利益と話し合いの有無が交渉、交渉 相手の評価に与える影響。 1613070080-6 鈴木周子 先行研究(1) 福野(1999)は利益と公平関心が交渉に影響を与えるかについて 実験を行った。 最終提案交渉を用い、受け手と分け手にわけ、受け手の交渉に対す る評価を行った。 最終提案交渉において、200円交渉は拒否される傾向が強かった。 不均等提案を拒否することによって 受け手に対する望ましくないイメージを払拭しようとした。 この交渉では提案を受容するか否かという課題が用いられた。 先行研究(2) 提案に対し、話し合いという他の手段で手続きの 公平を得ることが出来たのならば、 交渉自体に対する満足度と公平性に対する判断も変化するのでは・・・? 分け手の人物像に対する評価にも 影響が出るかも・・・? 目的 話し合いが被験者の不均等交渉の受容か拒否、 交渉に対する評価、分け手に対する評価に与える影響を調べる。 方法 実験参加者 大学生 9人(全て女性。平均年齢20.8歳) 要因 金額(公平・不公平)×2 4要因 話し合い(有り・無し)×2 実験デザイン 提案額(公平) 提案額(不公平) 交渉有り 交渉無し Ⅰ Ⅲ Ⅱ Ⅳ 手続き 参加者は実験協力者(サクラ)と二人一組になり個室へ入った。 実験者から2000円(500円×2・100円×10)を渡され、実験者がサクラを分け手、参加者を 受け手に指名した。 サクラは参加者に1000円または200円を渡すように提案した。 提案額に対しての話し合い 有り 提案額に対しての話し合い 無し 提案に対する公平性、満足度、相手を公平だと思ったか(相手に 対する公平性)、相手に対する好感度の評価(9段階)を行った。 仮説 交渉を決裂する 方法ではなく 話し合いによって手続きの公平性を得る。 仮説1 提案受容する率 話し合い無し<話し合い有り 被験者は手続きの公平性を重視する 仮説2 仮説3 交渉に対する公平性、満足度の判断 話し合い無し<話し合い有り 交渉相手(分け手)に対する公平性、満足度の判断 話し合い無し<話し合い有り 結果(1) 受容 拒否 表1 各条件において提案を受容、拒否をした人数。 話合い‐有 公平 不公平 2 1 1 0 話合い‐無 公平 不公平 3 0 0 2 ①話し合いが無い場合、提示された金額が公平であると受容 し、不公平な金額であると拒否した。 ②話し合いが有る場合、不公平であっても提案を受容した。 結果(2) 9 8 話有・公平 7 話有・不公平 6 話無・公平 5 話無・不公平 4 3 2 1 0 提案公平度 提案満足度 相手公平度 相手好感度 図1 各条件においての提案、相手に対する評価。 ①金額が公平である場合、話し合いの有無に関わらず、公平性の評価、満 足度に差はなかった。 ②金額が不公平である場合、話し合いが有る方が無い方よりも提案、相手に 対する公平性、満足度の評価が高くなった。 考察 話し合いが有る場合、不公平であっても提案を受容した。 仮説1は証明された。 参加者にサクラだと気づかれてしまい、話し合いだけが結果に 影響したとは言えない…? 話し合いが有る方が無い方に比べ、公平性、満足度など提案に 対する評価、交渉相手に対する評価は高かった。 仮説2、3は証明された。 上と同様に、話し合いだけが結果に 影響したとは言えない…? 課題 実験参加者が当初予定していた人数よりも少なくなってしまった。 実験協力者がサクラであることが気づかれたり、提示した金額が実験の 報酬と信じなかったりと、話し合い、金額の公平性だけでない要因が影響 してしまった。 実験協力者がサクラだと気づかない方法が必要。 交渉を拒否した理由がはっきりしない。 Pillutla&Murnighanは同一性が損傷されたためだと述べた。 しかし本実験では同一性保護のために拒否したかわからない。 質問紙の設問を増やし、理由を明らかにする。 引用文献 福野光輝 (1999). 交渉における自己利益と公平関心: 最終提案交渉パラダイムによる分析. 行動科学,第38 巻,第1・2号,pp29-38 福野光輝・大渕憲一 (2001). 最終提案交渉における受 け手の拒否行動の分析:同一性保護の観点から. 社会 心理学研究,第16巻第3号,pp184-192 福野光輝 (1997). 最終提案交渉における分配的公正と 対人的公正. 日本行動計量学会, 第25巻,pp184-187
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