文部科学省・科学研究費補助金「特定領域研究」 「情報統計力学の深化と展開」 領域代表 東京工業大学・大学院総合理工学研究科 教授 樺島祥介 2006/12/18 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 1/12 アウトライン • • • • 本領域の目的と意義 これまでの経緯 本領域発足の必要性 領域の概要と期待される成果 2006/12/18 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 2/12 目的および意義 • 現在目覚しい発展を遂げている情報科学へ の統計力学的接近法(以下,情報統計力学) を深化させ,有望な新領域に展開する. – 深化軸:情報通信分野,情報統計力学理論 – 展開軸:量子情報分野,生命情報分野 • 以上を通じて,当該分野における世界的拠点 としての揺るぎない地位を我が国に確立する. 2006/12/18 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 3/12 これまでの経緯 • 特定領域研究「確率的情報処理への統計力学的アプローチ」 – 平成14年度~平成17年度(領域代表 東北大 田中和之) – 目的:確率的情報処理に関する基礎理論を統計力学に基づき体系化 – 成果:情報科学における多体問題を統計力学の概念・方法に より解決する「情報統計力学」の骨格を形成 情報統計力学の骨格~モノとコトを分け隔てしない~ 多体問題:多数の要素から成る 系の機能・性質に関わる問題 情報の問題 通信,画像処理, データ解析,etc 2006/12/18 同 一 視 情報科学に 自然科学の視点 重層的な接近法 ・実験,近似, 厳密解,etc 物理の問題 「理論=証明」 磁性体,合金, 高分子,ガラス,etc H18成果発表会 からの発想の転換 大手町サンケイプラザ 統計力学の 概念と方法 “More is different” PW Anderson, 1977 Nobel Prize Winner 性能評価 レプリカ法,ゲージ理論, 相転移理論,etc アルゴリズム 平均場近似,MCMC法, DMRG法,etc 4/12 国内外の現状 • 国内:情報通信分野で特に顕著な成果 – 各種符号(誤り訂正,圧縮,CDMA等),画像の統計 力学的研究については現時点で世界トップの実力 • 国外:統計力学の広範な応用への関心の高まり – 欧州‥計算理論,ゲーム理論などとの境界領域 (EVERGROW 2004-2007) – 米国‥情報理論コミュニティ,ロスアラモス国立研究 所などを中心にグループ形成の動き 日本の研究(=情報統計力学)への関心は きわめて高い(前途有望な領域と認識) 2006/12/18 5/12 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 本領域発足の必要性 「情報統計力学」周辺の現状 • 現在は,各勢力が拮抗 得意分野 – 日本:情報通信 – 欧州:計算・ゲーム理論 – 米国:潜在能力 情報通信 計算・ゲーム理論 潜在能力 • 今後は日本の「御家芸」ともいえる情報通信分野を 中心に情報統計力学の本格的肉付けが始まり競争 の激化が必至 • 日本が主要な領域開拓者としての地位を歴史に刻 むためには今が正念場 ⇒一層のアクティビティ強化が必要! 2006/12/18 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 6/12 世界をリードするための戦略 -現在リードしている情報通信,情報統計力学理論を深化 -近未来に発展が見込まれる量子情報,生命情報へ展開 類似性に基づく 解決指針の提供 C:生命情報班 システム論的生命 情報解析法の確立 解ア 析ル 法ゴ のリ 提ズ 供ム 2006/12/18 ・ 問題の提示・ 有効性の検証 類似性に基づく 解決指針の提供 A:情報通信班 情報通信に関する 高度な研究の推進 解ア 析ル 法ゴ のリ 提ズ 供ム ・ 有問 効題 性の の提 検示 証・ B:量子情報班 量子確率に関する 多体理論の構築 D:情報統計力学班 アルゴリズム・解析法 の開発 現在の領域 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 問題の提示・ 有効性の検証 解ア 析ル 法ゴ のリ 提ズ 供ム ・ 本 領 域 が 目 指 す 領 域 イ メ ー ジ 7/12 情報通信・情報統計力学の実績 各種符号化問題の統計力学に基づく性能評価と アルゴリズム開発(日本の御家芸) 性能評価 符号化問題は本質的に多体問題 例)CDMA通信方式 ア ル ゴ リ ズ ム より高度な・複合的な問題への応用, 数理的基礎付けが今後の課題 2006/12/18 H18成果発表会 (今後数年は成果の収穫期)大手町サンケイプラザ 8/12 量子情報分野の目標 量子確率の制御法,利用法に関する多体理論の 構築 制御法 量子誤り訂正 これまでの研究の流れ ・最適効率,最悪効率の評価 ⇒量子情報理論,量子計算理論 ・具体的な物質系,モデル系 ⇒物性物理学,量子統計力学 我々の目標 あるクラスの 量子符号 ⇔ 古典SG模型 利用法 多体問題を基軸としてこれらの潮流を融 合させ,「最適」,「最悪」,「具体」をシー ムレスにつなぐ理論を作る ・量子誤り訂正問題での検討 ・系統的近似計算法の開発 ・網羅的研究による量子確率の理解 2006/12/18 H18成果発表会 ・etc 量子徐冷 量子確率に よる徐伶 > 古典確率に よる徐伶(?) 大手町サンケイプラザ 9/12 生命情報分野における最新の成果 (Yoshida and Ishii, Neuron 50(5), 781-789, 2006) 不確実環境下での状態推定過程に関わる脳内部位 をシステム論的解析で解明 迷路課題を用いたfMRI実験(ヒト) - 迷路構造とゴールは知っている - スタート位置はわからない - 現在位置の周りだけわかる モ デ ル 情報統計力学が大活躍 不確かな情報からの「信念」の形成 ・推定過程のモデル化 =多数要素が関連する多体問題 ・モデルに基づいた脳内負荷の推定 =統計力学的計算法 による系統的な解析 脳内部位の役割解明 脳画像の回帰解析 ★行動履歴から現在位置を推定 1. 前部前頭前野 実験 推定候補の保持・評価 2. 内側前頭前野 2006/12/18 H18成果発表会 行動の観察・評価 大手町サンケイプラザ 10/12 位置づけと期待される成果 • モノとコトを横断する多体理論(=多体問題を 解決する方法論)の確立 – 複数の重点推進分野(情報通信,ナノテクノロジー, ライフサイエンス)に関わる重要な基礎研究 – 従来常識とは異なる発想⇒革新的技術の源泉 • PD,大学院生を巻き込んだ推進による幅広い 視野と高度な知識を兼ね備えた人材の育成 – これまでの高い実績 • 国外研究グループとの競争,協力,密接な交 流を通じた日本発の研究成果の国際的定着 – 「世界から尊敬される日本」への貢献 H18成果発表会 2006/12/18 大手町サンケイプラザ 11/12 領域をつらぬくコンセプト • “More is different in informatics as well” • 領域ロゴマークと英語名称 Deepening and EXpansion of Statistical Mechanical Informatics 2006/12/18 H18成果発表会 大手町サンケイプラザ 12/12
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