社会調査とは何か(3) 調査対象者の選定方法 1.社会調査の対象の決定 2.標本調査 3.クォータサンプリング 4.参考文献 2 1.社会調査の対象の決定 調査目的すなわち社会調査の課題 社会調査の対象(調査対象は誰・何か)の決定 ①調査対象の構成単位:個人、世帯、会社、団体? ②調査目的に応じた必要条件:性別、年齢、その他個 人特性、世帯の種類、企業の特性など? ③空間的・時間的条件:地理的条件、○年○月○日 現在など? 3 衆議院議員選挙の調査 → 有権者(e.g.20歳以上の国 民) 生活時間調査 → 個人(幼児なども含む) 消費に関する調査 → 世帯 or 個人 企業に関する調査 → 従業員1,000人以上の企業 これら調査対象集団が大きい場合どうすればいいのか。 大きすぎて調査を行うのがとても大変。 ⇒標本を抽出(サンプリング)する。 4 2.標本調査 (1)なぜ標本調査を行うのか 調査対象集団が大きい場合、このような集団全体につ いて調べるのはとても大変である。 そのため、 知りたい情報は、ある事項あるいは性質についてその 集団「全体」における平均や比率である、という場合には、 標本調査を行うとよい。 しかし、調査対象集団が均質であるとは考えられない 場合には、どのような標本抽出法をとるかが結果の正確 さや信頼度を左右する。 標本調査では、標本(サンプル)の回答結果から、全体 の傾向を推察、推論、推測する。 5 (2)標本抽出とは 標本抽出(サンプリング)とは、調査対象集団から、確率 的に調査を依頼する人を抽出する(サンプリング)こと。 この際、調査対象集団は母集団と呼ばれる。 抽出母集団(サンプルがとられるもとの集団) 目標集団(情報を得ることが目的である対象集団) 6 (3)標本抽出の手順 ①抽出リストの入手 母集団が決まったら、調査対象を漏れなく書き 上げたリスト(名簿・台帳)を入手する。 e.g.住民基本台帳、選挙人名簿、同窓会名簿、 社員名簿、総務省統計局の事業所企業統計調 査の事業所名簿など。 この際、リストの形態(リストがいくつかに分割さ れているか否か)についてチェックする。 7 ②標本数の決定 a.比率のサンプリング誤差から決める 標本数が多くなればなるほど誤差は小さくなる。 費用との折り合いも考慮する。 b.経験から決める ・標本数が500あればいろいろな分析が可能。 ・クロス集計を行うには、1グループ最低30人必要。 ・クロス集計後に検定を行う場合には、1グループ 最低25人、できれば50人必要。 ・多変量解析(e.g.因子分析)には、変数の10倍 の人数が必要。 8 ③サンプリングを行う a.単純抽出法(単純無作為抽出法) ・母集団全員に一連番号をつける。 ・乱数表により無作為に標本を抽出する。 b.系統抽出法(等間隔抽出法) ・抽出間隔値(インターバル)を求める。 名簿記載人数÷抽出数(小数点以下切り捨て) ・スタート番号を無作為に抽出(乱数表利用) ・スタート番号+インターバル・・・・を繰り返し、標 本を抽出する。 9 c.多段抽出法 ・広い地域に分散する母集団(e.g.日本全国、東京 都内全域)からのサンプリングに最適。 ・第一段階:市町村のサンプリング 第二段階:投票区、大字、町丁目のサンプリング 第三段階:個人などの最終的なサンプリング ・サンプリングの段階が増えるとサンプリング・エラー も増える。 →2段抽出にとどめるのがよい。 10 c-1.確立比例2段抽出法 ・抽出地点数を決める(1地点からは10サンプルを 抽出することが多い) ・地点の人口構成にしたがってウェイトづけを行っ て地点を抽出する。 ・どの地点からも同数ずつサンプルを抽出する。 c-2.等確率抽出法 ・等しい確率で地点を抽出する。 ・抽出された地点の人口に応じたウェイトでサン プルを抽出する。 11 c-3.層化抽出法 ・調査目的に応じて、大都市・中小都市・郡部と いった層化を行う。 ・各層の大きさに応じてウエイトづけを行ってラン ダムに地点を抽出する。 ・選ばれた地点からサンプルをランダムに抽出す る。 (4)各種名簿を用いたサンプリングの今日的状況 近年、住民基本台帳、選挙民名簿の閲覧は、さまざ まな条例などにより自治体によって制限されている。 厳しい閲覧条件の例 a.大学長による閲覧許可願い携行 b. 〃 閲覧者の身分保証 c.自治体による「調査票」の審査 d.抽選による閲覧許可 e.閲覧者数の制限 f.高い閲覧料の要求 ⇒“住民基本台帳・選挙人名簿を用いたサンプ リングは不可能”と断言する調査会社もある。 3.クォータサンプリング (1)クォータサンプリングとは 労働力と経費節減のために、 割当抽出法(quota sampling) という方法が用いられるようになってきた。 ①確率比例2段抽出法による調査地点の抽出 ②調査員が調査現場で指定された標本の属性 にしたがって該当する調査対象者を探し、調 査を実施する。 (2)調査対象者の属性を決めよう クォータサンプリングの考え方を応用して・・・・ 表3 各グループでの性別・年齢層別割り当て 20~24歳 25~29歳 50~54歳 55~59歳 単位人 合計 男性 女性 合計 70 今回の対象者の属性ごとの人数を決める手順 ①日本人の20歳~29歳と50~59歳までの性別ごとの人口 (2013年12月の確定値)を調べる。(→表1) ②20歳~29歳と50~59歳までの人口の合計を100%とし、 年齢層・性別ごとの人口の割合を算出する。(→表2) ③グループの調査対象者の総数を70とし、各年齢層・性別 ごとの割り当て数(人数)を算出する。(→表3) ④クラス全体の調査対象者の総数を630とし、各年齢層・性 別ごとの割り当て数(人数)を算出する。(→表4) <課題6>クォータサンプリングによる調査対象者の属性の 決定(割り当て表)の作成(7月10日にプリントアウトして持 参)
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