通訳翻訳論第八回

通訳翻訳論6-3
通訳の実務 放送通訳
獨協大学 国際教養学部言語文化学科
永田小絵
放送通訳
テレビの二カ国語放送で
海外のニュースや討論番組を日本語に通訳したり、
在日外国人向けに日本語ニュースを
外国語(現在は英語のみ)に通訳したりする仕事
放送通訳の形態 1

時差通訳
外国語ニュースを事前に翻訳し、放送時にはオリジ
ナルの音声と同時に翻訳原稿を読み上げる(ボイ
ス・オーバー)
ニュース番組受信
翻訳・読み原稿作成
(数十分~数時間の時差)
ON AIR (放送)
(ボイスオーバーで読み上げ)
放送通訳の形態

2
セミ同通
翻訳する時間がなく、一回か二回、ビデオに録画し
たニュースを見てすぐにON AIR
ニュース番組受信
映像と音声で内容確認
時差は僅か
ON AIR(放送)
(同時通訳)
放送通訳の形態

3
生同通
突発的な事故など速報性を要求されるニュー
スではぶっつけ本番で同時通訳をおこなう。
緊急ニュースや世界的な式典の生中継など。
ニュース番組受信
ON AIR (放送)(同時通訳)
放送通訳の言語的特徴

テレビの視聴者という不特定多数に向
けて発信するマスメディアの仕事であ
る
◦ 耳で聞いてわかりやすい日本語
 誤解を招く語彙は使わない(同音異義語な
ど)
 難しい漢語はさけて和語を使う
 なじみのない略語には補足説明
 複雑な構文はさけて短い文で
 映像にあわせて日本語訳を編集
 アナウンサー並みの明瞭な発音、発声
放送通訳者の資質

ジャーナリスト
◦ 世界の出来事に関心があり、時事問題に敏感

アナウンサー
◦ 聞きやすい発音、発声、速度、正しいアクセ
ント、抑揚

通訳者
◦ 同時通訳にも対応できる通訳技術

翻訳者
◦ 時差通訳における読み原稿作成
放送通訳の実際
では、ここでVTRを利用して
放送通訳の現場を実際に見学してみましょう。
NHKの番組「英語でしゃべらナイト」の
一部を見ていただきます。