管理会計1 第三回 モデルとしての情報システム

 不確実性はいや(リスク回避)
 一方不確実性を気にしないひともいる(リスク中立)
 リスク中立な人 EU(X)=U((E(X))
 じゃあ、不確実性を減らさないとダメだよね。
 不確実性を減らすためには情報が必要
 情報構造をどうモデルかするか、それがど
れだけよいことかについて学ぶ
 注:今日使う「情報システム」という用語は情報技術の意味ではあ
りません。
 良いことと悪いこと、どちらかが起こるのはわかって
いる。
 でも、どっちが起こるかはわからない
 意思決定前にわかる可能性が上がるとしたら、その情
報にはどれだけの価値があるのか?
 このように意思決定前に何らかの情報を出してくれる
ものを情報システムと呼ぶ
 例:入社試験、業績評価、内部統制
 情報システムのない時の意
 情報システムのある時の意
1.
1.
2.
2.
思決定
思決定
3.
4.
情報システムの価値は
 原則:未来から(後ろ向きに)解いていく
1.
2.
 情報システムをS、その情報システムの下での
確実性等価をCE(X|S)とする。
 そのシステムから出るシグナルを(G, NG)、そ
のシグナルが出る確率をシグナルの下での確
実性等価をCE(X|G)、 CE(X|NG)とする
 それらのシグナルが出る確率をp(G), p(NG)と
する
 そのシグナルの下でaが出るという情報とbが
出るという情報を受け取る確率をp(a|G),
p(b|G), p(a|NG), p(b|NG)
1. EU(X|G)とEU(X|B)を求める(シグナルを受け取っ
た後は前回に勉強した方法と同じ)
2. 上記期待効用からそのシグナルの下での確実性等価
を求める
3. 双方の確実性等価の期待値を求める
 効用関数やくじ
 u(x)=x^(1/2)
 c:くじの価値(くじの値が出る前に決定)
 a=4, b=64, p=1-p=1/2
 情報システムからくじの実現値を事前にしれる
 その実現値をもとに取引可能
 要するに完全な後出しじゃんけんが出来るとした場合
 こんなシステムの価値は?
 情報システムによって、くじaかくじbのどち
らかが実現することがわかる
 くじaが実現すると、その時の価値は
。くじbが実
現するとその時の価値は 。
 情報システムが情報を明らかにする前の時点で考え
ると、価値4か価値64が
であることがわか
る。
 よって、情報が明らかになることがわかっているな
らば、情報が明らかになる前の時点でのこのくじの
価値は
 情報システムがない時点ではこのくじの価値
は
 情報システムがあれば、
 よって、情報システムがあれば
価値が上昇
している。
 つまり、事前になら
払って情報を得る価値
がある。
 これが情報システムの価値。
 効用関数やくじ
 u(x)=x^(1/2)
 a=4, b=64, p=1-p=1/2
 情報システム
 確率1/2でシグナルNG
 a の出る確率が70%、b の出る確率が30%
 1/2でシグナルG
 a の出る確率が30%、b の出る確率70%
 上記の情報が分かる情報システムの価値は?
 確率1/2でa の出る確率が70%、b の出る確率が30%
 同じく確率1/2でa の出る確率が30%、b の出る確率
70%
 情報が出る前の期待効用は
 情報システムの無いときのくじの価値
 ノイズのある情報システムのあるときのくじの価値
 完全な情報システムのあるときのくじの価値
 つまり、情報システムがあると、くじの価値が上がる
 この価値の上がった分が情報システムの価値
 効用関数やくじ
 u(x)=x^(1/2)
 a=4, b=64, p=1-p=1/2
 情報システム
 確率1/2でシグナルNGがでる。
 その下ではa の出る確率が90%、b の出る確率が10%
 同じく確率1/2でシグナルGがでる。
 その下ではa の出る確率が10%、b の出る確率90%
 上記の情報が分かる情報システムの価値は?
 情報システムの無いときのくじの価値
 ノイズが多い情報システムのあるときのくじの価値
 ノイズが少ない情報システムのあるときのくじの価値
 完全な情報システムのあるときのくじの価値
 つまり、
 入社試験
 業績評価
 内部統制
 情報構造を精緻にするコスト
 IT投資のコスト
 ITがあれば精緻にしやすいのか?
 人間の情報処理能力の限界
 何種類まで人間は情報を処理できるか
 7±2の短期記憶
1.
効用関数が u(x)=log100(x)、 a=1億円 , b=100万円 aの出る確
率が0.98、bの出る確率が0.02とする。
このくじの確実性等価を求めなさい。
2.
上記の状態である情報システムを入れる。このシステムでGの
シグナルが出る確率は98%。この下で、aの出る確率が0.999、
bの出る確率が0.001である。NGのシグナルが出るのは2%で
あるとする。その下でaの出る確率と、bの出る確率を求めた
うえでこのシステムの価値はいくらか求めなさい。
3.
(加点問題)企業にまつわる仕組みについて、情報システムと見
なせる仕組みを取り上げなさい。なぜそうみなせるか、何がシ
グナルなのかを明記した上で、具体的な数字を当てはめて、そ
のシステムの価値を求める問題を作って、解いて下さい。