通訳の原理

通訳の原理
理解→転換→表出のプロセスについて
用語の説明:言語の種別

SL:起点言語 source language


話し手の言語、翻訳、通訳の原語
TL:目標言語 target language

聞き手の言語、翻訳、通訳の訳出語
通訳者はSLからTLへの通訳を行う
 A言語:通訳者にとっての母語
 B言語:通訳者にとっての第二言語



パッシブ能力:聞く、読む能力
アクティブ能力:話す、書く能力
用語の説明:通訳の形式
 逐次通訳
 センテンス(単文、短文)通訳
 長文逐次通訳
 同時通訳
 通訳装置を使用した同時通訳
 ウィスパリング同時通訳
以上の他にも時差通訳などがある。
通訳者の理解を支える知識
 世界知識:一般常識、雑学的知識
 状況知識:参加者、目的、場所など
 言語知識:語彙、語法、語用
 専門知識:用語、枠組み、考え方
通訳者の言語理解の特徴

言語の線状性と意味単位ごとのオンライン処理




音韻形式の分析によって切り分けをおこなう。
切り分けた意味単位で暫定的に意味表象に投射する。
投射された意味表象は暫定的にTLに変換される。
ある程度のサイズに統合しTLの修正を行う。
逐次通訳:記憶保持の補助手段としてノートをとる。
 同時通訳:訳出可能な単位ごとにアウトプットする。
以上のように通訳者は理解と転換を常に同時進行
で行っている。

SLからTLへの転換
 意味のまとまりごとに理解しつつ、分析
と統合を繰り返しながら、話し手のメッ
セージをとらえる。
 深層構造の意味からTLの表層構造に
投射する。
 SLのメッセージ(M1)に含まれるコンテ
ンツおよびその関連性はTLのM2にお
いても保持される(等価の原則)。
言語使用域
SL(M1)の社会における位置
=>TL(M2)の社会における位置
場面とテクストの内容にふさわしい表現
非言語・パラ言語的要因

非言語(ノン・バーバル)要因



パラ言語(音声表現)要因


服装、持ち物、表情、物腰、話し方、相手との距離
言語そのものによる伝達は30%といわれる
発音、発声、音量、声の高低・大小、速度、抑揚…
→ 聞きやすさ、わかりやすさ
身体言語と通訳者

身振り手振りをどう訳すか
言語と非言語のコミュニケーション
1. 類似点:
 文化的に決定された記号体系を用いる
 個人が生み出すものである
 送り手が出す記号や表現に受け手が意味を見出す
2.相違点
 非言語的コミュニケーションは、異文化間の言語と
して用いることができる
 非言語的コミュニケーションは、同時に多数の出来
事を表せる
通訳能力の三次元モデル

通訳は言語能力・知識・技術の三つがそろって初め
て可能になる。どれか一つがゼロなら全体もゼロ。
・ 外国語が全くわからない。
・ そのことを全く知らない。
・ 情報処理ができない。
・ 音声表現ができない
…etc.
このような場合には、左図の体積は
ゼロとなる。すなわち、通訳の役割
を果たせないことになる。
通訳のプロセス ーまとめー
通訳者は長期記憶として保持されている各種の知
識を総合的に運用しながら話し手のメッセージをと
らえる。
 TL転換の際には通訳スキルを駆使して意味単位ご
とのオンライン処理をおこない、言語使用域に
もとづき適切な表現方法を選択する。
 通訳者は明瞭な発音、発声、豊かな音量と安定し
た声のトーン、聴き手の情報処理を容易にする速度
と間の取り方を工夫し魅力的なパフォーマンスでア
ウトプットする。
