静岡県に関する「クロスロード」 (火山・水害・地震編)の開発 総合科学専攻 3061-6023 日比 陽子 研究目的 現在の日本では、災害が多発しているのにも 関わらず防災教育があまり普及していない事 が、資料・文献によって明らかになっている。そ のため今日、様々な防災教育ゲームが開発され ている。 本研究では、防災教育に一番有効であると思う ゲーミングを探り、その開発を行い防災教育のさ らなる普及を試みる。 防災教育のツールとしてのゲーム 「防災教育にゲーミングを生かす」(2006)著者:吉川肇子より 正解を学ぶ「ぼうさいダズン」 火災が発生したときの対処行動を学ぶ。用意 された正解に出来るだけ近づくようにグルー プで時間をかけて話し合う。 動作を身につける「ぼうさいダック」 幼稚園児や小学生対象。さまざまなハザード への対応を学ぶ。 暗示される時間「大ナマジンすごろく」 「大ナマジンすごろく」は1年間12ヶ月のマスを 通過しながら各月で防災の備えが確認できるよ うに作成された「すごろく」である。 • 問題の共有と合意形成「クロスロード」 基本的に5人1組で実施。 カードに災害で起こるさまざまな ジレンマ状況が記されており、プ レーヤは「イエス」または「ノー」で 二者択一の選択肢のどちらかを 選ぶ。通常、多数派の意見であっ たプレーヤがポイントを獲得す る。ただし、グループの中でただ1 人別の意見だった場合は通常の 多数派ではなく、少数意見のプ レーヤがポイントを獲得する。 ゲームからどのように学ぶのか (小柳・2007)より 「ルールから学ぶ」 「他者との相互作用から学ぶ」 自分と異なる意見を聞くことで新しい見方や考え方に気がつ く、あるいは身に付く。 1人1人が見ている「社会的現実」は異なっているが、それを ゲーミングによって意識的に共有することが可能になる。 「ゲーム後に学ぶ」 ゲーミングの効果は短期的に測定できるものではなく、より長 期的な効果である。 「作って学ぶ」 既存のゲームを体験した後に「自分ならどういう内容にする か、どういうルールに変えるか」ということを考えることで、次 の段階の学びとなる。 クロスロードの利点 前述の「ルールから学ぶ」「他者との相互作用から学 ぶ」「ゲーム後に学ぶ」「作って学ぶ」の全ての要素 が含まれている ある程度ハイレベルな議論が展開されることが期待 でき、また、年代に合わせてレベルを変えることもで きる ジレンマの内容によって地域性が表現できる 例)東海地震の影響で富士山が爆発するとの噂が流 れてきた。あなたは付近から逃げますか?等 クロスロードは防災教育ゲームの普及に一番適している クロスロードの開発 東海版のクロスロード(小柳・2007)が開発さ れ静岡大学で実施された。 あなたは…静岡県知事…です. 警戒宣言発令.ところが地震が発生しないまま, 3日後に注意情報のレベルに戻った.新幹線と 高速道路が再開されたが,沿線住民から「恐ろし いので止めてほしい」との要望が殺到.JRや高 速道路会社と交渉するか? アンケート結果(「現代防災科学」受講生44名) 問2.ゲームは有意義だった と思いますか? 問1.ゲームは楽しかったですか? 有意義ではなかった 楽しくなかった 7% 2% どちらかといえば 楽しくなかった 楽しかった どちらかといえば 34% 楽しかった 11% 2% どちらかといえば有 意義ではなかった 57% 有意義だった 51% どちらかといえば 有意義だった 36% 問4.一つの問題に多様な考えがある と感じましたか? 問3.防災への理解は深まりましたか? 無回答 感じなかった 深まらなかった どちらかといえば 深まらなかった 14% どちらかといえ ば感じなかった 0% 39% どちらかといえば 深まった 47% 深まった どちらかといえば 感じた 2% 0% 7% 30% 感じた 61% 静岡版クロスロード (地震・水害・火山編)の開発 クロスロード小柳(2007)の実施の評価結果から 分かったクロスロード改善点 ◎自分の身近な事柄でないと興味が持てない。 ◎もう少し幅広く学べる内容にした方が良い。 身近に感じられる静岡県を限定にクロスロードを開発す る。 また、幅広く学べる内容と取り入れるため、近年頻発し ている集中豪雨などによる水害に関する内容・また、一 度発生すると悲惨な結果をまねかねない火山噴火に 関する内容を身近な富士山を想定して開発する。 研究方法 静岡で起こりうる地震・火山・水害に関する問 題を想定し、地域が直面している具体的な課 題をコンテンツとして取り上げ、問題を作成す る。 作成した問題でクロスロードを行う。 クロスロード実施後にアンケートを書いていた だき、それを集計し分析する。 集計後の結果から、対象者が深く悩んだジレ ンマや興味を持ったジレンマなどを選別して、 完成版を作成していく。 「クロスロードの水害版の内容例」 あなたは…要援護者…です. 水害時の高齢者の避難。台風の接近 のため静岡市内に非難警告が発令さ れた。しかし、相手は高齢者であ り、足が不自由なため避難途上がむ しろ心配。2階に住んでいるため床 下浸水はしないと思われる。待機し てもらう? YES (待機してもらう) NO (避難するのを手伝う) 今後 ◎クロスロードの開発内容をさらに考える。 ◎アンケートの内容を考え、実施する。
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