sociology20140527

メディア社会学
2014年5月27日(火)
1
1.5 社会(あるいは全体社会)相互の比較
• 1.4までの比較
– 集団ごと(属性ごとにグルーピングしたグループ
ごと)の比較
• 1.5での比較
– 地域ごとの比較、時代ごとの比較等々
2
全体社会の相対化
• 「全体社会」
– 「国民国家の全成員のなす社会」「国民社会」
「国」
• 1.4までの方法
– 全体社会を部分社会に分節化
• 分節化 : 社会学の基本
• ただし1.5は、「全体社会」を一枚岩に
• 現在の「全体社会」の相対化を目的とする
3
デュルケム(Emile Durkeim 1858-1917)
• マックス・ウェーバーの同
時代人。
• ウェーバーと共に、社会
学の史上2大巨頭(3大
巨頭という場合、ジンメル
が加わる)
• 著作
– 『自殺論』
– 『社会学的方法の規準 』
ウィキペディアからの画像
4
デュルケム vs ウェーバー①
• ウェーバーと対比される
• ウェーバー ・・・ ドイツ人
• デュルケム ・・・ フランス人
• ウェーバー
– 方法論的個人主義
• デュルケム
– 方法論的集団(集合)主義の代表
5
デュルケム vs ウェーバー②
• ウェーバー
– プロテスタントの熱心な母の下で育つ
– プの信仰 → 一人で神に近づく
• デュルケム
– 父親はユダヤ教のラビ(ただしフランスというカト
リック文化圏の中で育つ)。
– カトリックの信仰 → 集団的に神に近づく
– ユダヤ教 → カトリック → プロテスタントの順で、
集団の規範が緩くなる(とデュルケムは想定)
6
方法論的集団(集合)主義
• 社会を個人の意識(ウェーバー)や創意(タル
ド)に還元する見方を批判
• 社会を堅固なモノのように捉えることを提唱
• 社会学の分析対象は「社会的事実」(モノの
ように個人に先立つ存在・例えば「制度」のよ
うに)
7
『社会学的方法の規準』(邦訳1978)(宮
島喬訳・岩波文庫) p.54より
• 「それら(社会的事実)は、行動、思考および
感覚の諸形式から成っていて、個人にたいし
ては外在し、かつ個人のうえにいやおうなく影
響を課することのできる一種の強制力をもっ
ている」
8
• →言語の運用、宗教儀礼を含め広い意味で
の「制度」(社会の中でルールで営まれるもの
ごと)は、われわれが生まれる前からあるし(「
外在し」)、われわれはそれに強く影響され、(
部分的追加や削除や修正はあるにせよ)、わ
れわれには動かしがたい「モノのような存在」
としてわれわれにたちはだかる。
• 宗教上の規範は冒しがたい聖性を帯びるが
、それがここでいう「制度」の典型であろう。
9
• (デュルケムにおいて)「神は社会の象徴なの
である」(ランドル・コリンズ『脱常識の社会学
第二版』岩波現代文庫、井上俊ほか訳、邦訳
2013年、p.52)
10
先の引用部分に続けて個人主義的な方
法を批判(『社会学的方法の規準』p.55)
• 「たしかに、これらの現象を規定するのにもっ
てした拘束という言葉は、絶対的個人主義の
熱烈な信奉者たちをたじろがせるおそれない
そしない。・・・しかし、われわれの観念や傾向
の大部分はわれわれ自身によってつくりあげ
られたのではなく、外部からやってくるもので
あることが今日ではすでに明らかである以上
、それらは外から課せられるというかたちでし
かわれわれの内に入り込めないはずである」
。
11
ガブリエル・タルド(1843-1904)
http://www.cairn.info/revue-histoire-politique-2010-2-page-11.htm
12
改めて「社会的事実」とは
• 「社会的事実」
– 個人の外にあって個人の行動や考え方を拘束す
る、集団あるいは全体社会に共有された行動・思
考の様式
• 人間の行動や思考は、個人を超越した集団
や社会のしきたり、慣習などによって支配さ
れる(以上2つ、ウィキペディア「デュルケム」より引用)
• しきたり、慣習、規範、制度などが「社会的事
実」
13
二つの方法論の比較①
• 方法論的個人主義(ウェーバー由来)
– 現在の社会を分節化
→ アンケート調査など通常の調査方法に適合
• 方法論的集団(集合)主義(デュルケム学派)
– 主に社会相互の比較
– 違う国や違う地域(あるいは違う集団)の比較、同
じ地域の違う時代を比較 → 既存の統計資料をつ
き合わせる。あるいは文化人類学に(弟子で甥の
マルセル・モースのように)。
14
二つの方法の比較②
• 社会が先か、個人が先か
– 結局は鶏と卵の関係
• 実際は、DとWいずれかの流れを汲む人々が、
共に個人の意識も制度や規範も考慮する
• ただし、方法論的個人主義の方がアンケート
調査等、現代の社会学の主流に近い(親和
的)
– ウェーバーの方が社会学の事実上の祖のような
扱いされる理由か
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全体社会の捉え方の一つの例
• デュルケム
• 全体社会を「統合-分裂」の軸で比較
• 統合
分裂(Dを少し離れて一般に)
葛藤 ・・・ 社会変動の要因、階級闘争、
資本家対労働者
自由 ・・・ さらに分裂を深めかねない
• 安定
不安定性
16
統合の欠如と自殺
倉沢進・川本勝編著『社会学への招待』ミネルヴァ書房p.205.1992年等による
• 「統合」 ・・・ 社会の連帯、まとまりのようなも
の
• 『自殺論』(1897)デュルケムの代表作。
• 自殺率 ・・・ 社会解体、社会の紐帯が弱体化
した(統合が失われた)とき増大
• 自殺率を社会統合の指標に
• アノミー 規範が弱体化 → 個人はアスピレー
ション(向上心)や道徳的行動に規制を感じる
ことが少なくなる → 集団の統制や規制による
安心感、安定感を失う → 自殺
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アノミー
宮島喬・杉山光信・梶田孝道・富永茂樹訳『ラルース社会学事典』弘文堂、1997,pp.4-5より
• アノミー
– 語源的には、規範、規則法律の欠如。ギリシア語
のanomosに由来。アナーキーな個人主義
• 『自殺論』でのアノミー
– 人間の欲求の無制限性と達成すべき目的の不
確定性から生じる無限の病
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デュルケムの規範の考え方の面白さ
• 通常の規範の捉え方
– 自由に反するもの。人々を押さえ込むもの
• デュルケムの規範の考え方
– 人々に目標を与えるもの。生きている意味に関わ
るもの。
• 自由な時代、あるいは自由なはずの人々こそ、
自殺が多くなる点に、彼は着目。
19
同じことを少し表現を換えていうと
• 「自由・・・善」という通常のわれわれの考え方
に異を唱える。規則のメリットもあるはず。
• 自由に対立する拘束に、社会(のルール)や
、社会のシンボルとしての宗教や神があると
考え(デュルケム自身はラビの息子ながら無
神論者)、それらがわれわれの生きている意
味を与えていた、と。
• 拘束、規則の少ない社会(=自由な社会)・・・
意味喪失の社会
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『自殺論』(1897)あれこれ
• 自殺が多いのは、以下の4カテゴリーのうち、どれ?
• 「独身・男性」「独身・女性」「既婚・男性」「既婚・女性」
(マトリックス的思考)
独身・男性 独身・女性
既婚・男性 既婚・女性
• では次の時期の比較では?
• 「戦争の時期」「平和で豊かな時期」
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『自殺論』での自殺の4類型
(主にウィキペディア「デュルケム」による)
• 集団本位的自殺 ・・・ 伝統社会中心
• 自己本位的自殺 ・・・ 孤立した現代社会での
もの。次の「アノミー的自殺」と共にデュルケ
ムの議論の中心
• アノミー的自殺 ・・・ 過度に自由な社会での自
殺
• 宿命論的自殺 ・・・ 規範の拘束力の強い社会
での自殺
– デュルケムは注で記すのみ
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集団本位的自殺
(以下の各類型は主にウィキペディア「エミール・デュルケム」による)
• 集団本位的自殺(愛他主義altruisme)
– 集団の価値体系に絶対的な服従を強いられる社
会、あるいは諸個人が価値体系・規範へ自発的
かつ積極的に服従しようとする社会に見られる自
殺の形態。
• 自己犠牲が強調される伝統的社会や、それ
を受け継ぐ軍隊組織で見られる
23
• 「所属する組織集団の規範に<過剰同調す
るが故の自殺>、たとえば汚職事件で容疑を
うけたひとが組織に「迷惑」がかかるのを恐
れて行う自殺」(森下伸也『パラドックスの社
会学』p.160)
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自己本位的自殺(égoïsme)
• 過度の孤独感や焦燥感
→ 個人が集団との結びつきが弱まること
→ 個人主義の拡大 → 自殺
• 宗教による自殺率の違い
ユダヤ教 < カトリック < プロテスタント
• 地域による違い
農村部 < 都市部
• 未既婚による違い
既婚 < 未婚
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• これも『パラドックスの社会学』からの補足説
明。「他者との関係から切れたということから
生じる<孤立感、孤独感のゆえの自殺>、た
おえば恋人に死なれてしまったための後追い
自殺や、誰にも理解してもらえないという気分
による自殺がある。人間は自己の存在の意
味を、他者との関係のなかに見いだす傾向
があるためだ」。
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アノミー的自殺(anomie)
• 社会の規則・規範がない(もしくは少ない)状
態において起こる自殺の形態。
• 規範欠如 → 多くの自由 → しかし自由である
が、欲望充分に満たせない(満足を知らない)
→ 虚無感 → 自殺
• 時期による自殺率の違い
不況 < 好況
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• これも『パラドックスの社会学』から。
• 「欲求が異常に高まり、その高まった欲求が
どうしても充足することができない、と思いい
たったはての<絶望感ゆえの自殺>、たとえ
ば金銭欲や消費欲が異常に昂進したが、そ
れを満たすことができないどころか借金など
でどうしようもない状態に追い込まれての自
殺がある。強い欲求は生きていくためのエネ
ルギーであるが、それが結果的に死を招く」
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宿命論的自殺(fatalisme)
• 集団・社会の規範による拘束力が非常に強く、
個人の欲求を過度に抑圧することで起こる自
殺の形態
• 宮島喬(お茶大名誉教授)によると、「心中」
がこの典型例
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デュルケム『自殺論』批判のいくつか①
• 精神病による自殺を除外しているが
– 現代では自殺すると「鬱だった」と診断されること
がほとんど。(鬱の診断基準がここ十数年で緩和
されたこともあり)
• アノミー的自殺の説明で「自殺率 ・・・ 不況 <
好況」というが
– 昨今、不況で自殺する人が増えている。アベノミ
クスで好景気になっても増えればデュルケム正し
いとなろうが。(もっとも好景気の恩恵を株主だけ
が受けるのが、最近の好景気)
30
デュルケム『自殺論』批判のいくつか②
• 軍隊での自殺率の多さというが
– 社会の比較と属性の比較とが混在している。
– 未開社会 vs 現代社会で未開 = 集団本位的自
殺というのは分かる。
– ところが、未開の延長 = 軍隊というのは変。現
代社会での、軍人の自殺の多さということであれ
ば、それは「自己本位的自殺」や「アノミー的自
殺」と矛盾してしまう。(軍人と軍隊は違い、後者
は閉ざされた社会をなしていると反論されうるが)
31
デュルケム『自殺論』批判のいくつか③
• 日本では、集団本意的自殺と宿命論的自殺
が多い(中久郎「自殺」『社会科学大事典』九
巻、1969年、鹿島研究所出版会p.60)。
• 「お詫びの死、身の潔白を訴える抗議死、諫
死(夫の浮気をいさめるための妻の自殺)な
どがこの型に属する。いずれも自殺というき
わめて自発的な行為の動機のなかに他者が
関与し、自殺がなにかのための手段視される
点に特徴がある」。
32
デュルケム『自殺論』批判のいくつか④
• 社会を纏めて比較出来る前提は?
– 社会の統合・安定
→ そもそも分裂している社会には方法論的集団
主義は向かない(前にふれた社会学の危機が方
法論的個人主義より深刻)
– ボーダレスな現代社会での有効性の疑問
→別の言い方をすると社会の変動要因をみられ
ない可能性
33
• D,Wの社会学を自分は統合したと語るピータ
ー・バーガー(1929-)でさえ、Dの社会学は社
会の変動要因をあまりみていずに、統合に力
点があって、静態的であると評していた。(統
合-分裂の軸で社会を捉えるが、基本的にD
は統合を善と考える)(Wと違って価値中立で
ない。自殺のない社会が望ましいのでこの研
究をしたなどと述べている!!)
34
デュルケムと「犯罪」の有益性
• デュルケムは、規範、ルール、制度、一辺倒
な人ではない。「犯罪」の有益性を『社会学的
方法の規準』(pp.158-9)で述べている。
1.道徳の権威が過度なことはよくない。何事も
過度はいけない。
2.犯罪が新たな道徳の予兆をなす。「ソクラテ
スは犯罪者だった」「思想の自由にしても・・・禁
じていた諸規則が公式に廃されるに先立って侵
犯され・・・なかった」ら成立しなかった。
35
• また犯罪による規範意識の喚起もデュルケ
ムは唱えた。
「犯罪がなければ、処罰儀礼も存在しないだ
ろう。そうなると、ルールの存在が儀式的に演
示される機会がなくなり、公衆のルール意識は
衰弱してしまうだろう。・・・社会が犯罪と処罰な
しにあまりにも長い期間を経過すると、社会そ
のものの結束が薄れ、集団としてばらばらにな
ってしまう」(コリンズ前掲書p.179)
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デュルケムと「宗教」
• 先にも少しふれたように、 デュルケムにおい
て、神は社会の象徴。あるいは宗教は聖なる
集合性の印。
• 「デュルケムによれば、「神」とはじつに社会
のことであって、神がもつ巨大な力は、人間
が社会をかたちづくることによって生じる巨大
な力にほかならない」(森下伸也ほか『パラド
ックスの社会学』新曜社、1989、p.83)
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• 「デュルケムによると、・・・世界は「聖」(sacre)と「俗
」(profane)というふたつの領域からなると考えられ
ているという。当然「聖」に宗教の本質がある。そし
て「聖」とは社会の象徴的表現だというのが、デュル
ケムの主張だった。つまり宗教とは、ある「聖なるも
の」に関連した信念と実践の体系であって、それを
支持する人びとを単一の共同体へと統合するもの
だとした。」(野村一夫『社会学的感覚』
http://www.socius.jp/lec/17.html)
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• コリンズ『脱常識の社会学』(井上俊ほか訳)(
p.64以下)での説明
• 集団が集まる→エネルギー充溢→集団の中
の個人が同じ感情を抱くようになる・・・行為を
儀礼化する→集団の考えを象徴する事物で、
集団のエネルギーを具体化する(神やトーテ
ム動物)・・・近代では国家や政党や政治理念
がそれに相当
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• 象徴の基盤をなす現実は集団のメンバーが
儀礼を実施する際に感じるムード
• 神も神を表す祭壇、十字架も神聖な事物
• 聖なる事物の永続性によって、集団が集まっ
ていなくても集団の精神は事物の中で生き続
ける、永続性の感覚、永続のためのバッテリ
ーとこれらはなる。
40
デュルケム流に我々の年中行事を解釈す
ると(もちろんそういう即物的解釈以外もありうるが)
特別な事情で人々が集まること・・・聖別化の儀
式
• 結婚式・・・勝手に二人がくっつくのではないこ
とを皆に証人になって貰う・・・証人の集合性・
・・そのシンボルとして神様を使う
• 葬式・・・亡くなった遺族を慰めに皆が集まる・
・・そのシンボルとして仏様を使う
• 盆・・・家族一同が故郷に帰る・・・先祖も併せ
て帰ることに・・・仏教を使う
41
• 正月に家族が集まる・・・その集合性のシンボ
ルが神様
• 卒業式・・・学長が授け、国旗国歌がある
• 表彰式・授賞式・・・皆でその人の栄誉を称え
る・・・その集合性のシンボルが、国旗や国家
であったり天皇(戦前は、実際に神でもあった
)や国王、オリンピックの国旗、ノーベル賞は
スウェーデン国王(平和賞以外)、ノルウェイ
国王(平和賞)が授ける
42
• みんなの認知の集合性の色々なレベル
• 役所の書類<集合写真や会食<権威者(市
長<国王)の前での認知<神仏の前での認
知
• 右のものほど権威づけが大きくなる・・・認知
された事柄の恒久性が高くなると期待される(
国王は血統があり、時間的に長い正統性が
ある。さらに王権神授説など王を権威づけて
いたのが神)。
43
デュルケム自身のテキストでは
• デュルケム『宗教生活の原初形態』(上)(古
野清人訳、岩波文庫)
• 【宗教と集合性】「宗教表象とは集合的実在を
表明する集合表象である。儀礼とは集合した
集団だけの中で生まれて、これらの集団のあ
る心的状態を刺激し維持しもしくは更新する
はずの行動の様式である」(p.31)
• 【聖と俗】「世界を一つはあらゆる聖なるもの、
他はあらゆる俗なるものを含む二領域に区別
44
• すること、これが宗教思想の著しい特徴であ
る」(p.72)。
• これら聖俗の説明を受けつつ宗教を次のよう
に定義する。「宗教とは、神聖すなわち分離さ
れ禁止された事物と関連する信念と行事との
連帯的な体系、教会と呼ばれる同じ道徳的
共同社会に、これに帰依するすべての者を結
合させる信念と行事である」(p.86-87)
• (実は巷間いわれるほど宗教を社会に還元しているか不明)
45
• 少しデュルケムを離れ、統合とはどういうメリ
ットがあるのか(逆に何がデメリットか)を見て
みよう。
46
「統合-分裂」の軸で国家を測定する
要因項目
統合に向かう要因
分裂に向かう要因
文化的共通性
疑似単一民族国家
多民族国家
言語
方言の共通語化
カナダ等
宗教
国教ありOR
宗教的寛容の徹底
宗教紛争
経済的格差
なし・弱い(従来の日本)
社会主義国家(の理念)
あり(構造改革後の日本)
資本主義国家
47
統合された社会と分裂した社会の
メリット、デメリット
統合した社会
分裂した社会
犯罪
少ない
多い
創意工夫の余地
少ない
多い
自由
少ない
多い
拘束・規範
多い・堅固
少ない・緩やか
社会の流動性
(浮き沈みのチャン
ス)
少ない
多い
生の意味
明確
曖昧 : アノミー
48
統合した社会と分裂した社会
• それぞれメリット、デメリット
• グローバリズムはどちらの方向?
• 世界の統合と国内の分裂か
• 皆さんの希望は?
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社会の統合の装置(としての側面をも
つ)制度や施策
• 義務教育制度:「読み書きそろばん」
→ 良質な労働力
→ 貧富の格差是正
→ 社会の安定・統合
→ 投票行動における適切な判断力
• 公共図書館の無料原則もその種の施策
• コンピュータリテラシー、メディアリテラシーを
身につけさせる政策
• デジタル・ディバイドの解消施策
50
物質面での統合装置は?
• もちろん、上記の情報政策以外に
• 累進課税制度
• 各種福祉政策
• 場合によって公共事業と地方交付税
は、物質面で、社会の統合を図る仕組み
(富の再配分)
51
富の再配分は誰のため
• 一見すると社会の底辺の人にのみ役立つ
• しかしエリート層に有益とも。
• なぜか?
• (おそらく個人間だけではなく政府開発援助
等の国際間の問題も同様)
52
スケープゴード(身代わりの子羊)
• アドルフ・ヒトラー(1889-1945)の方法(統合
のための方法のひとつ)「ユダヤ人問題」
• 社会内部の対立あり
→ あえて外部にもっと大きな対立軸を作る
→ 共通の外敵に
→ 内部の対立隠蔽
53
デュルケムと統合
• デュルケムが社会相互を比較しようとした(で
きた)理由
・・・フランスが概ね統合された社会であるから
• カトリック国
• アカデミーフランセーズによる国語(フラ語)の
純化の運動を国を挙げて行ってきた歴史
→移民を多く受け入れている現代フランスでは
、どうなんだろう?
54
• 次に1.6では葛藤を多少見ていく。
• 1.7では社会の自明性の揺らぎということで
、全体社会を現象学的社会学等でどう捉える
かを見ていく。
55