自動映像生成のための パーティクルフィルタによるボールの追跡 2007年3月21日 神戸大学大学院自然科学研究科 矢野 一樹 1.はじめに 研究背景 近年の放送技術の発達 チャンネル数の増加によるコンテンツの増大 コスト問題の発生(管理、編集等) 映像自動生成技術への要望 2 1.はじめに 研究背景 映像自動生成技術 ディジタルカメラワークを用いたスポーツ映像の自動撮影 [PRMU2005:有木、窪田] 自動で行うためには、ボールの情報が不可欠 ボールの高い検出、追跡技術が必要! 本稿では、サッカーの試合のボールの追跡について考える 従来の映像 今回の映像 ・複数カメラ ・視点移動 ・単一 ・視点固定 3 2.正規化相互相関法 代表的な物体追跡手法 テンプレートマッチングによる追跡 ・探索領域内I(x,y)に対してテンプレート画像T(i,j)との相関値を求める ・相関値の最も高い領域が対象物体領域 以下の式によって相関値を求める R(x, y) {T (i, j)T}{I (xi, y j)I} {T (i, j)T} {I (xi, y j)I} i, j 2 i, j 2 i, j 4 2.正規化相互相関法 ●評価法 ・元画像、テンプレート画像を色空間 R, G, Bの色画像に分解 ・それぞれに対して正規化相互相関法を適用 ・各色画像における評価値の積を結果の値 V とする V = R×G×B ( V ≦ 1 ) ●テンプレートマッチングによる全画面探索の欠点 ・ノイズ、オクルージョンが多い場合 ・テンプレートの特徴が乏しい場合 特にサッカーボールの追跡にはこれらの問題点が多い 5 3.パーティクルフィルタ パーティクルフィルタの特色 粒子(particle):状態量と尤度を持つ 多数の粒子によって確率分布を離散的に近似 [1998:Isard,Blake] 非線形な動きに対しても有効 確率を用いるので一時的なオクルージョンにも強い パーティクルフィルタによる 単眼動画像からのサッカーボール3次元軌道推定 [FIT2006:三須,高橋] 6 3.パーティクルフィルタ パーティクルフィルタのアルゴリズム 1.画面内に予測に基づく粒子が与えられる 2.各粒子の尤度を求める 3.尤度に応じて各粒子を処理する a.尤度の低い粒子:破棄してリサンプリング b.尤度の高い粒子:状態遷移 4.次のフレームの処理に移り、1に戻る 粒子の分布の様子 7 3.パーティクルフィルタ 粒子の誤認識を減らすために、背景か動物体かの識別が必要 ボール識別のアルゴリズム 1.粒子の座標を中心として元画像から画像を切り出す 2.粒子の座標を中心として背景画像から画像を切り出す 3.原画像と背景画像の切り出し画像の差分を取る 4.差分結果を二値化 5.その結果、白くなった領域が動物体 ・中心(粒子)の座標が白⇒尤度を評価 ・中心(粒子)の座標が黒⇒尤度を0にする 原画像 → 背景画像 → 差分後、二値化 背景画像: あらかじめ一定時間ごとに連続するフレームを平均してもとめておく 8 4.実験と考察 サッカーの試合の映像 1280×720画素、24ビット、カラー映像 時間:750フレーム ※初期座標は手動で与えた 追跡例 例1 従来手法(正規化相互相関法) 例2 提案手法 9 4.実験と考察 従来手法: ライン、ポール、選手への誤認識 提案手法: 探索範囲の絞り込み、動物体のみの検出 手法 失敗回数/100フレーム 正規化相互相関法 (従来手法) 38.89 パーティクルフィルタ (提案手法) 0.26 追跡の軌跡図 10 5.おわりに 従来法と比較して有効性を確認 精度向上のための今後の課題 ・特徴量、尤度判定法の検討 ・パラメータの調節 ・追跡失敗例 11 補足 各種パラーメターについて 粒子数:50 切り取り領域について:一辺30ピクセルの正方領域 リサンプリング判定の閾値:0.3 二値化の閾値:(黒0、白255として) 100 テンプレート:15×15ピクセル 12 補足 粒子の処理について 1.粒子の座標を中心として、元画像を適当な大きさで切り取る 2.切り取った画像の中でテンプレートマッチングを行う 3.粒子の座標をテンプレートマッチングの結果の座標に更新する 4.テンプレートマッチングの結果が動物体かどうかを識別する 5.識別の結果に応じて粒子の尤度を更新する 13 補足 その他の処理について ・基準粒子の尤度が閾値に満たない場合はボールの位置を更 新しない ・粒子はフィールド外へ配置しないように処理している 14
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