現代の翻訳論とその課題(PPT

通訳翻訳論 第四回
http://www.geocities.jp/nagatasae/
現代の翻訳論とその課題
「翻訳学の方向性と構造」
劉宓慶『當代翻譯理論』1993年
翻 訳 理 論
翻
訳
教
育
法
研
究
翻
翻
訳
訳
文
文
体
体
論
論
翻
翻
訳
訳
基
論基
礎
礎
理
理
論
翻
翻
訳
訳
プ
プ
ロ
ロ
セ
セ
ス
ス
研
研
究
究
論翻
訳
方
法
翻訳通訳研究の関連学問領域
比較言語学
記号論、
認知言語学
談話分析
翻訳通訳研究
認知心理学
読みの研究
言語情報処理
哲学
思想
論理学
社会学
教育学
コミュニケーション論
翻訳における等価と効果

語彙、文法のレベルで価値が完全に等しい訳出
を行うことはできるか。



数式や化学元素記号などはもともと言い換えを必要
としない。
自然言語におけるテクストの形式的な等価は同じ文
法形態を持つ言語間でも不可能。
Traduttore, traditore



翻訳者は裏切り者
翻訳者は反逆者
訳者はやくざ
翻訳における等価と効果

「言語使用域」(Register)という概念
あるメッセージが発信者から受信者に正確に伝達さ
れるためには、その場に適した「言語使用域」が必要
SL(M1)の社会における位置
=>TL(M2)の社会における位置

場面とテクストの内容にふさわしい表現
●
翻訳の等価と効果
二葉亭四迷の翻訳


I love you. → 「死んでもいいわ」
翻訳小説と役割語



日本語における役割語の使用とその効果
誰のセリフですか?
1.老博士
1.
2.
3.
4.
5.
「わしはとっくに知っておったんじゃ」
2.お嬢様
3.謎の中国人
「わたくしはとうに気づいておりましたわ」
4.外人
「わたし、それ、知ってたアルよ」
5.江戸っ子
「オウ、ソノコト、ワタシ、シッテマシタネ!」
「そんなこたぁ、こちとらぁ、とっくのとんまにご存じよ!」
訳せないものを訳す工夫
翻訳可能で翻訳必要→訳す
 翻訳可能で翻訳不要→訳さない
 翻訳不可能で翻訳不要→訳さない
 翻訳不可能で翻訳必要→どうにかする

翻訳には理論的には限界があるが、翻訳
行為(翻訳技術)には限界がない。
訳せないものを訳す工夫の例


(ある薬品を添加して)「これを加えると、納豆の
ように糸を引くようになります」
翻訳のコンテクスト




聞き手の属する社会に「納豆」はない。
話し手のメッセージは粘りを生じて糸を引くようになる
様子を視覚的なイメージで聞き手に伝えること。
製薬会社の実験室での通訳業務であり、ここで「納
豆」について説明しても無意味である。
聞き手の目の前に実物があり、可視である。
訳せないものを訳す工夫の例
納豆
抜糸地瓜
〓>>
視覚的な効果で糸を引いている様子を説明する効果を保持
一般によく知られている食品を用いた説明であることも同様
訳した結果が原文を超えた例

原文(中国語)「私たちの会社には“惧内協会”
があって……」


惧内:「妻(内人)を恐れる(恐惧)」
訳文(日本語)「我が社には『きょうさい組合』が
ありまして……」


きょうさい  恐妻/共済
聞き手は日本の会社員。最初に聞いたときは当然
「共済組合」と理解。徐々に「恐妻組合」であったこと
が明らかになり、原文より面白さが際だつ結果に。
翻訳の等価と効果
短歌を現代詩に翻訳する試み

春すぎて 夏来(き)にけらし 白妙(しろた
へ)の衣(ころも)ほすてふ 天(あま)の香
具山(かぐやま)

いつの間にか、春が過ぎて夏がやってきたようです
ね。夏になると真っ白な衣を干すと言いますから、あ
の天の香具山に(あの ように衣がひるがえっている
のですから)。
http://www.ogurasansou.co.jp/hyakunin/002.html

ゆれる せんたくもの お日さまの においが一杯。
深みどり色の 夏のはじめ。
松村よし子『新釈・平成イラスト版 恋の百人一首』(文化出版局)
翻訳の等価と効果

伝達の目的、予測される結果などにより起点言
語から目標言語への対応が決定される
立
ち
入
り
禁
止
関
係
者
以
外
STAFF
ONLY
翻訳とコード制約
一義的に訳語が決まる語彙や表現
VS
様々な解釈を許容する語彙や表現
 科学技術用語、テクニカルタームなどは訳語へ
の置き換えを正確に行うこと
 文学、とくに詩歌では言語資源の活用度が大き
いため、様々な工夫が必要になる
 翻訳理論から言えば高度な技術翻訳は容易
 翻訳の実践から言えば必ずしもそうではない
三者二言語モデルの図式
(Kirchhoff.1976)
翻訳通訳と言語コミュニケーション

翻訳通訳にはかならず発信者・翻訳者・受信者
が存在する


三者二言語モデル
翻訳通訳では三者が共有する知識が問題

言語の理解と産出を支える知識

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


言語知識
世界知識
場の知識
専門知識
翻訳通訳はコミュニケーションの問題として捉え
ることができる
多義的な文章の解釈および言い換え

みんな欲しいシャネル


誰もが欲しがるシャネルの製品?
シャネルの製品なら何でも欲しい?

ここで問題です

学校がつぶれた。
会社がつぶれた。
犬小屋がつぶれた。
 「つぶれた」をそれぞれ言い換えなさい。