マクロ経済学 II

マクロ経済学 II
第8章
久松佳彰
経済成長と経済発展
• 日本は、経済成長をしたから現在の経済大
国になった。
• 発展途上国にとっても、経済成長は重要。
• 経済成長はどうやって決まるか?
• 中心的なメカニズム: 貯蓄⇒投資⇒資本ス
トック増加=生産能力の増加→経済成長
• 国際投資や研究開発
経済成長の重要性
• インドのような国
– これまで経済成長が実現できなかったがゆえに、
貧困や飢餓などの問題に悩まされてきた。
• 日本人
– 戦後の高い成長のおかげで、日本人は豊かな生
活をおくることができている。
• だから、経済成長は大事!
動学的現象としての経済成長
• 静学と動学
– 特定の時点において、ある変数(例えばGDP)が
どのように決定されるのか、という視点から行なう
分析を静学的分析という。
– 写真のようなもの。
• 時間に伴う変化を分析するのが動学的分析
である。
• 映画のようなもの。
動学的現象としての経済成長
• 需要サイドよりも供給サイドを重視。
• 短期のマクロ経済変動の分析においては、
需要の変動が大きな影響を及ぼすが、長期
的な成長のトレンド(趨勢、傾向)を見るときに
は、供給サイドのほうが重要になると考えら
れている。
• 第2章を復習。
経済成長メカニズムの概略図
• 第2章(38頁)
• 経済成長率=技術進歩率
+資本分配率×資本増加率
+労働分配率×労働増加率
つまり、成長の要因は、①技術進歩、②資本増
加、③労働増加、となる。
経済成長と労働増加
• 労働増加
– 自然単位で測った労働
– 効率性単位で測った労働
• 同じ一人でも、片方は技能がある一人と、技
能が足りない一人では、違う。
– 自然単位で測れば、同じ一人。
– 効率性単位で測れば、技能をもったほうが、労働
が大きくなる。
– 教育の役割
貯蓄、投資、資本蓄積
• 図8-2
• 経済成長の
イメージ図
消費
資本
生産=所得
労働
貯蓄
資本
消費
投資
生産=所得
労働
貯蓄
投資
時間
貯蓄=投資
•
•
•
•
総生産=総需要(総支出)=消費+投資
<ただし、政府や海外は無しと単純化>
その一方、総所得=消費+貯蓄
しかし、三面等価の原則により、総生産=総
支出=総所得。
• よって、消費+投資=消費+貯蓄。
• よって、貯蓄=投資。
投資とは
• 投資とは、企業によって行なわれる設備投資
や在庫投資活動のことです。ストック量として
存在している設備や在庫のことを合わせて資
本(ストック)と呼ぶときに、投資は資本の増
加に等しくなる。
• 投資=フロー
• 資本=ストック
• よって、貯蓄=投資=資本の増加
貯蓄、投資、資本蓄積
• 図8-2
• 経済成長の
イメージ図
消費
資本
生産=所得
労働
貯蓄
資本
消費
投資
生産=所得
労働
貯蓄
投資
時間
ハロッド=ドーマーの成長モデル
• ハロッドもドーマーも経済学者の名前、二人
が別々に同じモデルを開発した。
• 平均貯蓄性向=貯蓄/GDP
• 資本係数=資本ストック/GDP
• 経済成長率=平均貯蓄性向/資本係数
– たくさん貯蓄する経済は成長が高い。
– 少ない資本ストックでたくさんGDPを生産できる
経済は成長が高い。
ハロッド=ドーマーの成長モデル
平均貯蓄性向(s) 
貯蓄( S) I

GDP(Y) Y
資本ストック ( K )
資本係数(i ) 
GDP(Y)
Yの変化分を Yとする。同様に、
Kの変化分を Kとする。
I
Y Y I Y I
Y
経済成長率 

 
 
Y
I Y K Y K
Y
K
K
 iであれば、
i
Y
Y
s
ゆえに、経済成長率 
i
新古典派の成長理論(ソロー・モデル)
• ケインジアン: 投資によって決まる資本量が
生産を規定する。=失業がある=労働は生
産の制約にならない。
• 新古典派
– ①失業は長期的にはないと主張。すなわち、労
働も生産の制約になる。
– ②資本と労働にはある程度の代替(置き換え)が
可能。=機械設備でやっている仕事を労働で置
き換えることもある程度まで可能。
新古典派の成長理論(ソロー・モデル)
Y
GDP
Y=F(K)
図8-3
限界生産性逓減:
資本ストックが大きくなれば、
GDPは大きくなるが、その伸びは
だんだん小さくなる。
K 資本ストック
Y
(1)は第1期を示し、(2)は第2期を示す。
労働は増加も減少もしない一定と仮定する。
Y(3)
Y(2)
S(3)
Y=F(K)
(1-s)Y
S(2)
Y(1)
S(1)
C(3)
C(2)
経済成長は無限に続く
のではなく、労働の制約
によって制限される。
C(1)
S(1)
K(1)
S(2)
K(2)
K(3)
K
成長の原動力
• 新古典派成長モデルの言っていること
– 資本蓄積によって資本の量が拡大するほど、収
穫逓減の法則が働いて、労働力がネックとなって
経済成長率はゼロに近づいていく。
• では、少子高齢化の日本は成長しないの?
– 効率性単位の労働は成長する可能性がある
• 教育の役割
– 技術進歩
飛ばします(185頁~196頁)
• 「有効労働の増加と資本蓄積」・「経済成長経
路の変化:高齢化が経済成長のもたらす効
果」・「研究開発投資と経済発展:内生的経済
成長モデル」は飛ばします。
• 試験範囲にはしません。
• でも、経済成長に関心のある人は読んでおい
てください。難しいですが重要です。
185頁~196頁で重要なこと
• 労働がn%で成長する新古典派成長モデル
においては、経済成長率は次第にn%に近づ
いていく。
• n%に経済成長率がなったとき、そのままの
状態が続き、これを定常状態と呼ぶ。
• 経済成長には技術革新が重要であり、研究
開発投資を行なうことで技術革新が起こりや
すくなる。
経済成長と国際投資
• 貯蓄の足りない発展途上国や新興工業国は
海外から借り入れをすることによって資本蓄
積を増やすことができる。
• 直接投資: 企業が直接乗り込んで工場運営
をしたり、現地企業を買収するやりかた。
• 間接投資: 企業や政府に資金を融通するや
りかた。
• 投資をする分だけ、先進国側は経常収支は
黒字になる(後に説明する)。
中間試験の範囲
• 今学期の授業でやったこと
– 特に、章末問題をよく復習すること!
• 前学期の授業でやったこと
– 特に、期末試験問題をよく復習すること!
• 1時間の試験
• 不正行為に紛らわしい行為は不正行為とみ
なし不可、そしてテストは中止。
• 持ち込み全て不可。
• 当日に座席表を配布する。