国際経済の基礎 関税の効果 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年12月7日 1 鎖国をしているときの均衡価格 価格 供給曲線 P 需要曲線 数量 Q 2 開国して,国際価格がP* 価格 供給曲線 国内生産量 国内消費量 P* 輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 3 貿易の効果 国際価格が低ければ 価格の下落 消費の増大 国内生産の減少 輸入量の増加 消費者は得 生産者は損 4 国際価格P*,財1単位当たりtの関税 価格 供給曲線 関税後の国内生産量 関税後の国内消費量 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 5 自由貿易に比べ関税を課すと 価格の上昇 消費の減少 国内生産の増加 輸入量の減少 消費者は損 生産者は得 政府は関税収入を得る 関税収入=税率×輸入量 6 財1単位当たりtの関税の関税収入 価格 供給曲線 関税収入 関税後の国内生産量 関税後の国内消費量 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs Qc 7 貿易の効果 経済全体の望ましさはどうなるか? 経済全体の望ましさを経済厚生という 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰 もし政府が入れば 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰+税収 8 関税の効果 関税によって経済厚生は増加するだろう か? 消費者余剰とは 生産者余剰とは 9 消費者余剰 消費者余剰とは大ざっぱに実際に価格を支 払ったときの財からの満足度 正確には支払ってもよいと考えている金額か ら実際に支払った金額を差し引いた値 英語で Consumer Surplus と言い CS と書く 10 支払い意欲 財のその数量へ1単位増えたときにどのくら い支払っても良いか考えている それを支払い意欲という 限界効用に似かよった概念 11 支払い意欲 ヤワラがビザを食べようとしている 1枚目のビザは1800円まで支払おうとして いる. 1枚目を食べてもう1枚には1600円の支払 い意欲 この金額までは支払って良いと考えているの で,それ以下の価格では喜んで支払うだろう 12 ヤワラのピザへの支払い意欲 ピザの枚数 支払い意欲 1 1800 2 1600 3 1500 4 1400 5 1300 13 支払い意欲のグラフ 支払い意欲 1800 1600 1500 1400 1300 枚数 1 2 3 4 5 14 ピザの価格が1400円のとき 支払い意欲 4枚目まで食べるだろう 1800 1600 1500 価格は1400円 1400 1300 5枚目までは食べない 枚数 1 2 3 4 5 15 需要曲線=支払い意欲曲線 価格と支払い意欲が一致している枚数を購 入する これは需要曲線と同じ 価格に対して購入しようとする数量 支払い意欲曲線は各数量から1単位増えた ときに支払っても良い金額 価格=支払い意欲→購入量 16 需要曲線(価格から数量へ) 価格 P 需要曲線 数量 Q 17 支払い意欲のグラフ=需要曲線 支払い意欲,価格 1800 1600 1500 1400 需要曲線 1300 枚数 1 2 3 4 5 18 ピザの価格が1400円のとき 支払い意欲 支払い意欲-支払額 =財購入による満足 =消費者余剰 1800 1600 1500 価格は1400円 1400 1300 4枚目まで食べるだろう 枚数 1 2 3 4 5 19 消費者余剰 支払ってもよいと考えている金額から実際 に支払った金額を差し引いた値 金額を面積で表す=△PABの面積 A 消費者余剰 B P 需要曲線 20 Q 生産者余剰 生産者余剰とは実際にその市場で営業して いる企業の利益を表します 生産者余剰 Producer Surplus , PSで略 生産者余剰とは収入から可変費用を差し引 いた額を言う 収入=価格×数量 可変費用とは産出量の増減により変化する 費用を表す 21 生産者余剰と利潤 利潤に似た概念 生産者余剰=収入ー可変費用 収入 Revenue,Rで略 可変費用 variable cost, VCで略 PS=RーVC 利潤は収入から総費用を差し引いた額 総費用は可変費用と固定費用を加えた額 22 生産者余剰と利潤 総費用 total cost, Cで略 固定費用 fixed cost,FCで略 利潤をπとすると π=RーC=Rー(VC+FC) よって, π=PS+FC PS = πー FC 23 供給曲線と生産者余剰 固定費用が0の企業,可変費用のみ 限界費用とは生産量が1単位増加したとき の費用の増分 限界費用曲線は供給曲線である 24 限界費用の例 生産量 限界費用 1 2 3 800 900 1100 4 1400 25 可変費用と限界費用 生産量 限界費用 可変費用 0 1 2 0 800 900 800 1700 3 1100 2800 4 1400 4200 1700+1100=2800 26 限界費用曲線 限界費用 このすべての面積が生産 量4の時の可変費用 限界費用 1400 1100 900 800 枚数 1 2 3 4 27 限界費用曲線=供給曲線 限界費用,価格 生産量は4単位 価格が1400円 1400 1100 900 800 枚数 1 2 3 4 5 28 限界費用曲線=供給曲線 限界費用,価格 供給曲線 価格 1400 1100 900 800 枚数 1 2 3 4 数量 29 供給曲線と収入 限界費用,価格 この面積が収入 生産量は4単位 価格が1400円 1400 収入=価格×数量 1100 900 800 枚数 1 2 3 4 30 供給曲線と収入 価格 供給曲線 1400 四角の面積=収入 1100 900 800 数量 1 2 3 4 31 供給曲線と可変費用 価格 供給曲線 1400 台形の面積=可変費用 1100 900 800 数量 1 2 3 4 32 生産者余剰=収入ー可変費用 収入 - 可変費用 = 生産者余剰 33 供給曲線と生産者余剰 価格 生産者余剰 供給曲線 1400 1100 900 800 数量 1 2 3 4 34 消費者と生産者余剰 価格 供給曲線 消費者余剰 1400 1100 生産者余剰 900 800 数量 1 2 3 4 35 鎖国をしているときの経済厚生 価格 供給曲線 経済厚生 P 経済厚生=消費者余剰+生産者余剰 需要曲線 数量 Q 36 開国して,国際価格がP* 供給曲線 消費者余剰 価格 生産者余剰 国内消費量 P* 輸入量 需要曲線 数量 Qs 国内生産量 Qc 37 自由貿易が望ましい 自由貿易の経済厚生>鎖国の経済厚生 供給曲線 消費者余剰 価 格 経済厚生の増分 生産者余剰 国内消費量 P * 国内生産量 輸入量 Qs 需要曲線 Qc 38 財1単位当たりtの関税の関税収入 価格 供給曲線 消費者余剰 生産者余剰 関税収入 P*+t P* 関税後輸入量 需要曲線 数量 Qs 関税後の国内生産量 Qc 関税後の国内消費量 39 自習貿易が望ましい 自由貿易の経済厚生>関税賦課後の経済厚生 価 格 供給曲線 厚生の増加分 生産者余剰 消費者余剰 関税収入 P*+t P* 関税後輸入量 関税後の国内生産量 Qs 需要曲線 Qc 数 量 関税後の国内消費量 40 結論 自由貿易が一番厚生が高い 保護貿易的な関税は厚生を低くする しかし鎖国よりは望ましい 41
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