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ブランディングによる
ミネラルウォーターの
味覚形成に関する研究
川本尚平
古賀修平
高渕なつこ
張替るり
1
目次
1・はじめに
1-1・課題の確認
1-2・研究目的
1-3・本研究の流れ
2・問題意識の明確化
4・仮説2および検証
4-1・先行研究2
4-2・仮説2
4-3・仮説のモデル化
4-4・仮説検証アンケート
4-5・アンケート結果
4-6・仮説2の検証結果
4-7・本研究の成果
2-1・現状分析
2-2・ミネラルウォーターについて
2-3・リサーチクエスチョン
5・インプリケーション
5-1・新規提案
3・仮説1および検証
5-2・モデルの実践的利用
3-1・先行研究1
5-3・新規提案の具体化
3-2・仮説1
5-4・リサーチクエスチョン3
3-3・仮説1の検証
5-5・今後の課題
3-4・考察
5-6・本研究から得られた示唆
3-5・リサーチクエスチョン2
2
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
1・はじめに
1-1・課題の確認
1-2・研究目的
1-3・本研究の流れ
3
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
1-1・課題の確認
課題:「不況に打ち勝つマーケティング」
<不況下の市場の特徴>
物が売れなくなり、特にコモディティ化商品に
おいては価格競争に陥りやすい。
結果、安売りのために企業は利益が見込めない。
製品・ブランド戦略 現代のマーケティング戦略①
青木幸弘・恩蔵直人
4
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
1-2・研究目的
商品の購買要因を解明し、コモディティ化商品に
おける価格以外の有効な差別化モデルの構築。
差別化が困難な商品の中で、
不況下でも売り上げを伸ばしている
「ミネラルウォーター」を取り上げる。
5
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
1-3・本研究の流れ
選好
味
商品イメージ
1.ミネラルウォーターの
価格以外の選好要因を探る
2.最大の選好要因である
「味」はどのように形成
されるかを探る
3.「味」を形成するブランド
イメージが、商品のどの
ようなイメージによるの
かを探る
選好の形成に関する
有効なブランディングの仕組みを解明
6
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
2・問題意識の明確化
2-1・現状分析
2-2・ミネラルウォーターについて
2-3・リサーチクエスチョン
7
問題意識の
明確化
はじめに
仮説1
仮説2
インプリ
2-1・現状分析:ミネラルウォーター市場
不況下でも市場は拡大傾向
2,500,000
本
ミネラルウォーター国内生産量および輸入量の推移
2,000,000
1,500,000
国内
系列1
1,000,000
系列2
輸入
500,000
2008
2006
2004
2002
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
1986
1984
1982
0
年
ミネラルウォーター協会HP http://minekyo.net/index.php
8
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
2-2-1・ミネラルウォーターの購買動機
ミネラルウォーターの購買基準
現在では非耐久消費財におい
て「価格」が重視されやすく
不況下では価格競争に
なりがちである。
差別化の手段として
「味」に注目する
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/12605/
9
ミネラルウォーターに関するアンケート
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
2-2-2・ミネラルウォーターの成分比較
単位はmg
ナトリウム
1.98
0.65
1.16
0.50
0.90
1.13
カルシウム
0.65
0.97
1.15
2.40
1.00
0.64
マグネシウム
0.37
0.15
0.8
7.80
0.29
0.54
カリウム
0.06
0.28
0.62
1.0
0.13
0.18
違いが分かりづらい!
リン 1
その他成分
硬度
83
30
硝酸塩 3.8
硫酸塩 10
炭酸水素塩
357
60
291
バナジ
ウム
5.5μg
36.9
38
10
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
2-3・リサーチクエスチョン
ミネラルウォーターは味の識別が困難
RQ:消費者はどのようにして「味」というもの
を識別しているのだろうか?
11
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3・仮説1及び検証
3-1・先行研究1
3-2・仮説1
3-3・仮説の検証
3-4・考察
3-5・リサーチクエスチョン2
12
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-1・先行研究1
ビールの
ブラインドテス
ト
コーラの
ブラインドテスト
ワインの
ブラインドテス
ト
ブランドイメージが味覚を形成し、
選好に影響する
Plassmann, H.「 Marketing actions can modulate neural
representations of experienced pleasantness 」 PNAS 2008
13
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-2・仮説1
ビールやワイン、コーラなど比較的味の
違いが明確な飲料においてさえも、
ブランドイメージが味を形成する
仮説1:味の識別が困難な
ミネラルウォーターにおいてもブランドイメージ
により明確な味の差が生じる
14
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-3-1・仮説検証:ブラインド・テスト
アンケート
各ブランドを見せ、実際に飲
んでもらった上でQ1、Q2を
答えてもらった後に
Q3でブラインドテストを行った
採取数:48名
(男25名・女23名)
平均年齢:20.7歳
消費量上位5つ
&いろはす
http://www.myvoice.co.jp/biz/
surveys/12605/
15
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-3-2・ブラインドテスト結果
Q1とQ2の相関係数&有意確率
Q1=Q2
Q1とQ3の相関係数&有意確率
Q1≠Q3
16
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-4・仮説1の検証結果
• Q1とQ2より「おいしい=好き」と言える
• Q1とQ3より「おいしいと思う≠実際においしい味」
仮説は実証された
商品の選好は形成されているものの、
実際は味をわかっていない
ミネラルウォーターにおいても
ブランドイメージにより
(味の)選好が形成される
17
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
3-5・リサーチクエスチョン2
RQ2:仮説1より、選好要因としての味の知覚はブラン
ドイメージで形成されると分かったが、ではそのブラ
ンドイメージとは具体的にどのようなものか?
ブランドイメージ
A
味に関する
イメージ
B
C
味の知覚
選好
18
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4・仮説2および検証
4-1・先行研究2
4-2・仮説2
4-3・仮説のモデル化
4-4・仮説検証アンケート
4-5・アンケート結果
4-6・仮説2の検証結果
4-7・本研究から得られる示唆
19
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-1-1・先行研究2
参考文献「人間は脳で食べている」(伏木亨)より
『おいしさは情報により形成される』
ブランドイメージ(「味」のイメージ)を
形成するのは外部情報
製品・ブランド戦略 現代のマーケティング戦略①
青木幸弘・恩蔵直人
20
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-1-2・ブランドイメージを創り出す情報
1. 一般的マーケティング活動(例:4P)
2. 二次連想(例:Mcdonalds→アメリカ的→陽気)
3. ブランド要素(例:ネーム、パッケージ、ロゴ)
消費者に与える影響が大きい
イメージコントロールの可能性が高い
製品・ブランド戦略 現代のマーケティング戦略①
青木幸弘・恩蔵直人
21
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-1-3・ブランド要素を用いて訴求する
イメージ
「味」を創り出すブランドイメージという前提のもと、
①直接味に関係するイメージ
当然「味」のイメージを形成する
と考えられる
②直接味に関係のないイメージ
の二つに分類した
22
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-2・仮説2
直接味に関係のない情報に基づくブランド
イメージも、味のイメージを形成している
23
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-3・仮説のモデル化
味
味と関連のない情報に基づく
ブランドイメージ X
選好
Y
Z
24
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-4-1・仮説2の検証:アンケート2
アンケート2は、1で研究対象としていた商品
の内、3つのミネラルウォーターに関して5段
階評価でアンケートをとる
25
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-4-2・アンケート概要
• 日時:2009年 11月10~20日
• 有効回答数:199 (男性112名・女性87名)
• 調査対象:早稲田大学学生
26
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-4-3・アンケート内容
①消費者属性:年齢、性別、出身地
②ミネラルウォーターの飲用頻度
③対象商品(南アルプスの天然水・Volvic・いろはす)
の飲用経験
④対象商品に対する好悪の程度
⑤味に関する調査
⑥商品イメージに関する調査
⑦ライフスタイルに関する調査
27
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-5-1・アンケート結果
e12
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e4
硬度が高い
e5
南アルプスの天然水
0.70
0.58
味
0.66
-0.21
e1
0.42
おしゃれ
ミネラル豊富
0.83
e6
体に良い
0.66
e7
体を綺麗に
0.72
e8
品質がよい
0.74
e9
信頼できる
0.62
0.26
選好
健康
0.35
0.84
安心・安全
GFI 0.890
AGFI 0.811
28
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
4-5-2・アンケート結果2
e12
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e4
e5
硬度が高い
0.66
0.63
インプリ
Volvic
味
0.84
-0.20
0.36
e1
0.33
おしゃれ
ミネラル豊富
0.46
e6
体に良い
0.60
e7
体を綺麗に
0.68
e8
品質がよい
0.79
e9
信頼できる
0.58
-0.20
0.45
選好
健康
0.37
0.87
安心・安全
GFI 0.884
AGFI 0.787
29
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-5-3・アンケート結果3
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e4
硬度が高い
e12
0.72
0.61
いろはす
味
-0.02
0.78
0.22
0.43
e1
おしゃれ
e5
ミネラル豊富
e6
体に良い
0.69
e7
体を綺麗に
0.76
e8
品質がよい
0.73
e9
信頼できる
0.49
0.59
0.25
健康
安心・安全
コストパフォーマンス
選好
GFI 0.901
AGFI 0.824
30
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-6・仮説2の検証結果
仮説:直接味に関係のない情報に基づくブラン
ドイメージも、味のイメージを形成している
仮説は実証された
ミネラルウォーターにおいては、
「安心安全」イメージが
「味」のイメージに影響した
31
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
4-7・本研究の成果
選好
味
飲みやすい
すっきり
安心安全
商品イメージ
ミネラル豊富
1.ミネラルウォーターの
価格以外の選好要因は「味」
2.「味」は「ブランドイメージ」に
より形成される
3.ミネラルウォーターの「味」を
形成するブランドイメージは、
味に関係ある「飲みやすい」
「すっきり」「ミネラル豊富」イ
メージと、関係ない「安心・安
全」であった
ミネラルウォーター選好の形成に関する
ブランディングの仕組みを解明した
32
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5・インプリケーション
5-1・新規提案
5-2・モデルの実践的利用
5-3・新規提案の具体化
5-4・リサーチクエスチョン3
5-5・今後の課題
33
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-1・新規提案
• マスマーケティングから • 特定のセグメントを狙っ
One to Oneマーケティングへ たミネラルウォーターは
現在存在していない
男性向けミネラルウォーターを提案
「新広告論」
亀井 昭宏・疋田 聰
34
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-2-1・モデルの実践的利用1
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e5
ミネラル豊富
e6
e7
e8
e9
e12
0.80
0.55
アルプス「男性」
味
0.43
0.36
1.19
おしゃれ
体に良い
0.62
体を綺麗に
0.78
1.14
0.66
品質がよい
信頼できる
健康
e1
-0.71
選好
安心・安全
0.62
e10
環境負荷が少ない
e11
社会貢献度が高い
0.64
思いやり
0.61
コストパフォーマンス
GFI 0.920
AGFI 0.855
35
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-2-2・モデルの実践的利用2
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e5
e6
e7
e8
e9
ミネラル豊富
e12
0.67
0.59
Volvic「男性」
味
0.45
0.32
0.92
おしゃれ
体に良い
体を綺麗に
0.71
0.67
品質がよい
0.82
信頼できる
0.59
e10
環境負荷が少ない
e11
社会貢献度が高い
e1
健康
0.34
0.77
-0.29
選好
安心・安全
思いやり
0.49
コストパフォーマンス
GFI 0.905
AGFI 0.832
36
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-2-3・モデルの実践的利用3
e12
0.84
e2
飲みやすい
e3
すっきり
e5
ミネラル豊富
いろはす「男性」
味
0.56
0.81
0.17
e1
0.31
おしゃれ
0.68
e6
体に良い
0.64
e7
体を綺麗に
0.72
e8
品質がよい
0.58
e9
信頼できる
0.50
健康
安心・安全
選好
GFI 0.904
AGFI 0.812
37
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-3・新規提案の具体化
差別化モデルに基づく検証から
• 「安心・安全」イメージ
• 「おしゃれ」イメージ
が、味のイメージ形成に効果がある
• 「飲みやすい」イメージ
が、「味」イメージの中でも選好に結びつきやすい
38
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-4・リサーチクエスチョン3
• ターゲットは「男性」、「大学生」
• 「飲みやすい」味のイメージが有効
• 「安心安全」「おしゃれ」イメージが有効
未解決!
RQ3:これら情報を踏まえ、
どのようなブランド要素が有効なのか?
39
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-5・今後の課題
• ブランド構築の方法
ブランド要素
ブランド知識
●ブランド認知
●ネーム
●ロゴとキャラクター
●スローガンとジングル
●パッケージ
☆認知の深さ
ブランド
エクイティ
☆認知の幅
●ブランドイメージ
☆強さ
☆好ましさ
☆ユニークさ
本研究
「ブランド要素の戦略論理」 恩蔵・亀井 2002
40
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-6-1・本研究から得られた示唆
• ミネラルウォーターの選
現状
分析
•
仮説
1
•
仮説
2
好要因=「味」
「味」はブランドイメージ
により形成される
「味」は、味に関係ある
&ない両方のブランドイ
メージにより形成される
98.9
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/12605/
ミネラルウォーターに関するアンケート
41
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-6-2・本研究から得られた示唆2
• コモディティ商品は基本
自己実現
価値
的に機能的価値しか求
められない
贅沢品
• しかし、その機能的価
情緒的価値
値(今回は「味」)にすら
ブランド戦略は有効だ
と分かった
選好の形成に関する 機能的価値
有効なブランディングの仕組みを解明できた
コモディティ商品
ブ
ラ
ン
ブ
デ
ラ
ィ
ン
ン
デ
グ
ィ
ン
グ
「消費者・コミュニケーション戦略―現代のマーケティング戦略〈4〉」
42
田中 洋・清水 聰
はじめに
問題意識の
明確化
仮説1
仮説2
インプリ
5-6-3・差別化モデルの適用可能性
e2
e3
最大購買要因
e1
e4
e5
e6
e7
要因A
選好
要因B
e8
e9
e10
要因C
43
参考文献
<文献>
・青木幸弘、恩蔵直人「製品・ブランド戦略 現代のマーケティング戦略①」有斐閣アルマ 2004
・田中 洋、清水 聰「消費者・コミュニケーション戦略 現代のマーケティング戦略④」有斐閣アルマ 2006
・伏木亨「人間は脳で食べている」ちくま新書 2005
・恩蔵直人、亀井昭宏「ブランド要素の戦略論理」早稲田大学出版部 2002
・亀井 昭宏、疋田 聰「新広告論」日経広告研究所 2005
・フィリップ・コトラー、ケビン・レーン ケラー「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」
Education Japan for JP 2008
Pearson
<論文>
Plassmann, H.「 Marketing actions can modulate neural representations of experienced
pleasantness 」 PNAS 2008
44
参考文献
<HP>
ミネラルウォーター協会HP
http://minekyo.net/index.php
マイボイスコム
http://www.myvoice.co.jp/
Volvic
http://www.volvic.co.jp/index.html
Evian
http://www.evian.co.jp/
CRYSTEL GEYSER
http://www.crystalgeyser.jp/
いろはす
http://i-lohas.jp/?cid=gadw_10153
南アルプスの天然水
http://www.suntory.co.jp/water/tennensui/
六甲のおいしい水
https://www.shop-house.com/rokko/
45
ご清聴
ありがとうございました
46