住民の防災対応に関する行政依存意識が防災行動に与え

金井昌信
論文発表者 30916019村山浩平
わが国の防災対策
災害対策基本法に基づき、行政主導で行われてきた
自然災害の犠牲者は減少
しかし!!
地球温暖化の影響で・・・
・ゲリラ豪雨
・巨大台風
・ハリケーン
行政の努力
+
住民の防災行動
が求められる
住民の行政依存を払拭
地域防災を促進することが求められている
・アンケート調査結果を用いて実証
・社会的背景について考察
住民の防災行動の実行を促すための対策を提案
カスリン台風に関する防災対応に関する行政責任意識
60代と70代以上
40 代以下と50 代
知識の程度によって行政依存意識に差は見られない
“よく知っている”回答者ほど行政依存意識が低くなっている
40 代以下と70代以上
災害報道への興味の程度によって
行政依存意識に明確な差は見られない
50 代と60代
災害報道への興味の程度が高いほど
行政依存意識が高くなっている
一般に災害報道への興味が高いほど、その視聴頻度は高くなる
防災対応に関する役割分担意識の把握
(1)
(2)
(3)
(4)
平常時において、災害の発生に備えた食料や飲料水、日用雑貨品を用意しておく
平常時において、地域の中で災害の危険性が高い場所や避難場所などに関する情報を周知させる
災害が発生しそうな状況において、避難をすべきかどうかの判断をする
災害が発生しそうな状況において、高齢者などの一人で避難することが困難な方への支援
行政と住民や地域、どちらが対応する?
防災対応に関する行政責任意識が強い住民ほど、行政が対応すべきと考えている
平常時の情報提供は、行政がやるべき
防災対応に関する行政責任意識別災害に備えた行動実施率
(1) 非常持ち出し品や水・食料などを用意している
(2) 家族で避難場所・避難経路を決めている
(3) 家族で状況に応じた災害時の対応行動を決めている
(4)浸水に備えてご近所と相談している
(5) 洪水HMを見たことがある
依存意識を有していない住民
依存意識を有している住民
行政主導の防災対策の“効果”
「国は、国土並びに国民の生命、身体および財産を災害から保護する使命を
有することにかんがみ、組織及び機能の全てをあげて防災に関し万全の措置
を講ずる責務を有する。」
国に責務がある
「地方公共団体の住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに
自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない。」
努力義務があることしか明記されていない
行政主導の防災対策の“限界”
1)防災施設の限界
ハード対策は想定外力に耐えうるよう整備が進められている
限界
想定外力を超えてしまっている
2)適切なタイミングでの情報伝達の限界
住民の適切な対応行動による避難対策が重要
ゲリラ豪雨を適確に予測することは困難
限界
3)面的・画一的な情報伝達の限界
条件の異なる住民が居住
地域の全住民の安全を担保することは困難
限界
行政主導の防災対策の“弊害”
行政は災対法に基づき最善の対策を行ってきた
公助
「自助」
行政依存意識が形成
「共助」
防災は行政がやるべきこと
自分の命は自分で守る
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過去の被災経験に関する知識を有していると、そうで
ない住民と比較して行政依存意識は低い傾向にある。
災害報道に関する興味・関心が高いと、そうでない住
民と比較して行政依存意識は高い傾向にある。
行政依存意識が高いほど、災害対応に関する様々な
役割は行政が担うべきと考えている傾向がある。
行政依存意識が低いと、洪水HM の閲覧や非常持ち
出し品の用意などの具体的な災害に備えた行動を
行っている傾向にある。
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災対法に基づく行政主導の防災対策を推進してきた
ことの“弊害”として、住民の防災対応に関する行政
依存意識が形成されてきた可能性を指摘した。
今後、災害犠牲者をさらに減少させるためには、“受
け身の自助”ではなく、防災対応に関する行政依存を
払拭し、“主体的な自助意識”を持つことを住民に促
す必要があることを提案した