地震防災ゲーム 「クロスロード」 東海地震編の開発 小山研究室 3051-6012 小柳優里 研究目的 静岡県は、東海地震の被害を多大に受ける 可能性が極めて高い地域であるが、もう150 年以上も何も起きないまま過ぎており、県民 の危機管理・危機意識は低下し、地震に対す る知識にも乏しい。 そうした人々に正しい知識を身につけさせ、 危機意識を持ってもらうためには、ゲームの ような身近で気軽にできるものが適切である。 「クロスロード」とは? カードに書かれた災害で起こる 様々なジレンマに対し、YES/NO の選択肢のどちらかを選び、何故 その選択をしたのか5人1組のグ ループ内で討論することで、多様 な視点を共有することが可能とな るゲームである。 現在公表されているものには、地 方自治体の職員を主人公とした 「神戸編・一般編」、市民を主人公 とした「市民編」がある。 研究方法 東海地震で起こりうる問題を想定し、地域が 直面している具体的な課題をコンテンツとして 取り上げ、問題を作成する。 作成した問題でクロスロードを行う。 クロスロード実施後にアンケートを書いていた だき、それを集計し分析する。 集計後の結果から、対象者が深く悩んだジレ ンマや興味を持ったジレンマなどを選別して、 完成版を作成していく。 実施条件 10月21日に「現代科学実験」でクロスロードを実施 した。指導者は本研究者。対象者は総合科学専攻 1年生29名と4年生1名の計30名。 1,6,7~13番 の9問を実施。 11月8日に「現代防災科学」で クロスロードを実施した。受講生 44名の指導は本研究者。1~7番 の7問を実施。 同日、静岡大学全学防災訓練にて教育学部425名、 人文学部207名、農学部56名、理学部215名の計 903名に対しても行ったが実施した問題番号は不 明。 「クロスロード」(静大編6) あなたは…静岡県知事…です. 警戒宣言発令.ところが地震が発生 しないまま,3日後に注意情報のレ ベルに戻った.新幹線と高速道路が 再開されたが,沿線住民から「恐ろ しいので止めてほしい」との要望が 殺到.JRや高速道路会社と交渉す るか? YES (交渉する) NO (様子を見る) アンケート結果(「現代防災科学」受講生44名) 問1.ゲームは楽しかったですか? 問4.一つの問題に多様な考えがある と感じましたか? 楽しくなかった 7% 2% どちらかといえば 楽しくなかった 無回答 感じなかった 楽しかった 34% 57% どちらかといえば 楽しかった 問2.ゲームは有意義だった と思いますか? 有意義ではなかった 11% 2% どちらかといえば有 意義ではなかった どちらかといえば 有意義だった 36% 問3.防災への理解は深まりましたか? どちらかといえ ば感じなかった どちらかといえば 深まらなかった どちらかといえば 感じた 47% 61% 有意義だった 51% 問5.「正解」をYESかNOのどちらかに 確定する必要があると思いますか? 無回答 必要がある 5% 11% 0% 必要はない 39% どちらかといえば 深まった 感じた 30% 深まらなかった 14% 2% 0% 7% 27% 18% どちらかといえば 必要がある 深まった どちらかといえば 必要はない 39% 問6.他の参加者の「決定」および、その理由・根拠に関して、 あなたが最も強く「なるほど」と感じた問題はどれか? 6番の問題を選んだ人が1番多い。 「交通の要所なので経済的損失が大きい」「知事の役目を果た すため条件付きで交渉する」など色々な状況を考えながら議論 していた。条件に幅があるため、相手の意見の思わぬ発想に納 得することも多かったと思われる。 「現代科学実験」受講生30名 「現代防災科学」受講生44名 8 6 6 人 数4 19 20 15 4 3 3 10 3 7 6 2 2 1 1 5 1 0 2 2 1 2 3 4 5 1 0 1 4 6 7 8 9 問題番号 10 11 13 1 5 6 7 無し 結論 クロスロードは防災ゲームとして優れたツール であり、全般的に好評だった。 明確な正解を求める人や、二択では決められ ない人、そもそもこんな状況には自分はならな いと考える人も多く存在した。 自分にとって身近な問題や将来起こりうる問題 に興味をもつ人が多かった。
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