中高一貫校における教員の 休日決定支援プログラム

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中高一貫校における教員の
休日決定支援プログラム
A0878334
黒河健司
2
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
3
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
4
Ⅰ-ⅰ 時間割作成
時間割作成とは,クラス,教員,施設等に
元づく制約を考慮し,1週間分の授業予定を
決定する作業のこと
5
Ⅰ-ⅱ 時間割作成の現状
時間割作成についての研究は数多くあるにも
かかわらず,中高一貫校では未だ手作業による
時間割作成が行われている
その原因は,各学校における
制約条件が複雑だから
6
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
7
Ⅱ
時間割作成手法
時間割作成は年に1回の作業である
各教員へ
担当授業配分
時間割作成開始
例)田中先生は
高2(A,B,C):数B 各週2コマ
高3(A,D) :数C 各週2コマ
各教員の出勤
希望日集計
繰り返し作業!
全教員の
出勤日決定
例) 専任教師:休日希望提出
講師
:出勤可能日提出
細かい制約条件を考慮できる
教員の出勤日を決定する手法を提案する
8
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
9
Ⅲ-ⅰ 出勤日を決める為に
学校教員
専任教師: 担任するクラスがある
・月~土に1日休日を決められる
・休日決定→出勤日が決まる
講師
: 非常勤の教師
・出勤不可能日がある
・担当授業日を決める
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Ⅲ-ⅱ 専任の休日が決まるまで
各専任教師の
休日にしたくない曜日の希望度
(=不満度)
学年
教科
中1
理科
月
50
0
0
70
0
0
0
0
0
0
火
0
30
0
0
0
0
20
0
0
0
水
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
各制約条件を満たし,
数学
希望通りの休日につける様にする
国語
社会
不満度の合計値を最小化
英語
体育
木
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
金
0
0
0
0
100
0
20
0
0
0
土
0
0
0
0
0
0
50
0
0
100
11
Ⅲ-ⅲ 研究手法
• 休日決定問題を数理計画として定式化
• 定式化した問題を数理計画ソルバーに入力
• 数理計画ソルバーで求解可能か判定
• 求解可能なら出力結果から休日・出勤日を得る
12
Ⅲ-ⅳ 制約条件
1.
2.
3.
4.
5.
各専任は月曜から土曜までのうち1日休日を設ける
専任により,休日にできない日がある
同学年を担当する専任が同日に休めるのは3人まで
水曜日は全員出勤(学年会議)
水曜日以外に各教科ごとにその教科の専任が全員出勤
する日が1日以上存在する
6. 出勤している専任・講師を合わせて1日に担当できる
授業時間数がクラスの総授業数を上回る
7. 制約条件6の元,各教科ごとに1日の授業数を満たす
8. 講師によって出勤できない日がある
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• 制約条件5
水曜日以外に各教科ごとにその教科の
専任が全員出勤する日が1日以上存在する
表1:制約条件5例
月
火
水
国語科
全員出勤
数学科
英語科
全員出勤
全教員
出勤
木
金
土
社会科
体育科
理工科
全員出勤 全員出勤 全員出勤
14
• 制約条件6
出勤している専任・講師を合わせて1日に担当で
きる授業時間数がクラスの総授業数を上回る
例)
中学6クラス・高校8クラス 1日6時間授業の日
この日の総授業数は以下に示すものとなる
6 クラス数 × 3 学年数 + 8(クラス数) × 3(学年数)
× 6 時間 = 252(総授業数)
この252時間分を行えるだけの教員が出勤する
(専任教師は1日3時間,講師は1日6時間まで働ける)
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• 制約条件7
制約条件6の元,各教科ごとに1日の授業数を満たす
各教科ごとに1週間の全授業数から平均して1日当たりの授業
数を算出.その教科の担当教員が授業を行えるだけ出勤する
表2:制約条件7概略図
概略を右の表2に示す.
※この制約は後の時間割作成
への影響が大きいため,
使用するかどうかはその都度
決める
月 火 水 木 金 土
数学
総
授
業
数
国語
理科
社会
英語
その他
16
• 制約条件7
ただし,体育等の場所を使う教科に関しては,1日に行える
授業数に制限がある為,この制約を常に満たす必要がある
月 火 水 木 金 土
数 国 そ 理 他 理
総 学 語 の 科
科
国
授
他
語
業
社
数
会
英
英
語
語
英 数
語 学
社会
制約条件が整ったので定式化へ
体育はこのように
偏りが出てはいけない
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[前出]
Ⅲ-ⅱ 専任の休日が決まるまで
各専任教師の
休日にしたくない曜日の希望度
(=不満度)
各制約条件を満たし,
希望通りの休日につける様にする
不満度の合計値を最小化
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例) 中学1年担当
数学科 田中先生
Ⅲ-ⅴ
目的関数
x中1,数学,1,曜日
x中1,数学,2,曜日
目的関数は専任の休日振り分けに対する
中学1年担当
数学科 鈴木先生
⇒
不満度の最小化なので以下の様に設定する
x中2,国語,1,曜日
中学2年担当 国語科 山田先生
⇒
⇒
Minimize
f   H pqij x pqij
田中先生は月曜日が休み
学年, q  教科,
i {1,2,3}, j  曜日
x中1,数学,1,月曜  1, xp中
1,数学,1,火曜  0, x中1,数学,1,水曜  0,
変数 xpqij は以下のようにする
x中1,数学,1,曜日
1:学年p, 担当教科qの教員iは曜日jが休日
x pqij   数学科 鈴木先生 ⇒ x中1,数学, 2,曜日
中学1年担当
0:学年p, 担当教科qの教員iは曜日jに出勤
x中2,国語,1,曜日
中学2年担当 国語科 山田先生
⇒
例) 中学1年担当
数学科
田中先生
⇒
Hpqij は教員の希望度を表している
田中先生は月曜日が休み
今回はある日を休日にしたい場合の上限値を0
x中1,数学休日にしたくない場合の上限値を100とした
,1,月曜  1, x中1,数学,1,火曜  0, x中1,数学,1,水曜  0,
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Ⅲ-ⅵ
制約式
本研究で使用した制約式を以下に示す
x
j曜日
pqij
 1,
 x
q教科 i番号
pqij
 x
p学年 q教科
 k
q教科 t番号
 3,
pqi水曜
qtRqt
  k
q教科 t番号 j曜日
 0,
 0,
qtj
 Wqt ,
p  学年, q  教科, i  番号
(1)
p  学年, j  曜日
(2)
i  番号
(3)
Rqt  講師の出勤できない日
(4)
Wqt  講師の最低出勤日数
(5)
20
• 制約条件5
(6)式は,変数Zqjを決めている.左辺で,ある教科全体の人数からその日に
水曜日以外に各教科ごとにその教科の
休んでいるある教科の教員の人数を引いた値が,元の人数に等しい時だけ,等号成立.
専任が全員出勤する日が1日以上存在する
例)
休みあり
についての制約式は以下のようになる
12 zqj 12 1
zqj  0
mq zqj  mq  yqj ,
z
j曜日
qj
 2,
休みなし
12 zqj 12  0
zqj  1
q  教科, j  曜日
(6)
q  教科
(7)
1: 曜日jに教科qの教員全員が来ている
zある教科の教員が全員出席する日が水曜日以外に1日

qj  0,1
0 : 曜日jは教科qの教員1人以上が休み
yqj  曜日 jに休んでいる教科
qの教員の人数
⇒1週間のうちに2日以上Z
qj =1となる日があればいい
⇒(7)式
mq  教科 qの教員の総人数 21
• 制約条件6
出勤している専任・講師を合わせて1日に担当で
きる授業時間数がクラスの総授業数を上回る
例)
中学6クラス・高校8クラス 1日6時間授業の日
この日の総授業数は以下に示すものとなる
教員全員数
 休んでいる教員数  3  出勤講師数 6  252

例)

6 クラス数
× 3 学年数 + 8(クラス数) × 3(学年数)

S 
252(総授業数)
x
kqtj  6  252
×
6
時間
=
pqij

3 

  
p学年 q教科 i番号

 
q教科 t番号
この252時間分を行えるだけの教員が出勤する
(専任教師は1日3時間,講師は1日6時間まで働ける)
22
• 制約条件7
制約条件6の元,各教科ごとに1日の授業数を満たす
ここでは,制約条件7に該当する式の例を挙げる
m
 y数学, j  3 
m
 y社会, j  3 
数学
社会


k
数学,t , j
 6  48
k
社会,t , j
 6  40
t番号
t番号
yqj  曜日 jに休んでいる,教科 qの教員の人数
mq  教科 qの教員の総人数 23
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
24
Ⅳ-ⅰ
入力情報
月火水木金土
今回は以下の情報を入力して計算を行った
1
2
•
•
•
•
•
•
専任教師数
講師数
学年数
教科数
授業日
総授業数
• 1日の担当可能授業数
• 「体育」平均授業数
• 専任の希望度上限値
3
:60人
4
:30人
5
:6学年
6
:7教科
:5日
:252時間(月,火,木,金),
168時間(水,土)
:専任3時間・講師6時間
:15時間(月,火,木,金),
8時間(水,土)
:その日を休日にしたい場合0
その日を休日にできない場合100
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Ⅳ-ⅱ 専任の休日希望度と出力結果
提出された教員の希望度
学年
教科
数学
国語
中1
理科
社会
英語
体育
月
50
0
0
70
0
0
0
0
0
0
火
0
30
0
0
0
0
20
0
0
0
水
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
木
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
金
0
0
0
0
100
0
20
0
0
0
土
0
0
0
0
0
0
50
0
0
100
26
Ⅳ-ⅱ 専任の休日希望度と出力結果
各制約条件は守られており
青い部分が得られた休日となった
学年
教科
数学
国語
中1
理科
社会
英語
体育
月
50
0
0
70
0
0
0
0
0
0
火
0
30
0
0
0
0
20
0
0
0
水
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
木
0
0
0
0
0
0
20
0
0
0
金
0
0
0
0
100
0
20
0
0
0
土
0
0
0
0
0
0
50
0
0
100
・・・休日
27
Ⅳ-ⅲ 講師の出勤不可能日と出力結果
講師から,あらかじめ集計した
出勤不可能日
教科
月
×
火
×
水
×
×
木
金
×
数学
×
×
×
×
×
土
×
×
28
Ⅳ-ⅲ 講師の出勤不可能日と出力結果
制約条件の守られた
講師の出勤表
教科
数学
月
火
×
出勤
×
出勤 出勤
出勤
×
× 出勤
出勤 出勤
水
×
×
木
金
土
出勤 出勤 出勤
出勤
× 出勤
×
出勤 出勤
×
出勤
× 出勤
×
×
29
月火水木金土
また,今回使用した数値だと,
• 制約条件7
各教科ごとに1日の授業数を満たす
数学
総
授
業
数
国語
理科
社会
英語
その他
を考慮した場合,最適解が求まらない
結果となった.よって,今回は体育のみを全日,
平均的に存在するように制約を行った.
30
目次
I.
研究背景
II. 時間割作成手法
III. 休日決定問題
IV. 結果
V. まとめ
31
Ⅴ
まとめ
本研究の目的であった,教員の出勤日を決める
プログラムを実装することができた
今まで手作業で行っていた
時間割作成開始
時間割作成を支援する
第一歩として
期待が持てる結果を得た
全教員の
出勤日決定
32
今後の課題
今後の課題としては,既存研究を元に
更に細かい制約を考慮しながら
時間割作成を支援できる
時間割作成開始
汎用性のあるプログラムを
実装することが考えられる
全教員の
出勤日決定