第95回米国癌研究学会(AACR) 発表データ 転移性前立腺がん患者の 循環がん細胞(CTC)数による生存予測* 2005.8.18 転移性前立腺がん(CaP)患者の末梢血中を循環する上皮性細胞由来がん細胞(CTC)の検出・ 計数が、がんのステージ・治療への応答と相関する可能性がある。この検討では、転移性CaP 患者におけるCTCの予後予測因子としての有用性が評価された。 方法: 転移性CaP患者37名の末梢血を治療中に様々な経過ポイントで採取し、CTC数を測定し た。7.5 mL の末梢血中、5個以上のCTC数をカットオフとして生存期間を予測した。フォロー アップ期間は0.04~4.16年の範囲とした(中間値=1.32+/‐0.99;中央値=1.57)。 CTC数と全生存率の予測結果 <5 CTC グループ N (%) 全症例 骨疾患症例 中央生存期間 年数 有意差 P値 死亡率 < 5 CTC ≧5 CTC ≧5 CTC 死亡率 N (%) 14 (38%) 14% 23 (62%) 65% >4.0 0.7 0.0020 3 (14%) 0% 18 (86%) 72% >2.0 0.7 0.0324 7 (58%) 0% 5 (42%) 80% >2.5 0.43 0.0036 7 (33%) 29% 14 (67%) 64% >4.0 1.43 0.1068 8 (47%) 12% 9 (53%) 56% >4.0 1.57 0.0401 6 (30%) 17% 14 (70%) 71% >2.0 0.52 0.0436 6 (54%) 0% 5 (46%) 0% >4.0 >2.5 1.0000 8 (31%) 25% 18 (69%) 83% >2.5 0.5 0.0029 10 (59%) 10% 7 (41%) 43% >4.0 >4.0 0.1316 4 (22%) 25% 14 (78%) 71% >2.0 0.52 0.0523 <7 バイオプシーGleason スコア ≧7 <75歳 CTC検査時の年齢 ≧75歳 感受性 ホルモン感受性 難治 < 10 CTC検査から190日 以内のPSA値(ng/mL) ≧10 結果: 5個以上のCTC数の患者は、5個未満に比べると生存期間が極めて短かかった コックス単変量回帰分析によると、PSA、CTC数、及びホルモン感受性が有意な因子であった。 多変量コックス回帰分析でp値<0.05の厳格な基準値を適用すると、CTC数だけが有意な因子と して残り、CTC数は独立した予後因子であった。 パネル A. CTC 7.5mL血液中、5個未満のCTC数であった14例の転移 性CaP患者の生存率を緑線で示し、5個以上であった 23例の結果を赤線で示している パネル B. PSA 血清トータルPSA値は10ng/mL未満であった転移性 CaP患者の全生存率を緑線で示し、10ng/mL以上で あった18例を赤線で表す パネル C. CTCとPSA 転移性CaP症例の全生存率: • CTC 5個未満/7.5mL 且つ PSA 10ng/mL未満の 10症例を緑線で示す • CTC数 5個以上/7.5mL 又は PSA 10ng/mL以上 の11症例を黒線で示す • CTC数 5個以上で 且つ PSA 10ng/mL以上の14 症例を赤線で表す 結論: 転移性CaP患者のCTCの存在自体が、比較的に短期となる生存期間を示唆していた。 転移性CaP患者において、CTC数は独立の予後因子であるが、PSA検査を補完する 可能性もある。 転移性CaP患者のマネジメントにおけるCTC数の意義を確立するため、現在多施設での 臨床試験が米国で計画されている *参考資料:M. Craig Miller, Steve Gross, W. Jeffrey Allard, Leon W.M.M. Terstappen, Leonard G. Gomella, and Jose G. Moreno, Poster Session presentation at AACR, March 2004
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