スライド 1

バーチャルリアリティ・
制作
~第十三回~
Virtual Realityと人間,社会
バーチャルリアリティと人間
 リアリティ=脳内に発生する意識過程
感覚刺激の発生装置
発生した感覚刺激が人間にどのように感じられるか?
バーチャルリアリティと人間
 外部:刺激の物理量
 内部:意識の感覚量
バーチャルリアリティと人間
 物理量と感覚量の関係





1gと4.5gは識別可能
1000gと1003.5gは識別不可能
同じ3.5gの差でも基準点の取り方で弁別可能
性が決まる
「感覚の変化量は,物理的な刺激の変化量そ
のものに対応するのではなく,刺激の絶対量
との比で決まる」
「ウェーバー・フェヒナーの法則」
バーチャルリアリティと人間
 ウェーバー・フェヒナーの法則
刺激量:x
receptor
y  a log x  C
感覚量:y
a,Cは定数
伝えたい情報(刺激)をパラメータと機械的に
対応づけるだけでは良い結果は得られない
バーチャルリアリティと人間
 感覚器からの刺激量をどのようなプロセス
で認識しているのか?
 認識プロセスのどこにどんな刺激を与える
のか?
 感覚器入力だけでなく,脳内の高次過程ま
で考慮に入れる必要
バーチャルリアリティと人間
 視覚の認識プロセス
感覚器
(網膜)
光
脳幹
(視床)
大脳(後頭葉)
第
一
次
視
覚
野
第
二
次
視
覚
野
第
三
次
視
覚
野
第
四
次
視
覚
野
第
五
次
視
覚
野
 網膜

光→電気変換,対数圧縮,側抑制(空間微分とコントラスト強調)
 視床(LGN:Lateral Geniculate Nucleus,外側膝状体)

情報の整理(サッケード抑制:眼球の動きによる像のぶれ防止)
 大脳


第一次視覚野:直線位置選択性,第二次視覚野:傾き,運動方向選択性
第三次視覚野:長さ,角度選択性,第四次視覚野:色選択性
バーチャルリアリティと人間
 現実感を感じるのは脳内高次過程
 現実感を論じるためには,外界からの刺激だけで
なく内的感覚(メンタルプロセス)を知る必要がある
 脳内高次過程の外部からの計測は困難
 「感」をどう測定するか?



アンケートなどによる主観評価
心電図(RR間隔),脳波,脳誘発電位など生体信号の
計測
心理反応→表情変化→血流量変化→温度変化
=顔面皮膚温度変化による心理的変化の測定
バーチャルリアリティと人間
 内的刺激によるバーチャルリアリティ
 マトリックスの世界?
 感覚代行システム


他の感覚で代行する
神経系を直接電気刺激する
バーチャルリアリティと人間
 感覚代行システム:視覚の場合
 他の感覚で代行

触覚の利用
 文字・画像をスキャンしながら光電変換→皮膚
刺激
 舌触覚の利用



舌は触覚ニューロンが多い器官
導電性の唾液で覆われているため高効率
聴覚の利用
 超音波眼鏡による障害物認識
バーチャルリアリティと人間
 感覚代行システム(視覚の場合)
 神経系の直接電気刺激

1968:Brindley
 ヒトの大脳視覚野を直接刺激

1972:Donaldson
 180chの刺激電極を大脳視覚野へインプラント
 輝点は見えたが隣接点が融合して弁別困難
 感染症
バーチャルリアリティと人間
 直接電気刺激による視覚
代行システム
 TVカメラ+超音波距離セ
ンサの眼鏡
 コンピュータで距離算出と
ビデオ画像処理,電気刺
激のためのトリガーパルス
を発生
 視覚野表面のプラチナ電
極を電気刺激
the Dobelle Institute, USA
バーチャルリアリティと人間
 視覚の感覚代行システム
39歳,18年間失明の患者
CNN, 2002 June, Wired, 2002 Sep.
バーチャルリアリティと人間
 視覚の感覚代行システム
カメラから視覚野への入力信号
ここまでの行動を可能に
バーチャルリアリティと人間
 感覚代行システム(触覚の場合)
 感覚信号を伝える,神経系と完全に一体化した義手の開発




イタリア,ドイツ,スペイン,デンマークの共同研究
2007年(2年後)の人間への装着を目標として開発中
小さな電極と生体模倣技術を用いたセンサーによって神経系と
義手がつながれ,義手の位置や動きだけでなく外界からの刺激
まで感じることが可能になる。
今後の課題
 使用する素材が人体と適合するか
 患者の脳がどのように適応するか
 義手への電力供給はどうするか
バーチャルリアリティと人間
 触覚の代行システム
バーチャルリアリティと人間
 触覚の代行システム
バーチャルリアリティと人間
 触覚の代行システム
ここまで実現したそうです(2008.1.16)
ここまで実現したそうです(2008.4.17)
ロボット技術と人間の融合
 2006年放送の番組から紹介
バーチャルリアリティと社会
 VRとは,コンピュータに対する新しいメタファ(比喩)
 「脳」から「空間」へ
 「人工的な空間は,脳そのものの表現である」 養老孟司「唯脳論」
 「空間は外転した脳」 廣瀬通孝「空間型コンピュータ」
 VR技術の一般化とVR空間での活動の社会的意義の認知
 VR空間は「人工現実」ではなくもう一つの「現実」
 伝える手段としてのVR
 シンボルとしては伝えられない情報の伝達
 何が伝えられて何が伝えられないのか?
 Artificial IntelligenceからIntelligence Amplificationへ
 優れたアフォーダンス*環境を構成し知能を増幅する
*外部環境とのインタラクションにより動的に 知能を
得るという考え。J.J.Gibson( 知覚心理学者)
最後に
 Virtual Realityの提唱者J.Lanierの言葉


「もし人々がテレビに慣れると,社会性が欠如し責任感が希
薄になる。これは,テレビが一方向のメディアであり社会メディ
アではないからだ。VRもメディアの一つとして,社会メディアで
なければならない」
「VR技術が,物質世界からプラスのエネルギーを吸収すれば,
人々は楽しく美しい体験をすることが可能になる。しかし,もし
マイナスのエネルギーを吸収すると逆のことが発生する。」
期末テストについて
 形式は中間テストと同じです。
 出題範囲は以下の通り。



中間テスト以降からの出題です。
12回目と13回目の講義から3題
実習について,WTK,AVS,PHANToM,磁気
センサ・グローブ,HoloStageから各1題