メディア社会学 2016年5月31日(火) 1 1.4 社会(あるいは全体社会)相互の比較 • 1.3までの比較 – 集団ごと(属性ごとにグルーピングしたグループ ごと)の比較 • 1.4での比較 – 地域ごとの比較、時代ごとの比較等々 2 全体社会の相対化 • 「全体社会」 – 「国民国家の全成員のなす社会」「国民社会」 「国」 • 1.3までの方法 – 全体社会を部分社会に分節化 • 分節化 : 社会学の基本 • ただし1.4は、「全体社会」を一枚岩に • 現在の「全体社会」の相対化を目的とする 3 デュルケム(Emile Durkeim 1858-1917) • マックス・ウェーバーの同 時代人。 • ウェーバーと共に、社会 学の史上2大巨頭(3大 巨頭という場合、ジンメル が加わる) • 著作 – 『自殺論』 – 『社会学的方法の規準 』 ウィキペディアからの画像 4 デュルケム vs ウェーバー① • ウェーバーと対比される • ウェーバー ・・・ ドイツ人 • デュルケム ・・・ フランス人 • ウェーバー – 方法論的個人主義 • デュルケム – 方法論的集団(集合)主義の代表 5 デュルケム vs ウェーバー② • ウェーバー – プロテスタントの熱心な母の下で育つ – プの信仰 → 一人で神に近づく • デュルケム – 父親はユダヤ教のラビ(ただしフランスというカト リック文化圏の中で育つ)。 – カトリックの信仰 → 集団的に神に近づく – ユダヤ教 → カトリック → プロテスタントの順で、 集団の規範が緩くなる(とデュルケムは想定) 6 補足 • ラビ=キリスト時代のパリサイ人(律法主義 者) • キリストはパリサイ人の形式主義を嫌い、内 面の信仰を重んじ、パリサイ人らを批判し、処 刑された。 7 方法論的集団(集合)主義 • 社会を個人の意識(ウェーバー)や創意(タル ド)に還元する見方を批判 • 社会を堅固なモノのように捉えることを提唱 • 社会学の分析対象は「社会的事実」(モノの ように個人に先立つ存在・例えば「制度」のよ うに) 8 『社会学的方法の規準』(邦訳1978) (宮島喬訳・岩波文庫) p.54より • 「それら(社会的事実)は、行動、思考および 感覚の諸形式から成っていて、個人にたいし ては外在し、かつ個人のうえにいやおうなく影 響を課することのできる一種の強制力をもっ ている」 9 • →言語の運用、宗教儀礼を含め広い意味で の「制度」(社会の中でルールで営まれるもの ごと)は、われわれが生まれる前からあるし(「 外在し」)、われわれはそれに強く影響され、( 部分的追加や削除や修正はあるにせよ)、わ れわれには動かしがたい「モノのような存在」 としてわれわれにたちはだかる。 • 宗教上の規範は冒しがたい聖性を帯びるが 、それがここでいう「制度」の典型であろう。 10 • (デュルケムにおいて)「神は社会の象徴なの である」(ランドル・コリンズ『脱常識の社会学 第二版』岩波現代文庫、井上俊ほか訳、邦訳 2013年、p.52) 11 先の引用部分に続けて個人主義的な方 法を批判(『社会学的方法の規準』p.55) • 「たしかに、これらの現象を規定するのにもっ てした拘束という言葉は、絶対的個人主義の 熱烈な信奉者たちをたじろがせるおそれなし としない。・・・しかし、われわれの観念や傾向 の大部分はわれわれ自身によってつくりあげ られたのではなく、外部からやってくるもので あることが今日ではすでに明らかである以上 、それらは外から課せられるというかたちでし かわれわれの内に入り込めないはずである」 。 12 ガブリエル・タルド(1843-1904) http://www.cairn.info/revue-histoire-politique-2010-2-page-11.htm 13 改めて「社会的事実」とは • 「社会的事実」 – 個人の外にあって個人の行動や考え方を拘束す る、集団あるいは全体社会に共有された行動・思 考の様式 • 人間の行動や思考は、個人を超越した集団 や社会のしきたり、慣習などによって支配さ れる(以上2つ、ウィキペディア「デュルケム」より引用) • しきたり、慣習、規範、制度などが「社会的事 実」 14 二つの方法論の比較① • 方法論的個人主義(ウェーバー由来) – 現在の社会を分節化 → アンケート調査など通常の調査方法に適合 • 方法論的集団(集合)主義(デュルケム学派) – 主に社会相互の比較 – 違う国や違う地域(あるいは違う集団)の比較、同 じ地域の違う時代を比較 → 既存の統計資料をつ き合わせる。あるいは文化人類学に(弟子で甥の マルセル・モースのように)。 15 二つの方法の比較② • 社会が先か、個人が先か – 結局は鶏と卵の関係 • 実際は、DとWいずれかの流れを汲む人々が、 共に個人の意識も制度や規範も考慮する • ただし、方法論的個人主義の方がアンケート 調査等、現代の社会学の主流に近い(親和 的) – ウェーバーの方が社会学の事実上の祖のような 扱いされる理由か 16
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