子どもの発言が連鎖する授業をめざして

Ⅲ 研究の成果
・教師の教え込み中心の授業から日常的に話合いが導入
される授業に変わった。
・児童も話合いを肯定的に受け入れ,積極的に参加する
ようになった。
1 話合いのある授業への転換
普段の授業で話し合う活動を
よく行っている。
自分の考えを分かりやすく
説明しようとしていますか。
友達の考えに対して,質問したり
つけたしたりしていますか。
100.0
4.0
4.0
75.0
3.0
50.0
(%)
本校
県
4年
5年
6年
2.0
0.2アップ
0.2アップ
3.0
4月
[H26 県学力・学習状況調査]
9月
12月
2.0
研究主題
4月
9月
12月
子どもの発言が連鎖する授業をめざして
∼学び合う学習集団の育成∼
[学習アンケート(4点満点)]
Ⅰ 研究の概要
2 脱「話合いが成立しない授業」についての共通理解
・話合いが成立しない授業に共通する教師の進め方や考え方を整理して
思い込みや惰性からの脱却・改善について,方向性を確認できた。
予定調和型
・ゆさぶりのない発問
や助言
・予想していない発言
を吟味しない態度や
進め方
・子どもの発言を制御
しすぎる言葉かけ
Ⅳ 研究の課題
Ⅳ 研究の
研究の課題
平成26年度 研究のまとめ
八郎潟町立八郎潟小学校
ループ型
・解決した問題を繰り
返し考えさせる。
・同じ意見を何度も繰
り返し発言させる。
・部分を考えることと
全体を考えることを
何度も必要以上に行
き来する。
感想中心型
・どの意見も「いい
ね。」と均一に結論
付ける。
・印象や感想だけにと
どめてしまう。
・どんな場合でも全員
に意見をもとめる。
・討論ができる学習集団づくりの方向性と見通し,指導の系統性などに
ついて,明確化と一層の共通理解が必要である。
発言を連鎖させるために
・教師と児童の問答の質の向上
・児童が問いを発する授業展開の工夫
・グループと全体の話合いのつながりの明確化
学習集団をつくるために
・学習集団づくりの構造表(学ぶ八小学習集
団)の見直し
・リーダー育成の段階的な指導方法の提案
・話合いの様々なモデルの検討
1 主題設定の理由
* H25の研究の成果
1 教師の意識改革
・授業開始時刻と同時に学習がスタート
・学び合う場面の視点の明確化
2 子どもの論理的思考力・表現力の高まり
めざす子どもの姿
* H25の課題
1 解決活動の場面
・話し合いでの意見の深まりや高め合いが不十分
2 グループ活動
・リーダー不在や協同的に学習する意識に課題
3 教師が発問し児童が答える授業を脱却できない
子ども同士が相互に関わりながら,話合いによって思考を深め表現する子ども
2 研究の仮説
教師が「師問児答」から「児問児答」へ授業観を転換し,自ら学び,高め合おうという主体的な学習集団
をつくることによって発言が連鎖する授業が展開され,子どもたちの思考力や表現力が高まるであろう。
3 研究の重点
【国語科を核とした授業実践】
解決活動の学び合いの部分について,話合いを深める方法をさぐる
1 教材分析や指導の工夫
・発問と助言の工夫
・話し合う場の視点の明確化
研究のひろがりを目指して
・発言が連鎖する授業のイメージの共有化
・八小が目指す学習集団づくりの意味の整理
指導 ・ 助言
秋田大学教育文化学部 阿部 昇 教授 秋田市立秋田東小学校 川越 よし子 校長
秋田県教育庁中央教育事務所
京野 真樹 指導主事 小澤 進 指導主事 佐々木 斉 指導主事 小玉 克男 指導主事
研 究 同 人
六郷 博志 渡部 恵子 浅野 光子 湊 優子 山本みゆき 本間 章子 淡路 春美 茂内菜穂子
伊藤 晃 三浦千華子 高橋 良子 小澤美香子 引 禅 村井 隆幸 淡路 浩昭 高橋 典子
鳥井 京子 長澤 香 原田 美鈴 佐藤 貞男 吉川美喜子
2 話合いの指導の系統性や順序性の検討
・話合い方法の習得と活用
・学年に応じた話合いの段階
や順序
3 学習リーダーづくりの試行
・多様な話合いの場の設定
・学習リーダーの役割の検討
・学習集団にそった学習リーダーの指導
【学びを支える基盤づくり】
・児童理解と学びの質を高める学級・学年・異学年集団づくり
・基礎・基本の力をつける取組(チャレンジテスト,ミニテストの実施,家庭学習の奨励)
・学習習慣の形成(授業開始前準備の徹底,相手を意識した話し方や聞き方)
・言語環境の整備(スピーチタイムの実施,読書タイムの充実,全校国語コーナー(仮)の活用)
4 研究の検証
・授業における教師の見取り(子どもの発言の仕方と内容),子どものノート(自分の考えやふり返り)の記録
・諸調査(学力・学習状況調査等)や学習アンケート
・授業研究会
Ⅱ 研究の実際
学 ぶ 八 小 学 習 集 団
○学び合いや教師の助言によって到
達できるレベルを設定
話合いのチャンスを
見逃さない!
チャンスは,子ども
の発言の中に!!
伝え合い
中学年
高学年
話合い
討 論
自分の考えをもち,
話題に沿って伝え合う子ども
比べて聞いて考えをもち,
目的に応じて話し合う子ども
違いを大事にしながら考えを関係付け,
目的や場に応じて討論する子ども
・「わからない子ども」が「分か
らない」と言える。
・自分の考えを自信をもって話し
ている。
・聞きたいことを質問している。
・グループでの話合いでは,全員
が話題に沿って自分の考えを出
している。
・話合いの形に慣れている。
・「わからない子ども」が「○○が分から
ない」と言える。
・友達に付け足して,質問したり説明を加
えたりする。
・互いの発言の共通点や相違点を考えなが
ら聞き,理由をはっきりさせて自分の考
えを出している。
・グループの話合いと全体での話合いが絡
み合っている。(グループ⇔全体⇔個)
・話合いに慣れている。
・考えのもとになる根拠を話したり,考えのもとに
なる思いを理解しようとして真剣に聞いたりして
いる。
・共通点や相違点を大事にしながら多くの考えを関
連づけていく討論ができている。
・意見を出し合って一つにまとめていく協議ができ
ている。
・グループと全体が絡み合う目的に合った話合いに
慣れている。(グループ⇔全体⇔個)
・話合いがスムーズに進行している。
○対立する意見の拾い上げ
・観点や立場が違う意見が出た時
→整理して再提示
・出ない時→教師が違う考えを提示
○小数意見を大切にする。
・教師があえて味方に!
全員参加の話合いを!
○学習リーダーの活用
短時間のリーダー
会議で指示を徹底
◎児童相互の集団的な討論ができるようになる。
◎児問児答の場面が増え、子どもの発言が連鎖
するようになる。
・自主的に学習するグループにしようとする意欲と
自覚をもっている。
・「分からない子ども」への働きかけをしている。
「○○さんは,○○と言いたいのですね。」
「みんなの考えをまとめよう。」
「この問題を解決する一番良い方法は何ですか。」
「○班は,考えをまとめることは難しかったので,
でた意見をまとめて大事な部分だけ話します。」
伝え合い:自分の思いや考えを
話したり,友達の考
えを聞いて理解した
りする言語活動
話合い:互いの考えや思いを伝え合い集
団で課題を分析したり吟味した
りする言語活動
討論:互いに根拠のある意見を出し合い,真理
を追究する話合い
・学習内容をよく理解させリード
・話合いの方向転換等リーダーへ助言
・考えが思いつかないでいる子どもへ
の声かけを支援
リーダー会議
他 教 科 で の 実 践
国 語 の 実 践
(1年国語「ゆうだち」)
(3年国語「モチモチの木」)
(5年総合的な学習の時間「ふるさとの特産品を発信しよう」)
ねらい:時間を表す叙述に着目して,本当は仲直りしたい
二人の気持ちを想像することができる。
ねらい:山の神様の祭りの話を聞いて揺れ動く豆太の気持
ちを叙述から読み取ることができる。
ねらい:よりよい特産品を作るために観点に沿って話し合い,オリ
ジナルの特産品を一つに決めることができる。
①(主)なぜ気がつくと,
二人は,よりそっていた
のですか?
①(補)祭りの話を
聞いて,豆太は祭
りを見たかったの
か。それともあき
らめたのか。
②(補)なぜ,すぐではな
く , ゆ っ く り 近 づ い て
いったの?
③(補)ぴったりよりそう
と,どんな気持ちになる
のかな。
早くできた子どもは学習シート
を掲示し,互いに読み合えるコー
ナーでペア以外でも交流した。
②(主)豆太は,な
ぜ小さい声で泣き
そうに言ったので
すか。
みんなの考えを合わ
せて一つの意見にまと
めようとしている班
論理的に考えて,絞り込もうと
努力する。
A児
自分の考え
を相手が分か
るまで繰り返
し説明する班
多様な学び合い
みんなでもう一
度考えている班
学年全員で話合い
町への思いが強い
か弱いかを決めることは
できないと思います。
B児
選ばれた班には,
私たちの考えも合わせて実現
できるような特産品に
してほしいです。
(2年国語「スイミー」)
(4年国語「聞き取り名人になろう」)
(6年体育「めざせ!!跳び箱名人」)
ねらい:「目になろう」と言ったスイミーの気持ちを読み
取ることができる。
ねらい:二つのメモを比べ,特徴を話し合うことを通して,
メモの取り方の工夫を考えることができる。
ねらい:自分たちの課題を見付け,解決方法を考えて練習すること
ができる。
①(主)スイミーは,なぜ
目になったのかな。
②(補)目ってどんな役割
があるの?
ホワイトボードを使って
③(補)スイミーと赤い魚
は,どう違うの?
①(主)(教師がつくった
二つのメモを比較して)
どちらのメモがよいです
か。それは,なぜ?
②(補)二つのメモを見て
気付いたことは何?
多様な学び合い
課題を見付け,解決のための
練習方法の話合い
(1班)
課 題 跳ぶところを合わせたい。
話合い 踏み切りを合わせよう。
↓
合図を出し合おう。
グループ練習
グループの友達と教え合ったり励ま
し合ったりして,練習に取り組んだ。
自分たちの
集団演技の作戦タイム
付箋紙でグループ協議(20分)
・グループリーダーが中心
・授業参観の視点について
子どもの姿でも成果と
課題について話し合う。
発 展
成果
成果
教師
・自分から積極的に話し合い助け合おうと
するなどの意欲と自覚をもっている。
「○○さんから,どうぞ。」
「○○について話し合っていきましょう。」
「みんなの考えを整理してみましょう。
(同じ考えと違う考え)」
「○班は,△△と□□の考えが出ました。」
「○班は,□班の考えと違って(同じで)
△△です。」
授業研究会
児童
・教師の指示に沿って話合いを行
うなど与えられた仕事をしっか
りやろうという意欲と自覚をも
っている。
「ぼくから考えを言います。」
(自分からまず先に)
「○○さん,どうぞ。」
「○班の考えは,○○です。」
授業参観の視点
□子どもたちは,話合いによって思考を深め
ることができたか。
□話合いを深めるために発問や助言は,適切
であったか。
□子どもの実態(学習集団,学習リーダー)
を生かした学習の進め方であったか。
教師
↓
さらに深く読むことになり,
読む力がつく。
低学年
研究会の活性化
児童
悩ませる
ゆれさせる
学習リーダーの姿
○主発問1に補助発問5程度
・教師が気づかせたい叙述をはっき
りさせ,発問や助言を組み立てる。
・教材のあいまいなところで,子ど
もを立ち止まらせる。
話合い活動で見られる姿
・子どもがもっている力の少し上を
目指すという意識をもつ。
・個別指導が必要な子どもへは,事
前事後に必ずフォローする。
目指す
子ども像
目標設定をどこに?
異質の考えこそ
大切に!
課題
課題
児童の発言や変
容の分析がない
教師・児童の課
題を見付けられ
ない。
授業者と参観者
が共に学ぶこと
ができる。
グループからの協議報告(10分)
・各グループ3分
リーダー会議(5分)
○参加者:司会者,研究主任,グループリーダー
○全体協議で話し合うことを焦点化
全体協議
(15分)
・グループにより
評価が分かれた
時
・課題が明らかに
なったが,具体
策がない時
・少数意見だが全
体でもっと意見
がほしい時
今年度協議したこと(一部)
〇本時で教師が立ち止まる
べきところは,どこだっ
たか。
〇グループで何について話
し合わせたらよかったか。
〇話し合わせるために,ど
んな発問が想定されるか。
グループ協議の報告