第2回資料

平成27年 4月 22日
脳神経科学
(第 2回)
視覚
・ 目が見る世界・脳が見る世界
・ 物を見るしくみ
・ 見るということ
目が見る世界
盲点
A
A
視細胞
目は、水晶体(レンズ)を通して
外の世界を反転して見ている
● が消えるのは・・・
盲点では、視神経がじゃまして、何も見えない
(1億個)
網膜の構造
視細胞(光に反応する細胞)
(rod)
(cone)
(600万個)
(数百万個)
網膜の情報を脳に伝える細胞
(1万個)
(視細胞に作用)
視神経
脳
錐体・杆体の密度
錐体
杆体
密
度
鼻側
中心窩
耳側
視細胞(錐体、杆体)の性質
錐体 (cone)
杆体 (rod)
分布
網膜中心(中心窩)
網膜周辺
光感受性
低い
高い
空間解像度
高い
低い
色覚
有り
無し
種類
3種類
1種類
網膜の構造
(1億個)
視細胞
(rod)
(cone)
(600万個)
(数百万個)
神経節細胞は、何を見ている?
(1万個)
視神経
神経節細胞は、何を見ている?
神経節細胞は、何を見ている?
神経節細胞
神経節細胞は、光のスポット(点)に反応する
神経節細胞は、何を見ている?
神経節細胞
神経節細胞は、となりの点には反応しない(抑制される)。
神経節細胞は、何を見ている?
視床の神経細胞
神経節細胞
神経節細胞は、上(下)の点にも反応しない
神経節細胞は、何を見ている?
受容野
神経節細胞
神経節細胞
神経節細胞は、空間のある1点(受容野)に与えられた光の点
に反応する。
その周辺には、反応しない(抑制される)。
神経節細胞は、何を見ている? (1億個)
視細胞
(rod)
(cone)
(600万個)
(数百万個)
神経節細胞は、受容野に与え
られた光の点に反応する。
受容野
(1億個)
視細胞
(rod)
(cone)
(600万個)
(数百万個)
神経節細胞は、受容野周辺に与
えられた光によって抑制される。
受容野周辺
受容野周辺に与えられた光によって抑制されるしくみ
(rod)
(cone)
1個の視細胞は、水平細
胞によって周りの視細胞
の活動を抑える
抑制性伝達物質
(GABA, グリシン)
受容野周辺
受容野周辺に与えられた光によって抑制されるしくみ
(rod)
(cone)
抑制性伝達物質
(GABA, グリシン)
1個の神経節細胞は、アマク
リン細胞によって周りの神経
節細胞の活動を抑える
受容野周辺
水平細胞、アマクリン細胞による側方抑制
(lateral inhibition)
(rod)
(cone)
1個の視細胞は、水平細
胞によって周りの視細胞
の活動を抑える
抑制性伝達物質
(GABA, グリシン)
1個の神経節細胞は、アマク
リン細胞によって周りの神経
節細胞の活動を抑える
受容野
受容野周辺
2種類の神経節細胞
動きの検出
大きな受容野
色、形の検出
小さな受容野
3種類の錐体細胞
青錐体
緑錐体
赤錐体
(まとめ)
目(網膜)が見る世界
・ 逆転している
・ 網膜の細胞は、
・ 光の点に反応
・ 受容野がある
・ 持続性 (tonic) 反応・・・色、形の検出
一過性(phasic)反応・・・・動きの検出
・ 色覚がある
脳が見る世界
主観的輪郭
脳が見る世界
脳は世界をありのままに見ているのではない。
脳は
無いはずのものが見える。
時々だまされる
あてずっぽうで、見当をつける。
視覚の経路
視神経は、
視床(外側膝状体)
(lateral geniculate nucleus: LGN)
に投射する(神経線維を送る)
第一次視覚野
外側膝状体のニューロンは、
第一次視覚野に投射する
神経細胞
(ニューロン)
(神経線維)
視覚の経路
眼球の外側
→
同側 LGNへ
眼球の内側
→
反対側 LGNへ
右視野
左視野
第一次視覚野
→
→
左 LGNへ
右 LGNへ
左LGN → 左 視覚野へ
右LGN → 右 視覚野へ
はじめの一歩 (60巻)
問題:
今の漫画で、間違いはどこ?
視覚の経路
眼球の外側
→
同側 LGNへ
眼球の内側
→
反対側 LGNへ
右視野
左視野
第一次視覚野
→
→
左 LGNへ
右 LGNへ
左LGN → 左 視覚野へ
右LGN → 右 視覚野へ
視覚の経路(2):
中脳への経路
視神経は、中脳(上丘、視蓋前部)にも
投射する。
上丘:眼球運動、姿勢の制御
視蓋前部:瞳孔反射
中脳
第一次視覚野
外側膝状体のニューロンは大脳皮質の
第一次視覚野(V1)
第一次視覚野(V1, 17野)
に投射する
第一次視覚野のニューロン(1)
単純細胞(simple cell)
ある角度の棒に最もよく反応する
(方向選択性: orientation selectivity)
ある角度、ある長さの棒状の受容野をもつ
Broadmann(ブロードマン)の脳地図
第一次視覚野のニューロン(2)
(複雑細胞:complex cell)
受容野
ある角度の面に
最もよく反応する
(例えば)、長方形の受容野をもつ
単純細胞の受容野のでき方
LGNのニューロン
受容野
抑制野
一次視覚野の
単純細胞
単純細胞の受容野
複雑細胞の受容野のでき方
単純細胞
複雑細胞
複雑細胞の受容野
単純細胞の受容野
一次視覚野ニューロンの応答性
ある角度の線分に反応
(方向選択性: orientation selectivity)
ある長さに選択的に反応
線分の動きの方向に選択的に反応
(運動方向選択性:direction selectivity)
色に反応
第二次視覚野:V2 (18, 19 野)
左右の目が、ずれのある像を見
たとき(両眼視差)に反応
立体視
第二次視覚野:V2 (18, 19 野)
主観的輪郭
第二次視覚野:V2 (18, 19 野)
(V2)
反応する
反応する
反応しない
(V1)
反応する
反応しない
反応しない
(第二次視覚野のニューロンは、主観的輪郭に反応する。)
第二次視覚野ニューロンの応答性
両眼視差
主観的輪郭
線分の向き
長さ
動きの方向
色
色の恒常性
脳は、周りの色との兼ね合いで色を判断している。
物体からの反射光の波長成分が変化しても、
感じられる“色”は、変わらない。
(桃は桃色、桜は桜色)
色を識別する経路
第四次視覚野
第三次視覚野
第二次視覚野
第一次視覚野
色の恒常性は、第四次視覚野で形成される
色の恒常性
脳は、周りの色との兼ね合いで色を判断している。
物体からの反射光の波長成分が変化しても、
感じられる“色”は、変わらない。
(桃は桃色、桜は桜色)
物体からの反射光の波長成分が同じでも、
感じられる“色”は、異なる。
(お姉さんの眼の色は、左右同じ)
高次視覚野での視覚情報処理
背側経路
場所/立体構造
運動
V5
V2
V1
V4
TE
腹側経路
色、形
頭頂葉
V5(MT野):動きの方向、速さを検出
V5(MT野)の損傷
静止画像は見えるが動きが見えなくなる。
(運動盲)
頭頂葉の傷害
階段の昇り下りがわからない
トイレの便器に足を突っ込む
走っている車がとまって見える
下側頭葉 (TE野)
複雑な形の認知、物の認識をおこなう
下側頭葉の損傷
相貌失認
色覚失認
下側頭葉(TE野)のニューロン
複雑な特定の形状(顔、手・・)
に応答するニューロン
おばあさん細胞
(おじいさん細胞)
ものを見るときの経路
側頭葉(物の認識)
第二次視覚野
第一次視覚野
受容器(網膜)
(4) 側頭葉で認識する。
(3)脳は、線を形に再構成する。
(2)脳は、点を線に再構成する。
(1)網膜は、世界を点に分解する。
ものを見るときの経路
海馬・前頭葉
側頭葉(物の認識)
(4) 側頭葉で認識する。
(記憶との照合)
第二次視覚野
第一次視覚野
受容器(網膜)
(3)脳は、線を形に再構成する。
(2)脳は、点を線に再構成する。
(1)網膜は、世界を点に分解する。
下側頭葉は、海馬・前頭葉と神経結合
頭頂葉
前頭葉
海馬
下側頭葉
海馬
誰が見えるでしょう?
何が見えるでしょう?
網模様違いを検出できたとき
第
一
次
視
覚
野
の
活
動
網模様の違いを検出できなかったとき
第
一
次
視
覚
野
の
活
動
第1次視覚野
網膜の信号が第
一次視覚野に届
くまで・・・・
(約30ミリ秒)
側頭葉
網膜の信号が側頭葉
に届いて、縞模様が
“見える”まで・・・
(約60ミリ秒)
前頭葉
縞模様の変化に気づい
たとき
(約100ミリ秒)
見るということ
前頭葉
(5)脳(前頭葉)では、
見たものが何か、を判断する。
(判断)
(4) 脳は、記憶との照合
海馬・前頭葉
側頭葉(物の認識) を行う。
(記憶の照合)
第二次視覚野
第一次視覚野
受容器(網膜)
(3)脳は、線を形に再構成する。
(2)脳は、点を線に再構成する。
(1)網膜は、世界を点に分解
する。
まとめ
見るということ
見る脳
(視覚系)
判断する脳
(前頭葉)
私たちは 、
ものを見る脳(視覚系)と
それが“何か”を判断する脳(前頭葉・・心)
とで、ものを見ている。
目玉オヤジ
レポート
「目玉オヤジの見ている世界について」
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次回は 5月8日(金):みなし月曜日