ゲーミングによる防災教育 3051-6012 小柳優里 防災教育の問題点とは • 「防災教育にゲーミングを生かす」(2006) 著者:吉川肇子 • 「座談会 防災教育を普及させるには」(2005) 出席者:岡敦子、諏訪清二、矢守克也、田和淳一 上記の資料から防災教育の問題点とは何か 探ってみた。 問題点 1. 学校における防災教育を考えても、具体的カリ キュラムは無く、指導経験のない教師がほとんど。 つまり、指導者が圧倒的に少ない。また、防災のプ ロと学習者をつなぐネットワークが未発達である。 2. 日本人の気質なのか、危機意識が薄く無関心な人 が多い。 (例)自分の身に何か起こっても行政や周りの人助け てくれると信じている。 「仕方がない」「嫌なことは忘れよう」という感情か ら、次への行動になかなか結びつかない。 防災教育の実際の取り組み • 高知県大津小学校の取り組み 小学6年生の総合学習の時間に1年間防災をテーマ にした授業を行う。外部から講師を招いて話を聞い たり、教師も生徒達と一緒に学ぶ姿勢をもつ。 <学習の流れ> 準備→テーマ決め→計画→情報収集→制作→ プレゼンテーション→凝縮ポートフォリオ→ポートフォリオ評価 • 兵庫県舞子高校の取り組み 環境防災科(防災を専門に勉強する科)を設立。防災 力を持った市民のリーダー育成を目的に据え、外部 講師や災害の体験者を積極的に招き授業を展開。 また、防災教育と他教科を融合させた授業も行う。 取り組み例の共通点 • • 外部から講師や、災害体験者、消防士、または企 業などを招き、授業を行っている。 課題解決型の学習である。 「課題設定→情報収集→発表→相互評価」の流れがある。 • 教師も生徒と共に学んでいる。 今後の防災教育に求められること • • • 防災教育を全国へ普及させること 防災学習のネットワークを確立すること 地域の知識を他の地域に活かせるように横のつ ながりを重視して具体的な知恵同士をつなぐ 防災教育のツールとしてのゲーム 「防災教育にゲーミングを生かす」(2006)著者:吉川肇子より • 正解を学ぶ「ぼうさいダズン」 火災が発生したときの対処行動を学ぶことを目的とし て作られた。用意された正解に出来るだけ近づくよう にグループで時間をかけて話し合うため、正しい対 処行動がその理由と共に記憶に残りやすい。 • 動作を身につける「ぼうさいダック」 幼稚園児や小学生対象。さまざまなハザードへの対 応を学ぶために作られた。カードの表のハザードイ ラストを見て、すばやく対応するポーズをとるゲーム。 答えはカードの裏側に動物のイラストで示されてい る。 • 暗示される時間「大ナマジンすごろく」 「家族で防災1年間:大ナマジンすごろく」は1年間12ヶ 月のマスを通過しながら各月で防災の備えが確認で きるように作成された「すごろく」である。マスはそれぞ れ季節のイベントを意識して割り当てられている。通 常のすごろくと違うのが、「大ナマジン」と命名 された キャラクターがプレーヤを追いかけてきて、追いつか れたら脱落せねばならない点である。この大ナマジン は、近い将来起こるだろう大型地震の時間的な切迫 感を表している。 大ナマジンすごろく→ • 問題の共有と合意形成「クロスロード」 机上訓練型のゲーム。基本的に5人1 組で実施。トランプ大のカードに災害で 起こるさまざまなジレンマ状況が記され ており、プレーヤは「イエス」または 「ノー」で二者択一の選択肢のどちらか を選ぶ。通常、多数派の意見であった プレーヤがポイントを獲得する。ただし、 グループの中でただ1人別の意見だっ た場合は通常の多数派ではなく、少数 意見のプレーヤがポイントを獲得する。 現在公表されているものは、地方自治 体の職員を主人公とし災害対応におけ るジレンマを問題としている「神戸編・ 一般編」、市民を主人公とし災害への 備えを議論できるようなジレンマを問題 としている「市民編」がある。 • どうしよう…? 災害への備えをどうするか、大地震が起こったらどう対応す るか。そこでは、私たちの日常生活では思いもよらないような “決断すべき場面”に遭遇する。 • 自分の意見のカードをふせたまま出します…。 • 一斉にカードをオープンします。 多数派に!ポイントをゲットできました。 でも… ゲームはここまで、さてココからは、 我に帰り、自分だったらどうするか? 考えてみてください。 http://www.s-coop.net/rune/bousai/crossroad_3.htmlより ゲームからどのように学ぶのか • 「ルールから学ぶ」 • 「他者との相互作用から学ぶ」 自分と異なる意見を聞くことで新しい見方や考え方に気がつ く、あるいは身に付く。 1人1人が見ている「社会的現実」は異なっているが、それを ゲーミングによって意識的に共有することが可能になる。 • 「ゲーム後に学ぶ」 ゲーミングの効果は短期的に測定できるものではなく、より長 期的な効果である。 • 「作って学ぶ」 概存のゲームを体験した後に「自分ならどういう内容にする か、どういうルールに変えるか」ということを考えることで、次 の段階の学びとなる。 ゲームの利点 「誰もが先生になる可能性を持つ」ということ →指導者不足の解消になる クロスロードの利点 • 前述の「ルールから学ぶ」「他者との相互作用 から学ぶ」「ゲーム後に学ぶ」「作って学ぶ」の 全ての要素が含まれている • ある程度ハイレベルな議論が展開されること が期待でき、また、年代に合わせてレベルを 変えることもできる • ジレンマの内容によって地域性が表現できる 例)東海地震の影響で富士山が爆発するとの 噂が流れてきた。あなたは付近から逃げます か?等 研究の目的 • 以上の資料を読み解くことで、現在の日本では災害 が多発しているにもかかわらず、防災教育があまり 普及しておらず、普及のためにはゲーミングが有効 な手段であることがわかった。 • しかし、現在開発されているゲームには、一般論が 適応され、地域性や当事者の背景が表に出ない傾 向がある。 • よって私は、「クロスロード・静大編」のような現役の 静大生や静大に関わる仕事をしている人々から見 た視点が活かせ、また地域性・個人的社会背景が 表面的に表されるようなゲームを作り、防災教育の 普及を目指したい。
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