火山防災用語に対する 住民と行政担当者の意識 30316017 小山研究室3年 柴田ふみ 目的 火山でおきる現象の時間・空間的性質は一般社会 の常識とかけ離れたものが多いため,専門家と住 民との間に大きな認識の開きがある.本研究は,こ のような問題意識に立ち,住民に正確な情報を伝 えるためにはどのような用語法・説明法が適切か を検討するため,火山の地元の行政担当者や住民 が火山防災用語に対してどのような意識や考えを 抱いているかを調査し、火山防災情報の向上に役 立てる。 方法 火山防災用語に関するアンケートを作成し、 静岡県内の住民、防災担当者を中心に調査 を実施、分析をする。 全問選択肢から回答を選ばせる方式でおこ なう。 現時点で2種類のアンケートを作成、実施し ている。 実施したアンケートの内容 アンケート① 噴火の際に火口から投げ出される岩石をさす用語 火口から高速で硫化する噴煙をさす用語 火山活動にともなう大規模な崩壊現象をさす用語 について「最も恐い感じのするもの」を4種類のなかから中 から選ばせた。 アンケート② 火山現象をさす用語11種類について。 火山防災用語の認知度 火山現象・事象の印象・イメージ 頻度 現在の調査状況 アンケート① 3県合同防災訓練(山梨県、静岡県、神奈川県)に 参加した県職員合計64人。 静岡県小山町付近の市町村に住んでいるまたは、 職場がある者合計274人 。 アンケート② 静岡県防災氏講座に参加した者 静岡会場合計78人。 浜松会場合計50人。 沼津会場合計45人。 アンケート①の結果と考察 1 噴火の際に火口から投げ出される岩石をさす用語について 最も恐いかんじがするものはどれか? 100% 80% 4 土石なだれ 3 岩屑なだれ 2 岩なだれ 1 山体崩壊 60% 40% 20% 0% 3 県合 小山町 全体( 336 ( 273 ) 訓練( ) 63) 同防災 2 火口から高速で硫化する噴煙をさす次の用語の中で最も恐 い感じのするものはどれか? 100% 80% 60% 40% 20% 0% 4 火山岩塊 3 火山れき 2 噴石 1 火山弾 3 県合 同防 小山 全体 町( 2 ( 33 6) 73) 災訓 練( 6 3) 3 火山活動にともなう大規模な崩壊現象をさす用語について最 も恐い感じのするものはどれか? 100% 4 火砕サージ 3 軽石流 2 熱雲 1 火砕流 80% 60% 40% 20% 0% 3 県合 小山 同防 災訓 町( 2 練( 6 3) 73) 全体 ( 33 6) 以上の結果から噴石と岩屑なだれの用語法は見直しが必要と考えられる。 アンケート②の結果と考察 4 山体崩壊 小さい どちらかといえば 小さい どちらかといえば 大きい 大きい 100% 80% 60% 6 岩屑なだれ 小さい どちらかといえば 小さい どちらかといえば 大きい 大きい 100% 80% 60% 40% 恐くない 40% 恐くない 20% どちらかといえば 恐くない どちらかといえば 恐い 恐い 20% どちらかといえば 恐くない どちらかといえば 恐い 恐い 0% 静岡 沼津 浜松 全体 会場 会場 ( 1 73 ( 7 8) ( 4 5) ( 5 0) ) 会場 0% 静岡 沼津 浜松 全体 会場 会場 ( 1 73 ( 7 8) ( 4 5) ( 5 0) ) 会場 4 山体崩壊では、恐さでは全体で49%の者が「恐い」、大きさでは全体で33%の者が 「大きい」と回答しており、それぞれの中で最も割合が大きかった。 6 岩屑なだれでは、「恐い」を回答した者は全体で24%、「大きい」を回答した者は全体 で13%であった。 以上の結果から山体崩壊のほうが恐い・大きいというイメージが強いことがわかった。 今後の予定 実施したアンケートの結果から、よりよいアン ケートを考案し、作成、実施する。 アンケート結果をもとに専門家と一般市民の 認識の格差を分析し、適切な用語法・説明 法を検討する。
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