地球流体力学における方程式の系譜

渦位(Potential Vorticity)と角運動量の保存
質点の角運動量( L)
L  m rv  m r2  一定

m
v
密度一様で一定の体積をもつ
水でできた円柱(水柱)の
角運動量を考えてみよう。

( r 2 )dV  一定
2 r1 h1
 
0 0 0
( r 21 )dh  rdrd 
2 r2 h2

( r 2 2 )dh  rdrd ①
0 0 0
1 4
1 4
r1 1h1  r2  2 h2 ②
4
4
体積は一定なので、
h1 2
2
2
2
r1 h1  r2 h2  r2  r1 ③
h2
③を②に代入して、 「渦度」を「水柱の高さ」
2
で割ったものが保存量


h1
4
4
r1 1h1    r1 2 h2
自転する地球上の流体は宇宙から見
 h2 
れば、渦度 f を既に持っているので
1 2
d  

  0
d  f    d  2 sin   
h1 h2
dt  h 

 
0
dt  h  dt 
h

を得る。
渦位(ポテンシャル渦度)
渦位方程式(地球流体の角運動量保存の導出)
浅水方程式(β平面近似)
u
u
u

 u  v  fv   g
①
t
x
y
x
v
v
v

 u  v  fu   g
②
t
x
y
y
連続方程式(密度一様)
u v w
 
 0 ③
x y z


②  ①をとり、回転成分を 抽出
x
y
   u

  v
v
v
u
u
  u  v  fu     u  v  fv   0
x  t
x
y
x
y
 y  t

   u

  v
v
v
u
u
  u  v  fu     u
 v  fv 
x  t
x
y
x
y
 y  t

  v  u v
 2 v v v
 2v
u
  
u 2 
v
f
t  x  x x
x y
xy
x
x
  u  u u
 2u v u
 2u
v
f
   
u

v 2  f
v
t  y  y x
xy y y
y
y
y
  v u 
  v u 
 
v u 
     u     v  f   
t  x y 
x  x y 
y 
x y 

v u  u v 
  f       0
x y  x x 

v u
       相対渦度
x y
と置く。
また、fは時間変化しないこと、x方向にも変化しないことを考慮すると、
時間微分項及びx微分項にfを入れても結果は同じになるから、

 f     u   f     v   f      f    w  0
t
x
y
z
海底( H )から海面( )まで、鉛直積分する。



w
 f    u  f    v  f     f     0
t
x
y
z
d
d
(  H )  f      f    (  H )  0
dt
dt
h    H である
d
dh
h  f     f     0
dt
dt
 d  f   
dh 
2 1  d




h2  

h
h
f



f



  0

2 
dt 
 dt  h 
 h  dt

f 
f g  fg 
  
ここで微分公式、 を使っている。結局、
2
g
g
d  f  
渦位の保存式

0
dt  h 
となる。
β平面近似
2
y
θ0
f 0  2 sin 0
基準緯度  0の地球上で y  0とし、
θ0
θ
北向きに yが正とすると、
y  R(   0 )
 df 
f ( 0   )  f ( 0 )   
 

 d   0
f0
y
 2 sin  0  2 cos
平面近似では、渦位保存式は、
R
d  f 0  y   
2 cos

0
 2 sin  0 
y
dt 
h

R
となる。
 f 0  y
β
「渦位保存の意味」 & 「ロスビー波」
ポテンシャル渦度(渦位)
回転を感じるシステムでの渦度
dq
f 


 0 q


一定


dt
h


今、層厚が一定であるとすれば、北に変位した場所では、マイナスの相対渦度(時計回りの二次流)、南に変位
している場所ではプラスの相対渦度(反時計の二次流)が発生する。
二次流によって、等渦位線(位相)は西に伝
播してゆく。これが、ロスビー波の西進のメカ
ニズムである。
dq d  f   
 
0
dt dt  h 
h : 一定、線形近似する、平面近似する。
d
d
v u 
 f      f   
dt
dt 
x y 

v u 
 
v u 
 
v u 
  f     u  f     v  f   
t 
x y 
x 
x y 
y 
x y 
  v u 
f
  v u 


   v
     v  0
t  x y 
y t  x y 
  v u  
   
  v
t  x y  t
v>0(北向きの流れ)の場合、
右辺は負⇒負の相対渦度
(時計回りの渦)が発生する
v<0(南向きの流れ)の場合、
右辺は負⇒正の相対渦度
(反時計回りの渦)が発生する
先走って、海洋大循環理論
エクマン輸送により
表層水は集まる
集まった水は、
潜り込むしかない
東西断面
z
x
エクマン層
h
内部領域
上面が押えつけられて
いるから、
hが小さくなるように
エクマン収束が作用し
ている
大規模スケール(太平洋スケール)では、
相対渦度(ζ)は惑星渦度(f)よりも小さい。
u 10cm / s 1  104 km / s
~

y 2000km
2  103 km
 5  107 s 1
f  2 sin(30)   ~
 7.27  105 s 1
u
f   ~
y
2
60  60  24
dq
f 
f


 0 q

~

一定


dt
h
h


h  減少、f  減少:南向きになる
エクマン層理論&渦位保存&ロスビー波で大循環が理解できる
y
西岸境界流(黒潮)
x
北
北
南
南
z
x
西
スペルドラップ流
(水位)圧力最大
流
量
は
同
じ
海面
p
: 大  強い流れ
x
海底
東
ロスビー波が西に伝播する
p
: 小  弱い流れ
x
コリオリ力が無い場合の循環
コリオリ力が有る場合の循環
東西の壁(南北も)で、海面変位が同じである理由
境界を横切る流れがない
⇒境界上で圧力が変わらない(地衡流の場合)
g 
g 
u
 0、v  
 (境界で)
0
   一定(境界で)
f y
f x
南北、東西の岸は繋がっているので、境界上のどこでもは同じ
地球表面における風の分布(7月)
地球表面における風の分布(1月)
海洋風成大循環
今後の予定
• 準地衡流渦位方程式
(地衡流の時間変化を表す方程式)
• エクマン層の力学
• 海洋大循環理論その1
• 海洋大循環理論その2
• 定期試験
定期試験についての予告
A4用紙2枚に手書きしたもの(裏表記入可)を持ち込むこと。
これは、試験の後提出。(自分用に残したい場合はコピーをとること)
答案用紙(70%)と上記A4用紙2枚の出来(30%)で判断します。
最終成績は、定期試験に加えて冬休みレポート問題及び出欠も
加味します。