卒業論文発表 片方向通信路を含む ネットワークアーキテクチャに於ける 動的な仮想リンク制御機構の設計と実装 Mikiyo Nishida [email protected] 本研究の概要 • 片方向通信路をインターネット上で使う – 現在のプロトコルに変更を加えない • トンネルを用いた仮想的なリンク ▼ – 従来の手法は、手動でトンネルを管理 • 管理にかかる労力が大きい • 大規模性に欠ける ▼ • 動的な、トンネルを含むインターフェースの管理 機構を設計、実装 片方向通信路の有効性 • トラフィック・パターンと片方向通信路 – http – プッシュ型 サービス – ストリーム配信 既存の片方向通信路 • 通信衛星を利用した通信路 – デジタル衛星放送の機器を使用した、単一方 向の伝送媒体 – DirecPC など • CAVT網を使用した通信路 片方向通信路の問題 • 片方向通信路は、現在の通信技術と親和性が 低い – 経路制御情報の交換 – データリンク層アドレスの通知 ▼ 通信路の双方向性が前提 既存の解決手法とその問題(1) • 現在あるプロトコルを改変する(Protocol Modification) 根本的な変更は多大な労力を要する プロトコル毎に対処しなければならない 既存の解決手法とその問題(2) • トンネルを使った仮想リンクを設定する (Tunneling Approach) 既存のプロトコルの変更が不要 大規模性に欠ける WISHにおける成果 • インターネット上の通信路としての衛星回 線の使用 – 衛星回線を利用したIP通信 • 単一方向伝送路としての衛星回線の使用 – トンネリングを利用した仮想的な復路 – 経路制御プロトコルの動作 本研究の位置付け • Tunneling Approach に大規模性を – 現在のプロトコルを改変せず、且つ実用に充 分な大規模性を持つ機構を構築 ▼ Tunneling Approach を採用し、これを拡張 ▼ • 片方向通信路、双方向通信路+トンネル、 の2つのインターフェースを動的に制御 大規模性のための機構 • 仮想リンク(トンネル)の動的な設定 • 片方向通信路上の受信局に対する動的な IPアドレスの割り当て • 片方向通信路の状態検知とインターフェー スの制御 本研究で実現した機構(1) • 仮想リンクを実現するトンネルの動的制御 • 片方向通信路インターフェースに付与する IPアドレスの動的割り当て • 片方向通信路上でのデータリンク層アドレ ス通知 • 片方向通信路の状態検知と動的なイン ターフェースの制御 本研究で実現した機構(2) 実装 • UDP を使用したメッセージ交換 – UDL 上を流れる定期通知メッセージ – BDL 上で交換するメッセージ群 • メッセージに基づく状態遷移 – 個々の受信局で状態を管理 • 状態の変化に応じて仮想リンク、インター フェースを制御 機構の動作概要 評価 • 評価項目 – 動的仮想リンク制御機構を使用したネットワー クにおける経路制御の動作を確認 – 動的仮想リンク制御機構の性能評価 テストベッド 評価環境 • OS – FreeBSD 2.2.1 RELEASE • BDL – 10BASE/T Ethernet • UDL – ドライバを改造した10BASE/T Ethernet • 経路制御デーモン – Gated Revision 3.5 beta3 • 経路制御プロトコル – RIPv1 経路制御の動作評価(1) 経路制御の動作評価(2) 性能評価(1) • 動的仮想リンク制御機構の設定値 – 送信局の設定 • HELLO 送出間隔 10秒 • 仮想リンク使用有効期限 1800秒 • IPアドレス自動設定 あり – 受信局の設定 • 片方向通信路タイムアウト 30秒 • 異常と判断するシークエンス番号の増分 10 性能評価(2) • 性能評価の項目 – 受信局のリンク確立所要時間 – 送信局動作停止を検出する所要時間 – 送信局異常を検出する所要時間 • 精度1秒で5回計測 性能評価(3) 35 30 29 26 25 25 22 20 21 15 10 9 8 5 5 1 0 (回数) 8 1 3 0 0 2 性能評価 3 4 3 2 5 (秒) 受信局リンク確立 送信局停止検出 送信局異常検出 性能評価(4) • 性能は以下のパラメータに依存する – HELLOメッセージ送出間隔 – UDL タイムアウト値 • HELLOメッセージによるオーバーヘッド – 送信間隔 10秒の場合、ビット毎秒に換算して 38.4bit/s ▼ • オーバーヘッドは、通信路の帯域に対して 無視できる程小さい 大規模性 • 受信局からの要求は、一定の時間枠の中 でランダムに分散される – 1000の受信局が10秒以内にリンクを確立する →送信局での制御メッセージのトラフィック 54.4K bit/s – 分散の幅を大きくすれば大規模性は向上する 結論 • 片方向・双方向の通信路を統合的に使用 するネットワークアーキテクチャの構築 – 従来の通信技術に改変なく使用できる機構 – 現在のトラフィックパターンに適合 • 従来の手法になかった大規模性を実現 • 実用に足る性能を保持 標準化 • IETF UDLR-WGで、動的トンネル制御の プロトコルを標準化 – 簡素なINRIA案、本研究で提案する方式の WIDE案の2つのプロポーザル – 両者を統合したプロトコルを作成し、標準のプ ロトコルとする 今後の課題 • 各種経路制御プロトコルとの親和性 – 更なる検証が必要 • 大規模性の向上 – 数千/数万規模の受信局への対応 • 次世代の経路制御が持つべき要件の考察
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