信号処理論 変調 と 復調(直交検波) (20150514 資料 ) 内容 変調とは 復調(検波)とは 直交検波の例 超音波ドプラ法による血流計測 変調とは? 変調とは 波の振幅、位相、周波数が時間で変化すること。 もしくは、意図的に変化させること。 初期位相 Im 周期 T=2/ A 振幅 A Re 時間t 変調とは? 変調とは 波の振幅、位相、周波数が時間で変化すること。 もしくは、意図的に変化させること。 変調方式 Amplitude Modulation(AM) 振幅変調 Frequency Modulation(FM) 周波数変調 Phase Modulation(PM) 位相変調 (被変調信号の例) 電波の送信 ドップラ効果をうけた音波 など 信号,搬送波,被変調信号 搬送波(Carrier wave) 信号を伝送する波 被変調波(Modulated wave) 搬送波の振幅、周波数もしくは位相を 信号として時間的に変化させた波 Amplitude modulation:振幅変調 搬送波 被変調波 A A の場合 Im Ac A Ascosst Ac Re t Ac cos(ct+) 円の大きさが時間で変化する 変調度 m = As/Ac 被変調波の周波数スペクトル 信号波と搬送波のパワースペクトル Signal fs Carrier Carrier fc 被変調波のパワースペクトル f fc-fs fc fc+fs f 被変調波の周波数スペクトル 信号波と搬送波のパワースペクトル Signal fs Carrier Carrier fc 変調波のパワースペクトル f fc-fs fc fc+fs f 変調度と被変調波の時間波形 被変調信号 変調度 m=0.1 A ⁄ ⋅ 1 1.5 1.5 1 1 0.5 0.5 m=0.5 0 0 -0.5 -0.5 -1 -1 -1.5 -1.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 , 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 15 2 1.5 10 1 5 0.5 m=1 m=10 0 0 -0.5 -5 -1 -10 -1.5 -2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 -15 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 Frequency Modulation:周波数変調 搬送波 被変調波 瞬時角周波数 Frequency Modulation:周波数変調 の場合 Im 変調指数 mf Ac Re 回転速度が時間で変化する t m=c+ m=c- Phase Modulation:位相変調 搬送波 被変調波 被変調波の位相 Phase Modulation:位相変調 の場合 Im Ac Re 回転速度が時間で変化する t m=c+s m=c-s 周波数変調と位相変調 Signal fs Ascosst t FM ffm Assinst t PM fpm Δ ⋅ t 変調指数と被変調波の時間波形 , 被変調信号 mf=1 1 1 0.8 0.8 0.6 0.6 0.4 0.4 0.2 0.2 mf=5 0 -0.2 0 -0.2 -0.4 -0.4 -0.6 -0.6 -0.8 -0.8 -1 mf=10 最大周波数偏移 , 変調指数 -1 0 5 10 15 20 25 1 1 0.8 0.8 0.6 0.6 0.4 0.4 0.2 0.2 mf=20 0 -0.2 -0.6 -0.6 -0.8 -0.8 5 10 15 20 25 10 15 20 25 0 -0.4 0 5 -0.2 -0.4 -1 0 -1 ただし, 0.1 0 5 10 15 20 25 被変調波の周波数スペクトル ベッセル関数 ただし,mF=mf/s ベッセル関数 2∑ 2∑ cos 2 cos 2 1 cos 信号の周波数の整数倍に複数のピークが表れる 被変調波の周波数スペクトル cos 狭帯域の場合(変調指数が小さい場合) 1, ⁄2 , パワースペクトル ≃0 A fs f 周波数スペクトルはAMと相似形になる! fc 広帯域の場合(変調指数 mf>1 の場合) n>1 の項を無視できない cの両翼に信号周波数だけ離れた無数の スペクトル成分が振動しながら,小さくなる fs f fc 復調(検波)とは? 復調とは 被変調信号から元の信号を取り出すこと 復調する方法: 信号の直交性を利用する (直交検波の応用例) 電波の受信 ドップラ効果を用いた流れの測定 など 復調とは 被変調波 被変調波は実信号 → 振幅と位相の変化を独立して検出することが難しい → 解析に適した複素信号(解析)を作り出す 振幅、位相? t 実信号と解析信号 観測される実信号は, 複素平面上で時間的に変化する複素信号の実軸上 (もしくは虚軸上)への投影と考える Im Re 実信号 A(t) (t) Re t 実信号と解析信号 実信号を、 実数部と虚数部が直交関係にある複素信号に変換すれば 振幅変化と位相変化を独立して判別することができる Re Im 実信号 t A(t) (t) Re Im 直交関係 t 実信号と解析信号 実信号を、 実数部と虚数部が直交関係にある複素信号に変換すれば 振幅変化と位相変化を独立して判別することができる Im A(t) (t) Re In phase Quadrature 成分 成分 解析信号への変換手段 ヒルベルト変換 直交検波 ヒルベルト変換の考え方 実信号と解析信号を周波数領域で考えると, 実信号の周波数スペクトル 実信号I(t)の周波数スペクトル(パワー)は 正負対象の成分が現れる f 実信号I(t)を変形すると, 1 2 正の周波数 f 負の周波数 掛け算 解析信号の周波数成分 負の周波数を除去するステップ関数U(f)を 実信号のスペクトルにかける → 解析信号の周波数スペクトルの取得 解析信号の周波数スペクトル f ヒルベルト変換の考え方 時間領域における解析信号を得るためには, 実信号の周波数スペクトル 実信号I(t)にフィルタのインパルス応答u(t)を 畳み込む U 0 2 0 0 f u ∗ ∗ ∗ f 掛け算 解析信号の周波数スペクトル 実信号I(t)に インパルス応答が1/tである h(t)を畳み込むことで、直交成分Q(t)を求め ることができる f ヒルベルト変換のブロック図 実信号 I(t) I(t) ヒルベルト フィルタ Q(t) フィルタのインパルス応答と伝達関数 0 0 0 0 直交検波 (前提条件) 実信号の周波数スペクトルが周波数0からある程度 離れた周波数帯に存在する場合のみに適用できる × ○ 0 f 0 f 直交検波の考え方 解析信号を得ることはx+(t)(もしくはx-(t))を得ること 解析信号 -fc 0 fc f 直交検波の考え方 実信号をI(t)に参照信号exp(-j0t)を乗算した信号B0(t)を考える I t 0→ c とすると, cだけ周波数移動 -2fc -fc 0 fc f 直交検波の考え方 ローパスフィルタによりB0(t)の第1項を除去した信号B(t)を考える B(t)をベースバンド信号と呼び、実数部と虚数部はヒルベル ト変換対の関係にある ベースバンド信号は厳密には求めたい解析信号A とは異なるが,振幅,位相情報は保存されている ローパスフィルタはヒルベルトフィルタより実現しやすい ローパスフィルタ -2fc 0 f 直交検波のブロック図 cos 実信号 LPF I (In-phase 成分) LPF Q (Quadrature成分) 混合器 sin ヒルベルトフィルタより 実現しやすい 変調した波の直交検波 被変調信号の解析信号 S をフーリエ変換 することで信号の振幅と位相を求めることができる (例) 振幅変調した波の直交検波 搬送波信号を A ,伝送信号を とすると, 被変調信号 被変調信号に直交検波を行うことで解析信号に変換し, 解析信号が伝送信号の振幅と位相情報を持っていることを示す 変調した波の直交検波 同相成分I(t),直交成分Q(t) は? 直交成分 ⋅ 同相成分 ⋅ ローパスフィルタで 成分を除去 変調した波の直交検波 解析信号は 0を搬送波の角周波数 c と一致させると, 解析信号 (元の伝送信号) 被変調信号 (振幅変調) f 応用例:ドプラ現象による血流の測定 血流や臓器の動きの異常を “周波数変化量”として評価 主な対象 腫瘍、心臓内の弁の動き ドプラ効果 音源と観測者が同一で反射体が移動する場合(診断装置) 送信 送波周波数 f S 受波周波数 f R 送受波器 受信 ドプラ効果は2回起こる ① 反射体が観測者として見なされる (音源から音波の送信) ② 反射体が音源として見なされる (反射体からのエコーの受信) 移動速度 v 反射周波数 f ref 反射体 ドプラ効果 音源と観測者が同一で反射体が移動する場合(診断装置) 移動速度 v 送信 送波周波数 f S 受波周波数 f R 送受波器 反射周波数 f ref 反射体 受信 受信周波数と送信周波数の関係は? 1 2 2 ドプラシフト周波数 周波数変調(位相変調) ドプラシフト周波数 :ドプラ周波数 : 送信周波数 ドプラシフト周波数は?(vが一定の場合) 音速 約1500m/s,血流速は速くても1m/s以下 ドプラシフト周波数は送波周波数 の0.1%未満に過ぎない (例) 送波周波数2MHz, 反射体速度1m/sなら ドプラシフト周波数は約2667Hz ドプラシフト周波数 :ドプラ周波数 : 送信周波数 エコー信号のスペクトルは?(vが一定の場合) fd ドプラシフト周波数は送波 周波数の0.1%未満 fs -fs 0 fs f ドプラシフト周波数の計測(直交検波) 血流による位相変化をx(t)=2v(t)st/cとし, 受波信号を sin として,直交検波の処理を適用する sin 受波信号 sin 受波信号 sin 参照信号 cos 参照信号 1 2 1 2 cos 血流情報 sin 血流情報 cos 2 LPFで除去 sin 2 LPFで除去 解析信号は 血流情報 解析信号の位相情報が血流の速度情報を持っている ドプラ信号の波形 送波周波数2MHz, 音速1500 m/s,反射体速度15 m/s 1 0.5 参照信号 0 -0.5 -1 1 受波信号 0.5 1 1.5 2 x 10 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -5 1 x 10 0 -1 0 0.5 1 1.5 2 ドプラ信号 0 (同相信号)-1 2.5 -5 1 x 10 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -5 1 ドプラ信号 (直交信号) 2.5 -5 0 -1 参照信号 + 受波信号 0 x 10 0 -1 0 0.5 1 1.5 2 2.5 -5 x 10 血流の向きは? 血流の向きは同相成分のみ(直交成分のみ)からは 判断できない(回転の方向はわからない) 2 遠ざかる場合(速度が負) Im v 2 2 反射体 音源 Re 近づく場合(速度が正) v 音源 反射体
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