通訳者としての心構え(1)

通訳者としての心構え
通訳者がしておくべきこと
獨協大学 国際教養学部准教授
中国語会議通訳者、翻訳者
永田小絵
本日のトピック
普段の勉強とトレーニング
 生活習慣
 仕事の始め方
 通訳の場と形式
 通訳業務の依頼
 現場に行く前に
 業務が終わったら
 トラブル、クレームへの対応
 エージェント、クライアントとの関係
 通訳の実績を積む

普段の勉強とトレーニング
 一般常識と専門知識
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長期記憶としての「知識」
相手の言葉が分かるということ
共感、反発、感動:心に刻み記憶すること
アクティブに働きかける理解
 二つの言語を操るということ
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言葉と文化、二言語使用者のアイデンティティ
二言語の分離
「話せる」と「訳せる」
一語対応、慣用表現
ことば遊び
 話し方のトレーニング
生活習慣

体の管理
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
体調の維持
喉を護り声を整える
飲食について
仕事と休養
心の管理
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好奇心を持つ
決めつけない
諦めない
恐れない
仕事の始め方

エージェント登録
◦ 公募、紹介、リクルート
◦ トライアル

応募書類
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

通訳実績一覧
得意分野、苦手分野
クライアント
連絡方法
支払い条件、守秘義務等の契約
二足のわらじか、独立開業か
◦ アマチュアとプロフェッショナル
◦ 勤め人とフリーランス
◦ ボランティア通訳という「問題」
通訳の場と形式

言語コミュニケーションの形態
◦ 一対一:病院、役所、インタビュー、取り調
べなど
◦ 一対多:講演、式典挨拶、研究発表、講座、
報告など
◦ 多対一:面接、記者会見での質疑など
◦ 多対多:座談会、ブレーンストーミング

通訳の形式
◦ 逐次、同時、ウィスパリング、時差

コミュニケーションと通訳者の介在
◦ 誰に向かって話すのか
◦ 通訳者は空気のような存在?
通訳業務の依頼を受ける
エージェント経由とソースクライアン
ト直請け
 問い合わせ、連絡の方法
 仮案件、確定案件
 テーマ、議題
 クライアント
 国内、国外出張
 稼働時間
 通訳形式

確定案件

確認事項
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◦

日時、集合場所
担当者氏名、緊急連絡先
通訳形式、通訳者数
打ち合わせの有無
パートナー
テーマとアジェンダ
◦ トピック、話し合いの目的、議事進行
◦ 原稿や資料の有無、参考書籍やサイトなど
◦ 発言者の氏名、肩書き
資料が来る前に

資料受け取りのタイミング
◦ 十日以上、三日前、前日、当日、直前

資料が来ない場合
◦
◦
◦
◦

参考図書や参照サイトによる基礎知識の拡充
話し合いの趣旨
話し合いが行われるに至った経緯について
発言者のバックグラウンド、著書や論文
話し合いの場とコミュニケーション形式
◦ そもそも資料などはない場合
◦ 参考資料はあるが膨大である場合
◦ 資料はあるが提供されない場合
資料を受け取ったら

資料の種類
◦ 発言原稿
◦ パワーポイント
◦ 映像資料

業務分担
◦ コンテンツで?

時間で?
資料の読み込み
◦ 事前準備に使える時間
◦ 附箋(質問事項)、書き込み、訳語調べ、
単語帳
◦ パワーポイントのスライド
◦ 読み原稿→サイト・トランスレーション
◦ 映像資料のボイスオーバー
通訳業務前日

確認事項
◦
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◦
◦

移動手段と時間
会場周辺
会場レイアウト
連絡先電話番号
予習と休息
◦ 前日になって届く資料

資料の整理
◦ 綴じる? 綴じない?
◦ ページ数、順序

イメージトレーニング
◦ 話し合いの段取り
現場につくまで

持ち物
◦
◦
◦
◦

資料、辞書、筆記具、メモ帳
イヤホンとイヤホンジャック(同時通訳)
タイマー(同時通訳)
ポストイット
服装、髪型
◦ 人目をひかない外見

靴、バッグ
◦ 資料が多い場合
◦ 移動が多い場合

社外秘資料の扱い
◦ 電車内での閲覧禁止
現場に到着してから

受付、担当者との顔合わせ
◦ 議事進行の確認、変更の有無
◦ 新規資料、資料差し替えの有無

発言者との打ち合わせ
◦
◦
◦
◦
◦

資料の変更や差し替え
発言の順序
疑問点の確認
話速や声の大小、訛の有無
注意すべき用語
業務環境の確認
◦ 通訳者の位置(逐次、ウィスパリング)、マイクの
有無
◦ ブース内機器の操作(同時)
業務開始~

決まり文句
◦ 自動処理できるもの

一語対応
◦ 地名、人名・肩書き、企業名
◦ 専門用語

同時通訳
◦ 順送りの処理
◦ チャンキング(情報の単位)
◦ EVS(聴いてから話すまでの時間差)


パートナーとの協力
逐次通訳
◦ 話し手、聞き手とのコラボレーション
◦ 文化的調整の可否
業務終了

資料の返却
◦ 資料、メモなどを回収される場合
◦ 資料を持ち帰る場合
主催者側担当者へのあいさつ
 終了時刻の確認
 エージェント担当者への連絡

フィードバック
資料の処分

エージェントへの終了報告
◦ 集合時刻、終了時刻
◦ 業務中に気づいたこと
◦ 特に報告が必要な事項

守秘義務
◦ 業務で知り得た事柄
◦ 復習、単語帳の整理
◦ 未返却資料の処分
トラブル
クレームへの対応

通訳現場でのトラブル
◦
◦
◦
◦

通訳者に責任のないトラブル
通訳者に責任があるトラブル
劣悪な労働環境
急な残業要求や契約にない業務依頼
クライアントからのクレーム
◦ 事実確認
◦ 通訳者の立場から釈明
◦ 事後処理について
エージェント、
クライアントとの関係

三者の役割
◦ 通訳者
◦ エージェント
◦ クライアント

通訳者とエージェント
◦ 労使・雇用関係はあるか

三者の協力体制
◦ よりよいコミュニケーションのために
◦ トリプル・ウィンをめざす関係
通訳の実績を積む

通訳実績
◦ エージェントへの実績報告

ランクアップ
◦ 通訳者のランク付け
◦ 資格取得や検定試験は役立つか
◦ 値上げ交渉は可能か

口コミ効果
◦ クライアントからの評価
◦ 通訳者仲間からの評価

スケジュール管理
◦ 働きすぎない