第6章 A/D変換とD/A変換回路 アナログ(analog)信号は時間に対して,連続的 に変化する物理的な量(圧力,温度,音声)である. しかし,コンピュータをはじめ,ほとんどの制御装 置は離散的な,不連続なデジタル信号(digital)を 扱う. よって,アナログ信号をデジタル信号(A/D)に, また,デジタル信号をアナログ信号(D/A)に変換 する電子回路が必要である. 1 1 われわれの日常生活において, A/DとD/Aの例はたくさんある.携 帯電話はその中のひとつである. 010110100100 2 2 6−1 標本化と量子化とは 電圧 電圧 アナログ音声信号 標本化データ 標本化 t (サンプリング) t 電圧 量 子 化 量子化 2進数のディジタル信号 01101111 10110101 11001101 …… 00110100 デジタル化 t 3 3 標本化(サンプリング)定理 問題: どのぐらいの時間間隔で読み取ればよいか? ■標本化間隔(単位:秒) または, ■標本化周波数(単位:回数/秒) を考える必要がある. 標本化周波数は1秒間に標本化されたデータの数 と考えてもよい。 シャノンの理論により,標本化周波数がアナログ 信号の最高周波数の2倍より大きいならば,離散化 したデジタル信号からもとのアナログ信号に復元で きる. 4 4 量子化について 標本化されたデータ をディジタル量にする ことを量子化という. 実際の標本化した値 を量子化するとき、誤 差が出てしまう。 また,そのデータを何段階の数値で表現するかを 示す値を量子ビット数と呼ぶ.上の例ではその量子 ビット数は8であるとわかる。 5 5 6−4 A/D変換器 例えば,量子化のきざみを0.5vとしたら,0.5以下なら, 0vと,4.5v∼5.4vなら,5vとみなす.5vのアナログ信号 が入力されたとき,比較器からの出力は0011111となり, コード変換回路(デコータ)により,デジタル信号になる. 6 6 デコータの原理 比較器の出力は0011111であるので,5vを意味 するが,2進数の101になっていない.したがって, 0011111を101に変換する必要がある.それはデ コータの役割である. 7 7 デコータの原理 例えば(単純な 例で考えよう), 入力するアナ ログ信号の範 囲は0v∼7vと すると,次の真 理表により,デ コータを作るこ とができる. I6 0 0 0 0 0 0 0 1 I5 0 0 0 0 0 0 1 1 入力 I4 I3 I2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 I1 0 0 1 1 1 1 1 1 I0 0 1 1 1 1 1 1 1 出力 O2 O1 O0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 0v 1v 2v 3v 4v 5v 6v 7v 8 8 Q0=I0+I2I1I0+I4I3I2I1I0+I6I5I4I3I2I1I0 Q1=I1I0+I2I1I0+I5I4I3I2I1I0+I6I5I4I3I2I1I0 Q2=I3I2I1I0+I4I3I2I1I0+I5I4I3I2I1I0+I6I5I4I3I2I1I0 I6 0 0 0 0 0 0 0 1 I5 0 0 0 0 0 0 1 1 入力 I4 I3 I2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 I1 0 0 1 1 1 1 1 1 I0 0 1 1 1 1 1 1 1 出力 O2 O1 O0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 1 I0 0v 1v 2v 3v 4v 5v 6v 7v I0 I1 I2 … … A B A B A B A B Z Z Q0 Z Z 類似の方法で、Q1とQ2も作られ、したがって、 デコーダが実現できる。 9 9 6−5 D/A変換器 この変換器を重み抵抗型D/A変換器という。 OPの加算回路を使い、抵抗の比例で出力電圧の重 みを作る。デジタル信号は各重みのスイッチとなり、 対応するアナログ信号の値に変換できる。 10 10 6−5 D/A変換器 R R R R vo = − 0 + 0 + 0 + 0 E R 2 R 4 R 8R 1 1 1 R = −1 + + + 0 E 2 4 8 R R 0 E = 8 とすると、 ここに、 R デジタル信号1010が入力 されたとき、 1 vo = −1 + 8 = −10v 4 となる。正しく変換できる。 11 11 第6章の演習問題 (1) 教科書P.93 6.1, 6.3 12 12
© Copyright 2024 ExpyDoc