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国際経済学
(6) 経済厚生
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2011 年11月28日
今日学ぶこと
1.
2.
3.
4.
経済全体の取引による利益はなんだろう
消費者余剰
生産者余剰
経済厚生
2011/11/28
国際経済学6
2
消費者余剰


安いお買い物をしたときのお買い得感が消費
者余剰
消費者余剰は取引をした後の満足度を表す

実際に価格を支払ったときの財からの満足度
の残り(余剰)

正確には支払ってもよいと考えている金額から
実際に支払った金額を差し引いた値
英語で Consumer Surplus
CS と略す


2011/11/28
国際経済学6
3
支払い意欲

消費をするときに満足度と購入の費用を比較

同じ値段でも既に沢山購入していればもう買
わない
ある財が1単位増えたときにどのくらい支払っ
ても良いか考えている





買っても良いと思う最高価格を支払い意欲とい
う.支払い意欲額とも言う
支払い意欲額よりも価格が低ければ買う
それよりも高ければ買わない
同じであれば買うと仮定しよう
2011/11/28
国際経済学6
4
支払い意欲/2




真央が苺大福を食べようとしている
1個目の苺大福は180円まで支払おうとしてい
る.
1枚目を食べてもう1個追加して2個目の苺大福
には160円の支払い意欲
この金額までは支払って良いと考えているの
で,それ以下の価格では喜んで支払うだろう
2011/11/28
国際経済学6
5
真央の苺大福への支払い意欲
苺大福の個数
2011/11/28
支払い意欲
1
180
2
160
3
150
4
140
5
130
国際経済学6
6
支払い意欲のグラフ
支払い意欲
180
160
150
140
130
個数
1
2011/11/28
2
3
4
5
国際経済学6
7
何個目まで食べる
価格が低ければ沢山食べる
 何個の苺大福まで食べるだろうか?
 価格<支払い意欲 → 購入
 価格>支払い意欲 → 購入しない
 実際に食べる個数 → 価格=支払い意欲
 苺大福の価格が140円だったら何個食べる?

2011/11/28
国際経済学6
8
苺大福の価格が140円のとき
支払い意欲
4個目まで食べるだろう
180
160
150
価格は140円
140
130
5個目までは食べ
ない
個数
2011/11/28
1
2
3
4
5
国際経済学6
9
需要曲線=支払い意欲曲線






最後の一個の意欲と費用は同じだが購入する
と考えていく
価格と支払い意欲が一致している個数を購入
価格=支払い意欲→購入量
これは需要曲線と同じ
価格に対して購入しようとする数量
支払い意欲曲線は各数量から1単位増えたと
きに支払っても良い金額
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国際経済学6
10
需要曲線(価格から数量へ)
価格
P
需要曲線
数量
Q
2011/11/28
国際経済学6
11
支払い意欲曲線=需要曲線
支払い意欲,価格
180
需要曲線
160
150
140
130
個数
1
2011/11/28
2
3
4
5
国際経済学6
12
支払額
支払い意欲,価格
支払額
=140(円)×4(個)
=560円
需要曲線
180
160
150
価格は140円
140
130
個数
1
2011/11/28
2
3
4
5
国際経済学6
13
苺大福の価格が140円のとき
支払い意欲
支払い意欲-支払額
=財購入による満足
=消費者余剰
180
160
150
価格は140円
140
130
4個目まで食べるだろう
個数
1
2011/11/28
2
3
4
5
国際経済学6
14
消費者余剰


支払ってもよいと考えている金額から実際に支払
った金額を差し引いた値
金額を面積で表す=△PABの面積
A
消費者余剰
B
P
需要曲線
Q
2011/11/28
国際経済学6
15
総消費者余剰
市場全体の消費者余剰は総消費者余剰と呼ば
れる
 普通の消費者余剰は正確には個別消費者余剰

消費者余剰は個別消費者余剰と総消費者余剰
の両方の意味でしばしば使われる
 どちらなの自分で判断

2011/11/28
国際経済学6
16
供給側の余剰の表現
生産や財の供給する側の取引による利益を
どう表現するか
 これも同じく余剰概念で考える
 費用と便益の比較

1. 取引する財を手放す事によって収入を得る
2. 財を生産するときの費用
2011/11/28
国際経済学6
17
生産者余剰





生産者余剰とは実際にその市場で営業してい
る企業の利益を表します
利潤と似通った概念.だが少し違う.
生産者余剰 Producer Surplus
PSで略
生産者余剰とは収入から可変費用を差し引い
た額を表す
2011/11/28
国際経済学6
18
生産者余剰



財の販売と引き替えに得られる金銭が収入
収入=価格×数量
可変費用とは産出量の増減により変化する費
用を表す
 E.g.原材料,人件費,部品代


費用は可変費用と固定費用に分かれる
固定費用とは生産量に関わらずかかる費用
 E.g.機械設備購入代金,地代,借入金の利子支払
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国際経済学6
19
供給曲線と生産者余剰

固定費用が0の企業,可変費用のみ

限界費用とは生産量が1単位増加したときの
費用の増加分
限界費用曲線は(ほぼ)供給曲線である

 あとで学ぶ.今はそのようなものだと見なす

苺大福生産の限界費用を考えよう
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国際経済学6
20
限界費用の例
2011/11/28
生産量
限界費用
1
2
3
80
90
110
4
140
国際経済学6
21
限界費用曲線
限界費用
限界費用4
限界費用3
限界費用2
限界費用1
140
110
90
80
個数
1
2011/11/28
2
3
4
国際経済学6
22
限界費用と可変費用

1.
2.
限界費用と可変費用の2つの重要な関係
ある生産量の可変費用は,1単位前の可変費
用にそこから1単位生産量を増やしたときの限
界費用を加えたもの
ある生産量の可変費用は,その生産量までの
限界費用をすべて加えたもの
2011/11/28
国際経済学6
23
可変費用と限界費用
生産量
限界費用
可変費用
0
1
2
80
90
0
80
170
3
110
280
4
140
420
可変費用に限
界費用を加え
ると次の可変
費用になる
0+80=80
80+90=170
170+110=280
80+90+110=280
2011/11/28
国際経済学6
24
限界費用曲線
限界費用
それに限界費用4を加え
ると生産量4の可変費用
=280+140
=420
この色の面積が
生産量3の可変
費用=280
140
限界費用4
110
90
80
個数
2011/11/28
1
2
3
4
国際経済学6
25
限界費用曲線=供給曲線
限界費用,価格
供給量は4単位
140
110
90
価格が140円
80
個数
1
2011/11/28
2
3
4
5
国際経済学6
26
限界費用曲線=供給曲線/2


限界費用曲線は供給曲線でもある
利潤最大化条件
限界費用=価格

限界費用=価格 → 企業の望ましい生産量
2011/11/28
国際経済学6
27
限界費用曲線=供給曲線/3
限界費用,価格
供給曲線
価格
140
110
90
80
個数
2011/11/28
1
2
3
数量
4
国際経済学6
28
供給曲線
限界費用,価格
供給量は4単位
140
110
90
価格が140円
80
個数
2011/11/28
1
2
3
4
国際経済学6
29
供給曲線と収入
限界費用,価格
この面積が収入
供給量は4単位
価格が140円
140
110
90
収入=価格×数量
80
個数
2011/11/28
1
2
3
4
国際経済学6
30
供給曲線と収入/2
価格
供給曲線
140
四角の面積=収入
110
90
80
数量
2011/11/28
1
2
3
4
国際経済学6
31
供給曲線と可変費用
価格
供給曲線
140
台形の面積=可変費用
110
90
80
数量
1
2011/11/28
2
3
4
国際経済学6
32
生産者余剰=収入ー可変費用
収入
=
2011/11/28
-
可変費用
生産者余剰
国際経済学6
33
供給曲線と生産者余剰
価格
供給曲線
生産者余剰
140
110
90
80
数量
2011/11/28
1
2
3
4
国際経済学6
34
総生産者余剰
市場全体の生産者余剰は総生産者余剰と呼ば
れる
 普通の生産者余剰は正確には個別生産者余剰

生産者余剰は個別生産者余剰と総生産者余剰
の両方の意味でしばしば使われる
 どちらなの自分で判断

2011/11/28
国際経済学6
35
消費者と生産者余剰
価格
供給曲線
消費者余剰
140
生産者余剰
110
90
需要曲線
80
数量
1
2011/11/28
2
3
4
国際経済学6
36
経済厚生


経済厚生あるいは総余剰とは取引をしている全
ての主体の望ましさ
経済厚生は消費者余剰と生産者余剰の和

政府がある場合はそれに政府税収をさらに加
える

需要曲線と供給曲線の交わる点である完全競
争市場の均衡では経済厚生が最大化される
2011/11/28
国際経済学6
37
生産者余剰と利潤






利潤に似た概念
(1)
生産者余剰=収入ー可変費用
収入 Revenue
Rで略
可変費用 variable cost
VCで略
(1)から次の式が成り立つ
PS=RーVC
2011/11/28
国際経済学6
38
生産者余剰と利潤/2







利潤は収入から総費用を差し引いた額
総費用は可変費用と固定費用を加えた額
固定費用とは生産量に関わらずかかる費用
総費用 total cost
Cで略
固定費用 fixed cost
FCで略
2011/11/28
国際経済学6
39
生産者余剰と利潤/3


利潤をπとすると
π=R-C
=R-(VC+FC)
=R-VC-FC
=PS-FC
以上の議論より
π=PS-FC
PS = π+ FC
2011/11/28
国際経済学6
40
生産者余剰と利潤/4


生産者余剰は利潤に固定費用を加えたもの
利潤は生産者余剰から固定費用を除いたもの
2011/11/28
国際経済学6
41
余剰と経済厚生のまとめ





消費者余剰は取引による消費者の利益
生産者余剰は取引による生産者の利益
消費者余剰は需要曲線と水平な価格線の間
生産者余剰は供給曲線と水平な価格線の間
経済厚生は消費者余剰と生産者余剰の和
2011/11/28
国際経済学6
42