行列・行列式

4.3 連立1次方程式
 a11 x1  a12 x2 
a x  a x 
 21 1 22 2


 an1 x1  an 2 x2 
 a1n xn  b 1
 a2 n xn  b 2
 ann xn  b n
Ax = b
と書くことができる。
(23)
行列 A とベクトル b が既知で、x の n 個
の要素が未知であるとする。次のような
係数の行列に右辺項を加えて拡張された
行列
a1n b1 
 a11 a12


a
a
a
b
21
22
2
n
2

B= 



ann bn 
 an1 an 2
を考えると、連立1次方程式が解をもつ
ための必要十分条件は
rank A = rank B
(24)
が成り立つことである。
|A|≠0 の場合は,逆行列 A-1 が存在するので
ˆb
A
(25)
1
xA b
A
がただ1つの解である。ここに、行列式 |A| における要素
ai j の余因子 Ai j による行列をつくり、それを転置させて
得られる行列を余因子行列といい、 次のように書く。
 A11

A12

ˆ
A


 A1n
ˆ
A
A 21
A 22
A 2n
A n1 

An2 


A nn 
の定義と行列の積の定義から
1
xi 
b1A1i  b2 A2i   bn Ani  (26)
A
が得られる。→ Cramer(クラーメル)の公式
例題2
解 問題の連立方程式は次のように書ける。
x yz 0


 2 x  y  3z  0
3 x  4 y  2 z  3

1 1 1 x  0

   
2

1
3

 y    0
 3 4 2 z   3

   
 1 3
 -14
 4 2
 x
 2 3
1
 

 y  1 1 1  5
3 2
z
  2 1 3 
2  2 1
3 4 2  3114

1×(-1)×2 +1×3×3+1×2×4
1 1
 2
4 2
1 1
3-12

1 1
3-14
 14 2 4  0   6 
- 1×(-1)×3-1×2×2-1×3×4=2
1
  

  5 1 1  0    3 / 2 
2
  

 11 1 3  3   9 / 2 
1 1

14 3 
0

1 1  
 -1   0 
2 3  
 3
1 1 
2-31 
P.112~
3.4.4 ガウスの消去法
• 連立1次方程式を解く解法としては,ガウ
スの消去法(Gaussian elimination),ガウス
ジョルダン法(Gauss-Jordann elimination),
LU分解法,ガウス・ザイデル法などが知ら
れている.
• ここでは,これらのうちで比較的分かり易く,
かつ,実用的でもあるガウスの消去法を使
うこととする.
132 x1 

 3 x1 
 x 
 1
369x2 
7 x2 
2 x2 
246x3 
2 x3 
3 x3 
×(3/2)
4812 (a )×(1/2)
6 (b)
7 (c )
まず,x1 の係数に着目し,
式(b)-式(a)× rb, rb = (式(b)のx1項の係数) / (式(a)の
x1項の係数) = 3/2
式(c)-式(a)×
rc, rc = (式(c)の
x16-12
項の係数) / (式(a)の
3-3 7-9
2-6
x1項の係数)
= 1/2 3-2
1-1 2-3
7-4
により,次のように変形する.
2 x1

 0
 0

 6 x2
 4 x3

 2 x2
 4 x3
 6
(a) (b) 


(c) x2
x3
8
3
2 x1

 0
 0

 6 x2
 4 x3

 -1
2 x2
 x2
 -2
4 x3
 x3
 -36
 3
8
(a) (b) (c) 次に,x2 の係数に着目し, 式(c′)-式(b′)×r c‘ , rc’ =
(式(c′)の x2 項の係数) / (式(b′)のx2項の係数) = 1/2
により,次のように変形する.
2 x1

 0
 0

-1-(-1) 1-(-2) 3-(-3)
 6 x2  4 x3  8
( a)  2 x2  4 x3  6
(b)  0  3x3  6
(c) ここまでの操作を前進消去と呼ぶ.
前進消去により得られた連立1次方程式で,
まず式(c″)より
x3 =6/3=2
が求められる.
次 に , こ の 結 果 を 式 (b′) に 代 入 す る と
x2 = [ - 6 - {(―4)×2}]/ ( - 2 ) = - 1
が求められる.さらに,これらの結果を
式(a)に代入すると
x1 = [8 - (4×2) - {6×( - 1)}]/2 = 3
が求められる.このようにして解を求める操作を,
後退代入と呼ぶ.