北海道草地研究会報 2 7:70-73 ( 19 9 3 ) 一方でエンドファイトは植物に病虫害抵抗性や 引用文献 環境ストレスに対する耐性 2) を付与する等有用な 1)秋山ら ( 9 9 2 ) . 日植病報 5 8( 1 )1 5 7 . 面もある。 2) A r a c h e v a l e t a, M., e t .a l 今回行った光学的な検査法で・はエンドファイ卜 の種の同定まではできない。今後、上記のような 家畜および牧草の疾病の発生を防ぎ、植物に対す る有用面を利用するために、他草種、品種につい てもエンドファイト感染の有無について把握し、 EL 1Sλ 法1. 等を用いて、エンドファイ卜を 8) 検出し、更に家畜に有害な物質の定量や抗菌活性 また、今回検査したペレニアルライグラス品種に おけるエンドファイ卜感染の有無や感染率は普遍 6. 7) Agron.1 .8 1: 8 3-9 0 3) Bacon. C . W., e t .a l ( 19 7 7 ) . Appl . E n v i r o n .M i c r o b i o . l3 4: 5 7 6-5 81 . 4) F l e c h e r,L .R .e t .a l(984).N .Z .V e t . J .3 2:1 3 9- 1 4 0 5) Gal Iagher ,R .T .,e t .a l(984).J .Chem. Commim. 9:6 1 4- 6 1 6. 6) 古 賀 博 員1 1 ( 19 9 2 ) .農 業 技 術 4 7 (1) : 等についても検討する必要があると考える。 的なものではなく (989). 種子を導入する際のロット の違いや、貯蔵環境によって異なるものと考えら れ、導入後に種子のエンドファイト感染率を定期 23-28. 7)真 木 芳 助 (992). r 芝生の造成と管理」 全国農村教育協会 : 6 4 8) Musgrave, D. R. ( 19 8 4 ) .N .Z .1 . A g r i c .R e s .2 7: 2 8 3-2 8 8. 9) Saha, D . C .,e t .a l( 19 88).Phytopathology 的に検定する必要性があると考えられる。 7 8: 2 3 7-2 3 9 1 0 ) 島貴ら(19 8 3 ) .北 海 道 農 試 研 報 87-97. - 73ー 1 3 8 : 北海道草地研究会報 2 7:74-77(993) され人体には、安全な物質であることが知られて だ。その後 CAを 9日ごとに処理し、発病度を評 いる。また本剤は、数種の土壌伝染性病原菌に対 価した(表 1)。発病土は、各濃度 5ポットを供 して強 L、発育阻止効果が認められている。 試して 3反復し、その平均値で示した。 評価基噂 指数 -供試菌株 用いた病原菌は R h i z o c t o n i as o l a n i Kuhn 芝 上 に 病 斑 が な い (AG2-2 (mB)) (北農試・松本直幸氏分 譲)である。 芝上の病 1 % - m函 E 置が全体に対して 2 5 9 6 -培地上での抗菌試験 ( 1 ) P SA平板培地試験 26%-5096 CA斉j I を 、 5 0Cに保った PSA培地にそれぞ 0 5,5 0, 1 0 0, 1 5 0, 2 0 0, 3 0 0ppmになる れ2 5196-7596 ように添加し、よく振とうした後にシャーレ分注 7696-9996 した。固化した上記の培地の中央に、予め PSA 培地で 6日間培養したリゾクトニア菌のコロニー '"パがすべて枯死 5C培養し 2 4 マット(直径 5mm) を置床、暗所2 0 時間ごとに菌叢の直径を測定した。各濃度シャー 表 1.芝草の病斑面積の評価法 レ 5枚 、 4反復行った。 ( 2 ) PS液体培地試験 CAを PS液 体 培 地 に そ れ ぞ れ 2 5, 5 0, 1 0 0, 1 5 0,2 0 0,3 0 0p pmになるように添加し、 結 果 1 . PSA 培地上における CAの菌抑制効果 1, . , 2日目では 2 5 ppm以上の濃度の処理区 予め PSA 培地で培養した菌を直径 5mmのコル 5 クボーラで抜き、上記の培地中に移植し、暗所 2 0 0p pm以上の濃度の処理区に に 、 3日目では 1 O Cで培養し、 5日ごと 3 0日目まで菌体をとりだし おける菌の生育が対照区に比べ有意に抑制され、 て乾燥重量を測定した。 4 日目では 2 0 0p pm以上の濃度処理区における 菌の生育が有意に抑制された。 5日後には、菌叢 は処理濃度が高くなるにつれてうすくなる傾向が -接種試験 r o s t i s ク リ ー ピ ン グ ・ べ ン ト グ ラ ス (Ag 認められたが、菌叢直径には差がなく、いずれの p a l ωu t r i s Huds) ・品種ペンクロスのソッドを 処理区もシャーレのふちまで菌糸の生育が認めら 直径 1 0cmlこカットし、あらかじめ殺菌土の入っ 。 れた(図 1) 5cmのポットに移植後、フスマ培養 2 し た直径 1 て作成した汚染土を 1 0gずつ接種し、同時に CA 剤を 2 0 0p p m, 4 0 0p p m, 8 0 0p p m, 1 6 0 0p pmの濃度で 6 0ccずつソッド上に注い -75- J . Hokkaido Grassl .S c i .2 7:74-77 ( 19 9 3 ) て発病阻止効果が見られるが、有意差はなかっ た。接種後1 4 1 5日 目 に お い て 対 照 区 に 比 べ 8 0 0ppmと1 6 0 0ppm処理区において発病程度 ー 側T 両 礼 が有意に抑制された(図 3) 。 申お仰司 直髄密咽 品 目P I I I -,働問 1 動向 巾 ・2 働問 問問問問抑 制勘鋤蜘畑 申 3 a p 1 l l 図 1 C A含有 PSA培地上における R h i z o c t o n i as o l a n iの生育 *下部線は、L.S . DC P= 0 .0 5 ) を示す 2 . PS液体培地における C Aの菌抑制効果 0ppm、 1 0 0ppmにおい 培養 5日目では 5 図 3 芝草(ポット栽培)における CAの発育阻止効果 て 、 1 0日目では 25ppm以上の濃度において、さ . DC P=O .0 5 )を示す *下部線は、L.S らに 1 5日目では 50ppm以上の濃度において対照 区の菌重に対し、各濃度処理区の菌重は有意に低 く、菌糸の生育の抑制が認められた。 2 0日目以後 考 に有意差は認められなかった(図 2) 。 察 C A含有培地上での菌糸生育の結果から、 C A 日 . 2 5 の濃度が高くなるにつれて菌の生育が培養の初期 日 . 2 において抑制されていることが明らかになった。 山伽伽伽伽伽町田 e . 1 5 直 重 量 g 目. 1 しかし、 5日目には C A処理区いずれの濃度にお いても、対照区と差が認められなかった。そのた め抑制効果を一層はっきりさせるために、 P S液 体培地を使い、菌の乾燥重量を測定した。 . e 白 P S液体培地の実験結果から、 2 5ppmでは 1 0日 0ppm以上の濃度では 1 5日目まで菌体 目まで、 5 日 5 ~ ~ a の生長を抑制する効果が培地中で・持続することが 図 2 C A含有 PS培地上における 明らかになった。しかし 2 0日以降、抑制効果が認 R h i z o c t o n i as o r a n iの生育 . DC P= 0 .0 5 ) を示す *下部線は、L.S められないのは以下の原因が考えられる。 C Aは 気化しやすく、紫外線分解性が高く、気中、土中 3 . シパにおける C Aの での酸化が容易であることが知られている 4 0 そ ブラウンパッチ発病阻止 効 果 のため、培地中で C Aの変質が起きたために、抑 制効果がおちたと考えられる。今後、 P S液体培 接種後 1 3日目までは対照区に比べ各濃度におい 地における、 C Aの効果持続日数の検討が必要で -76- 北海道草地研究会報 2 7:74-77 ( 19 9 3 ) ある。 になるものと考える。 芝草における発病抑制試験の結果から、 CAは ブラウン・パッチを発病初期において抑制しうる ことが明らかになった。 要 約 R h i z o c o n i as o l a n iの生育およびシパ・ブラウ R h i z o c t o n i a属の病原菌 R .s o l a n i ) に対する桂皮ア は、植物組織を侵害するに当たって菌量が多いこ ンパッチ(発病菌 とと、植物体の活性が低下していることの 2条件 ルデヒド(食品添加物、以下 CA) の効果を検討 がそろわなければならない。ブラウンパッチの発 する試験を行い、以下の知見を得た。 生は高温多湿時におこる。 R .s o l a n iが高温で活 性が増加することと、ベントグラスが寒地型芝草 ( 1 ) i nv i t r oにおける菌体の初期生育は CAに よって抑制される。 であるために高温に弱く、梅雨の後期から盛夏に ( 2 ) ベントグラスを用いた接種試験によると、 かけて生育活性が低下するという 2つの条件がそ CA ( 8 0 0p pm,1 6 0 0p pm) はシノ〈・ブラウ ろうためである。病気の発生を抑えるためには、 ンパッチの発病初期において抑制効果をもっ。 菌の活力が高まり植物体の活性が低下した時に、 発病できない菌量まで菌数を減らすことが必要で 引用文献 ある。本実験では、発病期に菌接種と CA処理を 1) A . . K. c h a k r a v o r t y& K. J .S c o t t o: 同時に行ったが、発病期以前の低温期に菌接種と 19 9 2 ), R e s i s t a n c et o Fungal D i s e a s e s( CA処理を行えば、菌の活力が低いために静菌効 P l a n tM o l e c u l a rB i o l o g y,1 9: 1 0 9-1 2 2 果が上がり菌数が減少すると考えられる。このこ 2 )小 林 堅 志 ( 1973) :ベントグラスに対す とより発病期において菌の増加割合が低くなり、 るリゾクトニアの人工接種方法と薬剤の効力 高い発病抑制効果があらわれるかもしれなし、。 試験,芝草研究,第 2巻第 2号4 3 4 6 また、植物の病害抵抗性に関与しているフェニ ルプロパノイドの生合成経路に、 CAに類似した 3) 大 塚 利 一 朗 ・ 木 曽 蛤・野村良邦 ( 19 8 3 ) :アビオン CA剤の糸状菌類に対す 物質が合成されており¥そのため CAによる菌 9巻 , る効果,九州病害虫研究会報第2 の抑制だけでなく、植物側においても菌に対する 7 2 - 4)高 倉 志 能 ( 19 8 6 ) :農薬を減らすアビオ 抵抗性が誘導されていることも推察される。 以上のように本剤については、さらに試験方法 などを検討すれば、より有効な使用条件が明らか -77ー ン農法,農文協, 2 2 0-2 2 5
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