直流回路と交流回路

電気回路Ⅱ 演習 第9回
•端子条件を与えた場合の電圧,電流
•反射係数
•位相角
•演習問題1:スライド6
•演習問題2:スライド10
•演習問題3:スライド17
•演習問題4:スライド20
前回の講義で求めた一般解

一般解
導出の過程を含めて憶えること
V ( x)  A e x  B ex
I ( x)  1 A e x  B ex
Z 0
ただし , Z  R  jL  Y  G  jC ,
 2  ZY  R  jL G  jC 


Z 0  Z / Y  Z / 
これ以降は,端子に負荷をつけた場合の電圧,電流を求める.
(上記の式に条件を入力し,未知数A,Bを求める.)
分布定数回路のポイント
それ以外は余裕があれば随時憶えること
1.
2.
基本方程式より一般解の導出過程を憶える
一般解を憶える

1  x  x
V ( x)  A e x  B ex , I( x) 
Ae  Be

Z0
ただし , Z  R  jL  Y  G  jC ,
暗記する式は最小限に

 2  ZY  R  jL G  jC  Z 0  Z / Y  Z / 
3.
4.
5.
反射率の定義を憶える
B e x
B 2 x
m ( x)    x   e
Ae
A
後は問題にしたがって,条件を一般解に代入し,AとBを求める.
それをさらに一般解に代入する.(一部式変形)
終端に負荷をつける場合,負荷を原点として送端を正方向にす
る方法を憶える
端子条件を与えた場合の電圧,電流

以下の電源と線路の負荷を想定する.
Z s
電源部
E g ~
I(0)
I(x)
負荷部
V (0)
V (l )
始端
終端
x0

I(l )  IR
xl
Z R
V (l )  VR
未知数はA,Bの二つであるので,二つの条件が分かれば求めることが可
能.


1箇所の電流と電圧
2箇所の電流 または2箇所の電圧
これ以降の内容について
始端x=0の電圧と電流が分かる場合
1.

例題により解法を記述
任意の場所x=x1における電圧と電流が分かる場合
2.

演習問題1:1の例題を元に自分で求める
電源の起電力と内部インピーダンス,負荷を与えた場合
3.

例題と解を記述:自分で求めてみること
4. 終端の電圧と電流,負荷が分かる場合
4.

演習問題2
1.始端x=0の電圧と電流が分かる場合

始端x=0の電圧
V (0)と電流 I(0) とする.この場合の
V ( x)および I( x)を求めよ
解法)
まず一般解に代入する
V ( x)  A e x  B ex
V (0)  A  B

1  x  x
I( x) 
Ae  Be

Z0

I (0)  1 A  B
Z 0

A , B を求めて,改めて一般 解に代入する

1.始端x=0の電圧と電流が分かる場合
の続き




1 
1 
x
x

V ( x)  V (0) e  e  Z 0 I (0) ex  e x
2
2
1 1 
1
I( x)  
V (0) ex  e x  I(0) ex  e x
2 Z0
2

e x  e x
cosh(x) 
2

e x  e x
sinh(x) 
2


を用いて書き換えると
V ( x)  V (0) cosh(x)  Z 0 I(0) sinh(x)
1
I( x)   V (0) sinh(x)  I(0) cosh(x)
Z0
2. 任意の場所x=x1における電圧と電流が分かる場
合

問題1
x  x1における電圧 V ( x1 ),電流I( x1 )とする.
電圧V ( x),電流I( x)を求めよ.
さらに受端から xの距離において負荷側をみた
インピーダンス Z ( x)  V ( x) / I( x)を求めよ
問題1の続き
解答例)
1.まず,一般解に x  x1 , V ( x1 ),I( x1 )を代入する.
2.次に,その式より,A,Bを求める.
3.求めたA,Bを再び基本方程式に代入する.(電圧,電流)
4.求めた電圧,電流よりインピーダンスを求める

一般解 V ( x)  A e x  B ex
I ( x)  1 A e x  B ex 
Z 0
3. 電源の起電力と内部インピーダンス,負荷を与
えた場合

起電力E g , 内部インピーダンス Z s , 負荷Z Rとする.
電圧V ( x),電流I( x)を求めよ.
まず,電源部と負荷部の電圧と電流の関係は以下のように与えられる
V (0)  E g  Z s I(0), V (l )  Z R I(l )
同様に,一般解に代入してA,Bを求めればよい


 E ( Z  Z )e (l  x )  ( Z  Z )e  (l  x )
Z
0 g
R
0
R
0
V ( x) 
( Z  Z )(Z  Z )e l  ( Z  Z )(Z  Z )e  l
0
s

0
R
0
s
0
R

 ( Z  Z )e (l  x )  ( Z  Z )e  (l  x )
E
g
R
0
R
0
I( x) 
( Z 0  Z s )(Z 0  Z R )e l  ( Z 0  Z s )(Z 0  Z R )e  l
4. 終端の電圧と電流,負荷が分かる場合


この場合は少し手順が違うので注意すること
4.1 教科書の方法
 送端を原点として右方向を正とする代わりに,負荷を原点とし左へ正
の方向をとれば計算ができる.
 この場合,進行方向が反対になるので, x  x
 解くべき,一般解は


1   x   x
I( x) 
Ae  Be

Z0
また x  0において V (0)  VR , I(0)  IR , Z R  VR / IRとなる
V ( x)  A e x  B e  x
4. 問題2


I ( x)  1 A e x  B e  x
Z 0
また x  0において V (0)  VR , I(0)  IR , Z R  VR / IRとなる
V ( x)  A e x  B e  x
とした場合の V ( x), I( x)を求めよ
4.2別の解法

2.において「任意の場所x=x1における電圧と電流が分かる場合」について説
明した.これを用いて「終端の電圧,電流,負荷が分かる場合」を解く
「任意の場所x=x1における電圧と電流が分かる場合」
V ( x)  V ( x1 ) cosh ( x1  x)  Z 0 I( x1 ) sinh  ( x1  x)
1
I( x)  V ( x1 ) sinh  ( x1  x)  I( x1 ) cosh ( x1  x)
Z 0
「終端x=lにおける電圧と電流が分かる場合」
V ( x)  V (l ) cosh (l  x)  Z 0 I(l ) sinh  (l  x)
I ( x)  1 V (l ) sinh  (l  x)  I(l ) cosh (l  x)
Z 0
4.2 別の解法の続き
さらに,終端のインピーダンスと電圧,電流の関係から
I(l )  V (l ) / Z R



Z
したがって 
0

V ( x)  V (l )cosh  (l  x) 
sinh  (l  x)

ZR



I ( x)  I(l )cosh  (l  x)  Z R sinh  (l  x)
Z 0


負荷を原点とし左へ正の方向とすると,l-x→xとなる



Z
0


V ( x)  VR cosh  x 
sinh  x 

ZR



I ( x)  I cosh  x  Z R sinh  x 
R
Z 0


反射係数を用いた解法について
2.
反射係数の定義について
任意の点の反射係数が与えられた場合:演習問題3
3.
線路に負荷が与えられた場合:演習問題4
1.
反射係数m

進行波と反射波があることは先に説明した.
x
x



V ( x)  Ae  Be
進行波
(入射波)
後進波
(反射波)
電圧の反射係数
 x

Be
B 2 x
m ( x)    x   e
Ae
A
反射係数mの続き

電流は

1  x  x
I( x) 
Ae  Be

Z0
電流の反射係数は

x

 Be
 (x)


m



x
A e
反射係数mと
インピーダンスの関係
任意の点のインピーダンスは
 ( x) A e  B e
V

Z ( x) 
  x
Z
I ( x) A e  B e x 0
 x
 x
分母分子を
B e xで割ると
1  m ( x)


または Z ( x )  Z 0
1  m ( x)
Z ( x)  Z 0
m ( x) 
Z ( x)  Z 0
もし反射のない線路があった場合
B e x  0 つまり Z ( x)  Z となる
0
負荷は線路に整合して
いるという
任意の点の反射係数

任意点x=x1での反射係数. 任意点x=x1での電圧
 x1

Be
B 2 x1
 x1
 x1



V ( x1 )  Ae
 Be
m ( x1 )    x1   e
代入
Ae
A

 x1 
V ( x1 )  A e  x1 1  m
1

I( x1 )  A e  x1 1  m x1 
Z0
この式を式(A)(B)に代入すると
 ( x1  x )
 ( x1  x )



e

m
x
e
1
V ( x) 
V ( x1 )
1  m x1 
 ( x1  x )
 ( x1  x )



e

m
x
e
1
I( x) 
I( x1 )
 x1 
1 m
問題3 任意の点の反射係数が
与えられた場合

任意の点x=x1で,反射係数,電圧,電流が以下のように与えられてい
る.
V ( x1 )  A e x1  B e x1


I ( x )  A e  x1  B e x1 1
1
Z0

(式3-1)
(式3-2)
これらのパラメータを用いてxにおける電圧,電流を求めよ
B e x1
B 2 x1
m ( x1 )    x1   e
Ae
A
(式3-3)
問題3の続き
解答例)
手順


1.
2.
3.
4.
式3-3の反射率を式3-1にいれ,Bを消す.
この式よりAを求める.
このAを用いてBを求める.
求めたAとBを,一般解に代入する
線路に負荷が与えられた場合
(開放,整合,短絡について)


すでにある位置xにおける負荷が与えられた場合の反射係数は以下
の式で与えられることは説明した.
Z ( x)  Z 0
m ( x) 
Z ( x)  Z 0
終端の負荷として Z R が与えられた場合,その位置での反射率は
Z R  Z 0
m R 
Z R  Z 0

 R 1
負荷が開放されている場合, Z   となるので m
R

負荷が短絡されている場合, Z R  0 となるので m
 R  1

負荷が Z R  Z0
 R  0 ←無反射
となっている場合 m
(負荷は線路に整合している)
問題4 線路に負荷が与えられた場合

線路の終端に負荷 Z R が接続された場合,
電圧,電流を求めよ.
(ただし,負荷を原点として送端を正方向にすることとする)
~
V (x)
V (0)
終端
x=0
Z R
問題4の続き


解答例)
まず,一般解にx=l(終端のxの値)の場合に電圧が V (l )
 (l )  A el  B el (式4-1)
V
となると仮定する.
B el  Z R  Z 0 
また,反射率を m (l )  l  
 (式4-2)



Ae
 Z R  Z0 
式4-1と4-2よりAとBを求め,一般式に代入する.
その後,負荷を原点として送端を正方向にするため,式中
のl-xをxと書き改め,また VR  V (l ) ,m R  m (l ) とする.
問題4の続き

最終的な結果は



V
m
V

x
x
R
R R

V ( x) 
e 
e
R
R
1 m
1 m
となればよい.
またさらに書き改めて
 



Z
V
V
1
R
R
1  0 VR
VR ' 


Z R  Z 0 2  Z R 
1  m R
1
Z R  Z 0
同様に電流も求める.
教科書(13.43)

 Re2x
V ( x)  VR ' ex 1  m

位置角(1)

線路の任意の点から終端方向を見たインピーダンス Z (x)
と特性インピーダンス Z 0 より
 ( x) V ( x)
Z
tanh( x) 

Z 0
Z 0 I( x)
で定義される (x) を位置角と呼ぶ
線路の縦続接続を考える場合に重要となる
x
x
sinh
x
e

e
参考までに tanhx 
 x x
cosh x e  e
位置角(2)

問題1より始端x=x1の電圧 V ( x1 ) と電流 I( x1 ) とした場
合の電圧および電流は
V ( x)  V ( x1 ) cosh ( x1  x)  Z 0 I( x1 ) sinh  ( x1  x)
1
I( x)  V ( x1) sinh  ( x1  x)  I( x1 ) cosh ( x1  x)
Z 0

またx1の位置角について
V ( x1 )

tanh ( x1 ) 
Z 0 I( x1 )

これより任意の2点間の位置角の関係を導出する
位置角(3)
V ( x)
V ( x1 ) cosh  ( x1  x)  I( x1 ) sinh  ( x1  x)

tanh ( x) 



Z 0 I ( x)   1 


Z 0  V ( x1 ) sinh  ( x1  x)  I ( x1 ) cosh  ( x1  x) 

 Z0

V ( x1 ) cosh  ( x1  x)  Z 0 I( x1 ) sinh  ( x1  x)

V ( x1 ) sinh  ( x1  x)  Z 0 I( x1 ) cosh  ( x1  x)

自分で一度  tanh ( x1 ) cosh  ( x1  x)  sinh  ( x1  x)
解くこと
tanh( x ) sinh  ( x  x)  cosh  ( x  x)

1
1

1
 tanh  ( x1  x)  ( x1 )
したがって,任意の2点xとx1の
位相角の関係は
x  x1の場合に( x1 )となり
( x)  ( x1  x)  ( x1 )
位相が変化する
x1より xだけ右に行くと  xだけ
位置角(4)


位相角(2)より
V ( x)  V ( x1 ) cosh( x1  x)  Z0 I( x1 ) sinh ( x1  x)
よってx1における電圧との比は
V ( x)
I( x1 )

 cosh  ( x1  x)  Z 0
sinh  ( x1  x)


V ( x1 )
V ( x1 )
sinh  ( x1  x)
 cosh  ( x1  x) 
tanh( x1 )
位相角(3)より

sinh  ( x1  x)   ( x1 )
(x)

sinh( x )


1
したがって
V ( x) sinh( x)


V ( x ) sinh( x )
1
1
同様に
I( x) cosh( x)

I ( x ) cosh( x )
1
1
付録 位置角(3)の計算過程
tanh( x1 ) cosh  ( x1  x)  sinh  ( x1  x)

tanh ( x) 
tanh( x1 ) sinh  ( x1  x)  cosh  ( x1  x)
tanh( x1 )  tanh ( x1  x)

tanh( x ) tanh ( x  x)  1
1

1

e ( x1 )  e  ( x1 ) e ( x1  x )  e  ( x1  x )
  ( x1  x )  ( x1  x )
 ( x1 )
 ( x1 )
 e ( x )  e ( x )  (ex  x ) e( x  x )
e 1 e 1 e 1 e 1
1
 ( x1  x )
 ( x1 )
 ( x1 )  ( x1  x )
e

e
e
e
e

e
 ( x1 )



 
 



 e  ( x1 ) e ( x1  x )  e  ( x1  x )  e ( x1  x )  e  ( x1  x ) e ( x1 )  e  ( x1 )



 ( x1 )
 e  ( x1 ) e ( x1  x )  e  ( x1  x )  e ( x1 )  e  ( x1 ) e ( x1  x )  e  ( x1  x )




2 e ( x1 ) e ( x1  x )  e  ( x1 ) e  ( x1  x )
  ( x )  ( x  x )  ( x )  ( x  x )
2 e 1 e 1 e 1 e 1
 tanh  ( x  x)  ( x )

1
1






重要事項(位置角について)

これだけは憶えよう
 定義: 位置角 (x)
Z ( x) V ( x)

tanh ( x) 


Z0
Z 0 I( x)

任意の2点xとx1の位置角の関係
( x)  ( x1  x)  ( x1 )

任意の2点xとx1における位置角を用いた電圧と電
流の関係
V ( x) sinh( x)

V ( x1 ) sinh( x1 )
I( x) cosh( x)

I( x1 ) cosh( x1 )