29X-pm13

29X-pm13
異なる粘着性を有する感圧接着剤の有用性
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城西大薬)
◯菊池 啓介 1 ,藤堂 浩明 1 ,杉林 堅次(
【目的】医療や臨床開発で繁用されている感圧接着剤(Pressure sensitive adhesive,
PSA)は、粘着性を修飾することで新規医療分野の開拓が期待できる。例えば、穿
刺時の痛みを抑えるために前処理されているリドカインパッチでは、角層が高い
バリア機能を有するため、短時間の貼付では十分な効果が得られないことがある。
速やかな効果発現を得るためにはリドカインパッチの適用前に角層を PSA で数回
テープストリッピングすることが有用と考えられる。一方、医療分野で用いられ
ているピール剤は、時として十分な角層ピール効果が得られないことがある。そ
こで、市販 PSA (セロファンテープやスコッチテープ) の粘着性を修飾することに
より、リドカインパッチ適用後の速やかな効果発現を可能とする前処理用 PSA や
安全で有効な PSA ピール剤の作製が可能かどうか試験した。
【方法】粘着性が市販
品と大きく異なる PSA-A, B を調製し、
これら PSA と市販 PSA の物性を評価した。
また、ヘアレスラット皮膚をこれら PSA を用いて処理後、TEWL、皮膚電気抵抗
値、および皮膚組織切片像を評価した。さらに、リドカインの in vitro 皮膚透過性
を評価した。【結果・考察】PSA-A, B は市販 PSA より強い剥離力を示した。PSA
処理後の皮膚抵抗に及ぼす変化を比較・評価すると、PSA-A は 1 回処理から急激
に低下し、約 5 回処理で市販 PSA での 10 回処理と同等となった。この結果は、リ
ドカインの皮膚透過性と相関していた。一方、PSA-B の皮膚バリア能は 2 回処理
以上では一定となった。これらの結果から、PSA-A は僅かな処理数で皮膚透過性
が改善できると考えられた。一方、PSA-B は、2 回処理以上では皮膚バリア能は変
化せず、一定の皮膚透過性が改善できると考えられた。以上より、PSA-A はリド
カインパッチの前処理剤、PSA-B はピール剤として利用可能であると示唆された。