適応的温度調節機能を持つ 温度並列シミュレーテッドアニーリング Adaptive Temperature Parallel Simulated Annealing 同志社大学工学部知識工学科 三木光範 廣安知之 ○輪湖純也 吉田武史 最適化とは • 与えられた条件の下で、 対象とする問題の中から最も良いものを探すこと 最適化問題 ■ 組合せ最適化問題 ・スケジューリング問題 ・タンパク質の立体構造予測 ■ 連続最適化問題 ヒューリスティック探索 • 遺伝的アルゴリズム(GA) • シミュレーテッドアニーリング(SA) Simulated Annealing (SA) 高温 • SAのアルゴリズム 1.解の生成 2.エネルギーと温度から受理判定 ΔE ≦ 0 1 受理確率:P = exp - ΔE 温度 ( ) ΔE=Enext - Ecurrent ΔE > 0 低温 3.推移 4.温度パラメータを減少(クーリング) 特徴 温度パラメータと,解の動きが密接に関係 ジョブショップスケジューリング問題(JSP) • n個の仕事(Job)をm台の機械(Machine)で処理 • 制約条件 :各仕事を処理する機械の順序(技術的順序) • すべての仕事を完成させるまでの時間(Makespan) を最小にするスケジュールを求める ジョブショップスケジューリング問題(JSP) • n個の仕事(Job)をm台の機械(Machine)で処理 • 制約条件 :各仕事を処理する機械の順序(技術的順序) • すべての仕事を完成させるまでの時間(Makespan) を最小にするスケジュールを求める 温度パラメータ • 組合せ最適化問題にSAを適用した時の問題点 (1) 計算コストが高い (2) 温度スケジュールの設定が困難 • 組合せ最適化問題にSAを適用した時, 特定の温度のみの解探索で良好な解を得ることができる [Connolly ‘90,Mark ‘00] 重要温度領域 実験 対象問題をJSPとして 一定温度SAで 得られる解精度を比較 JSPにおける重要温度領域 FT10 ABZ9 JSPにも重要温度領域が存在することを確認 •重要温度領域は,問題によって値,範囲が異なる •重要温度領域を特定するには多くの予備実験が必要 研究目的 ■最適な温度スケジュール 温度スケジュールの設定を自動化 重要温度領域を集中的に探索することで性能向上 重要温度領域を自律的に探索するメカニズムを考案 ■SAの並列化 計算時間の短縮を図る 温度並列SA(TPSA)は並列処理に適したモデル 適応的温度調節機能を持つ温度並列SA Adaptive Temperature Parallel Simulated Annealing (ATPSA) Temperature Parallel SA (TPSA) 高 温 度 低 1 P= •並列処理との高い親和性 exp( - ΔT・ΔE T・T’ ΔT・ΔE<0 ) otherwise Temperature Parallel SA (TPSA) 高 温 度 低 •温度スケジュールの設定を自動化 Temperature Parallel SA (TPSA) 高 温 度 低 •温度スケジュールの設定を自動化 適応的TPSA (ATPSA) 高 温 度 低 適応的温度調節メカニズム 温度が適切 → 温度を維持 温度が高い → 温度を下げる 温度が低い → 温度を上げる 適応的TPSA (ATPSA) 高 温 度 低 重要温度領域 重要温度領域に探索温度範囲を集中させる 重要温度領域の特徴 • 高温度,重要温度,低温度の一定温度SAの解の動きを比較 ×(102 ) 重要温度領域の特徴 (1) 解品質が良好な範囲に存在 (2) 解の改善を多く生成 重要温度指数 • 解の動きを評価する値 : 改善方向への遷移時に, 解のエネルギー(Makespan)と基準値との差を加算 • 基準値は各プロセスが持つ解のエネルギー平均 重要温度指数の特徴 (1)解品質が良好な領域に存在 (2)よく解が動く 重要温度指数は正になる 重要温度指数 • 温度と解の推移は密接に関係 • 重要温度領域での探索は,解品質が良好な領域でよく動く 重要温度指数 • 温度によって,重要温度指数の符号が異なる • 重要温度での探索では,重要温度指数は正になる 改善を生成しないため 値が計算されない 適応的TPSA (ATPSA) 高 温 度 低 適応的温度調節メカニズム 温度が適切 → 温度を維持 温度が高い → 温度を下げる 温度が低い → 温度を上げる 次周期の温度割り当て • 最高温度,最低温度のプロセスが持つ 重要温度指数の符号によって次周期の温度範囲を設定 • 最高温度と最低温度の間は等比的に割り当て 適応的TPSA (ATPSA) 高 温 度 低 適応的温度調節メカニズム 温度が適切 → 温度を維持 温度が高い → 温度を下げる 温度が低い → 温度を上げる 適応的TPSA (ATPSA) 高 温 度 低 重要温度領域 重要温度領域に探索温度範囲を集中させる 数値実験 • 解探索能力の比較 • 対象問題:JSP(FT10,ORB1,LA21,LA40,ABZ9) 比較手法 - ATPSA(提案手法) - 逐次SA(Sequential SA:SSA) 高温から低温へクーリングを行う - PSA(Parallel SA) 複数のプロセスが独立に逐次SAを実行 - TPSA 各プロセスに異なる温度を与え,一定周期で解交換 パラメータ ATPSA TPSA PSA SSA 生成処理(近傍構 造) クリティカルブロック近傍 [ 山田 '94 ] 解の修正 GT法 [ Giffer and Tompson '60 ] 総探索数 1024000 プロセス数 解交換(クーリング)周期 64 32 1 1000 32000 最高温度 改悪方向への遷移で増加するエネルギーの 最大値を50%の確率で受理する温度 最低温度 クーリング周期で最低1回は 改悪方向への遷移を受理する温度 温度推移(FT10) ATPSA(提案手法) TPSA ATPSA :温度が特定範囲に収束 TPSA :解によって,推移する温度が異なる PSA,SSA :高温から低温まで一定割合で減少 PSA 温度推移(FT10) ATPSA(提案手法) TPSA ATPSA :温度が特定範囲に収束 TPSA :解によって,推移する温度が異なる PSA,SSA :高温から低温まで一定割合で減少 PSA 温度推移(FT10) ATPSA(提案手法) TPSA PSA ATPSAは重要温度領域に探索温度範囲が集中 解探索履歴 • ATPSA,TPSA,PSAの解探索の履歴 FT10 ORB1 • ATPSAの解収束はTPSA,PSAに比べて早い 実験結果 最適解からの誤差 (30回試行の平均-最適解) 30 25 20 SSA PSA TPSA ATPSA(提案手法) 15 10 5 0 FT10 ORB1 LA21 LA40 ABZ9 対象問題 提案手法であるATPSAは, 全ての問題に対して他の手法より良好な性能を得る まとめ 提案手法: 適応的温度調節機能を持つ温度並列SA(ATPSA) 提案手法の特徴 •並列処理に適した並列SAモデル •重要温度指数に基づく温度範囲設定 •探索温度範囲が重要温度領域に集中 数値実験結果 •JSPを対象問題として解探索能力を比較 •ATPSAはTPSA,PSA,逐次SAよりも良好な性能を示す : 提案手法の設定する温度スケジュールは他の手法より優れている
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