に進行し、水素ガスがA1の 消費されたとき反応は見かけ上終了する。従って 溶解量に比例して発生することが判ったので、 以後の実験において全水酸化ナトリウムが消費さ Alの溶解量を測定する代りに水素ガス発生量を れたとき水素ガスが出なくなったと考え、この点 測定すれば反応の進行状態を知ることができる。 を反応の終点とし、そのときまでに発生する水素 水素ガス発生量と経過時間との関係をグラフに書 21 @ V−一一;t・−F・tLピ(ピは醐蹴 ζ 掴鷲㌫㌻) しかるにt−・でV−・であるからピー・ 聡第2図の躯である・ ノか ll ’ 費しつくされるときになるから;ご一v・・で 12σ なければならない。 ロロ ・ ∴V−V・・一一書(・−kt)・ ・ c−kt一盟一であるから べひ zワ ゜声一”“加…⑳μ… ゚=伊 (dVdt)2−2k(V・・−V) 翻図では撫由に経過醐(分)、幽に水素ガ ∴」霊一一wV=▽一 ス発生量(…)をとった・速反式を求めるには (但しk⊆M一スE…) (3) 各瞬間における水素ガスの発生速度を求める必裏 この式は%次反応の式でありV。cはこの反応の がある・そのために臓の練1こ於て接線の勾配 最終水素ガス発生最である。 を求めるのであるが・此の燃糸愛かな噸では不 4.水酸化ナトリウムの初澱と速訓数 礁になる恐れがあるので・水素プゴス発屋を短 (めとの関係 時間(・−5分)1・齢行・・27(cc/一) 水峻化ナトリウムの初濃鋤・一↓4・・Nの範 dV dV .、 囲で実験を行った。これは%N以上の濃度だと反 をもって一dt一とし・経過時間と}(fモー『を1[騨由と 応が非、1ζに激しく、 Al表面から令属アルミニウ して曲線を描くと王3図の如くなる。 ムの離脱が起ってAlの表面積が大きくなること から、また %ooN以下になると反応が非常に遅 40°cで水酸化ナトリウムの初濃度を種々変化し たときの水素ガス発生速度と経過時間の関係は第 2 4図の如くである。 第4団初濃度批1・よ〉苦・麦化工(’悟温槽4〆り 血 ↑3 \ 一一→t(】) ρ \b 』 ゆ 第3図の如く直線になる。すなわち経過時間 (t)と水素ガス発生璽(V)との間には次の関 \\ふ }\㌃\ 係械立する・ ドさ叉\\. 雲一一kt+・(k・は醐(2) L証二二≧\\ ゆ わウ おロ りり きロ びり ②式を積分すれば 一一→亡(痢 22 速度恒数は第4図の勾配より求めることができ 第4表温度と速度恒数 る。40°cでの各濃度における速度恒数は第3表の 一 一 一一 如くである。 温 度 (。c) 40 45 50 第3表 水酸化ナトリウムの初濃度と 托5 “5 %o 60 1 速度恒数(40°c) 速度恒数(k2) 纏腹摺ウム% 55 0.195 0.279 0.452 0.49410.733 ↓4。。 6. 試料表面積と速度恒数 一_…_ 一定温度、…・定初濃度でAl試料表面積を種々 「 速1度’恒数 (k1) 0.194 0.196 0.200 0.180 0.195 1 変化したときの水素ガス発生速度と時間の関係は 第7図の如くである。第7図より速度恒数を求め 横軸に表面積、縦軸に速度恒数をとり、図示する 5・速度恒数と温度との関係 と第8図の如く原点を通る直線になり速度恒数 次に一定表面積の試料につき速度恒数と温度変 (k’)はAlの表面積に比例することが判る。 化の関係をくらべる。50°c及び60°cにおける種々 の搬の溶液中の水素ガス発生量と経鏑問の関 ゑ 第7迎獅喋 係は第5図・第6図の如くである・ 1・ :㌫ 第5図初濃鮫伯⇔嘉・変姐.(檸槽挑ク 7 晋 1‘ \ 。 . 5 シ ほ ふ ロ る ム ペ \\・レ ・N 、▲ . 4 _. 」一_ \\.’横・ ・1・ ・。 ・L∵、… \\’ 3 2 1 ’『弐s、 ㍉‥_∼ 無。・“ 、 一一一一一一一 (長ノ o ゆ む ヨロ ヰロ ぶロ もロ アゆ オロ リゆ 一一→t(猟④ ㍑7 /1 1,. \ 疏』 吉、初濃聴よ婿パ唖礁毫㌣胸 ゜2° い 」 午 む ゆ ヱロ ヨび ダぐ ぶか 一一.一〉菱櫛禎(ぐり \ 謝 、 ・、 ‘、 温度と速度恒数との間には次のArrheniusの 1 :_㍉ここごジ≧で縣式力・成立する筈である・ 一=〔〔∵一二漏 k・−x,−1告(・)E・は離化エネ・レギー、 第4、5、6図より各温度における速度恒数を xは常数 求めると第4表の如くである。(45。c、55。cにお 第4表の速度恒数の対数を縦軸に・それに対応 ける実験値省略) する絶対温度の逆数を横軸にとって図示すると第 9図の如くなる。 23 弟四:躍,速劇亘数 きの寿命は次の如くにして求めることができる。 すなわちアルミニウムが或る一定量溶解するまで 雲 の時間をもって寿命と考えればそれまでに発生す lii 譲ζ;濃鷲㍍㌫f:;㌫ 1、 ” 代入して計算すればVtを発生するまてに要する ゜主 時聞が分単位で求められる。この様にしてAlの oソ ゴ ロサ ぷトタぢ ぽゆ シぼノオ はロ φ ー一一→ヂ1。今 この実験により次の結論を得た。 第9図から明かな様に1/Tとlogk’×10とは直線 1. アルミニウムの水酸化ナトリウム溶液に溶 関係になりArrheniusの関係式を満足する。従 解する反応は次の式に従う。 って活性化エネルギー(EA)を求めると次の如 Al+NaOH+H20=NaAlO2+%H2 くなる。 2. アルミニウムが水酸化ナトリウム溶液に溶 EA=1.373×104Cal 解する反応は水酸化ナトリウムの濃度が%∼ 従って此の反応は常識的に考えて、拡散律速反 弱ooNにおいては%次反応である。 応であると推定せられる。 3. この反応の活性化エネルギーは13,730cal 8.反応速度式 あり、経験により拡散律速反応と推定でき 以上の実験よりこの溶解反応は%次反応で速度 る。 恒数(k’)は次の如く書くことができる。 4・水酸化ナトリウムの濃度が%∼↓400Nの範 _旦左 囲内に於ては次の速度式が成立する。 但㌘㌫㌶SはA1_、E。}よ 一鷲1〕・・翌一一28×・伊S 麗≧鷲輌ギー’R噸常慾 e−L3漂(V・・−V)% 第4表の数値を入れS=21.80cm2としてKの値 この式よりアルミニウムの寿命を求めることが できる。 を求めると次の如くなる。 K=3.28×107cm−%min−1 またAlの溶解速度は水素ガス発生速度に比例 するから(3)式は次の如く書き表わすことができ る。 −d 糟ン・c−.1署…−28×…s e−1梁1坦(V・・−V)%(5) (5)式は水酸化ナトリウムの初濃度が%∼托o《)N の範囲の任意の濃度の溶液50ccについて、任意の 温度、任意のA1の表面積について成立する式で ある。またVOoは水酸化ナトリウムの初濃度から 計算することができるから(5)式はVとtの関係を 示す式である。 9. 反応速度式から寿命を求める方法 アルミニウムが水酸化ナトリウムに溶解すると
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