第2章 伝送とプロトコル

2.5 変調と多重化
でも,その前にアナログ信号の変調についての復習
① 信号の同時伝送
音声信号を伝送媒体が持つ周波数帯域の範囲内で移動することで,
重複することなしに周波数帯域を複数の音声信号に割り当てることで,
利用可能な帯域幅を有効に利用する。
② 放射の容易さ
伝送すべき信号の周波数が高いほど,
より短い放射アンテナで効率的に電波を放射することができる。
(2)振幅変調(AM:Amplitude Modulation)
① 一定振幅の高周波で原発振器を発振させ,信号波に従って搬送波の振幅を
変化させる。
②受信するには,同調回路で搬送波の周波数に同調させてその周波数だけを
拾い出して検波する。(単側帯波振幅変調では,片側を加えてから検波す
る)
③ 図の上半分または下半分を切り取り,高周波成分をフィルタにかけてカット
することで信号波を取り出す。
④ 信号波を電圧増幅,電力増幅して人間の耳に聞こえる音声に変換する。
⑤電話だけでなく,ラジオ等にも使われる変調方式である。
振幅
実線:変調波形
点線:信号波形
時間
上側と下側に波が現れる。これを両側帯波振幅変調といい,
上側を上部側帯波,下側を下部側帯波という。
DSBとSSB
両側帯波変調DSB(Double Slide Band)
単側帯波変調SSB(Single Slide Band)
①上部側帯波と下部側帯波は同じ波形なので,どちらか一方を送信すれば構
わない。これを単側帯波振幅変調(SSB)という。
② 低周波成分まで送出する必要があるFAX,テレビ等では,削除する片方の
側帯波の一部と他方の側帯波を送出する残留側帯波方式(VSB:Vestigial
Side Band)という方式が使われる。DSBほど帯域は広がらない。
振幅
周波数
時間
ω-0.3kHz
ω+4.3kHz
ω+0.3kHz
ω:搬送波周波数
ω+4.3kHz
振幅変調における振幅
搬送波: a  A cos(t   )
信号波: v  V cos( pt   )
 V

F (t )  A1  cos( pt   ) cos(t   )
 A

V
 A cos(t   )  cos( pt   ) cos(t   )
A
1
ここで cos   cos   cos(    )  cos(    ) だから
2
F (t )  A cos( t   ) 
なお, m 
mA
cos (  p)t       cos (  p)t     
2
V
を変調度という。 m  1 のとき100%変調
A
m  0 のとき無変調
(3)周波数変調(FM:Frequency Modulation)
① 信号波の振幅に比例して搬送波の周波数を変動させる方式。
② FM放送やTV放送等で使われている。
③ 受信するには,周波数差に比例して電圧が発生する周波数弁別器
(frequency discriminator)を介して元の信号を取り出す。
④ 一般には,振幅を一定にする。振幅一定が原則なので,受信部の振幅リミタ
で外部雑音を切り取ることが可能である。
⑤ 雑音に強い伝送方式であるが,再生に必要な周波数帯域が広いので,
帯域有効利用には不向きである.
振幅
実線:変調波形
振幅は一定で,
時間
周波数が変わる
(4)位相変調(PM:Phase Modulation)
① 信号波の振幅に比例して搬送波の位相を変動させる方式。
② 位相が変わる部分で周波数が変わることになるので,
アナログ伝送にこの変調方式を使うかぎり,
位相差検出の原理は周波数変調と変わらない。
③ 4相(2ビット)や8相(3ビット)など多値符号化に一般によく使われる。
振
幅
実線:変調波形
振幅は一定で,
時間
位相が変わる
AM → ASK
FM → FSK
PM → PSK
2.5.1 パルス符号変調方式
①ディジタル信号
(変調信号)
(1)各種のディジタル変調方式
1
0
1
1
0
1
f1
f0
f1
f1
f0
f1
0
π
0
0
π
0
②搬送波
③振幅変調(ASK)
(伝送ではあまり使われない)
④周波数変調(FSK)
⑤位相変調(PSK)
(2相位相変調の場合)
差動位相変調方式
受信側では,どれが基準波の位相かを判断できない
先行する搬送波の位相との差によって判定する。
これを差動位相変調方式と呼ぶ
位相変位
振幅位相変調
4相
APM(Amplitude Phase Modulation)
8相
1010
01
00
011
000
010
1011
基準
111
0010
0011
0111
001
基準
1000
0000
0001
1001
1111
11
2,400 bps
10
110
100
4,800 bps
101
0110
1110
基準
0101
0100
1100
9,600 bps
1101
2.5.2 音声信号のディジタル化
(1)変調の種類
①パルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulation)
音声信号をパルスの振幅変化に変換。雑音やひずみによって振幅が変化し
伝送品質が劣化する。
②パルス幅変調(PWM:Pulse Wide Modulation)
雑音の影響は受けにくいが,パルス波形のひずみが伝送品質に直接影響す
る。
③パルス位相変調(PPM:Pulse Phase Modulation)
パルス幅を変えないで一定の高さと幅を持ったパルスを基準時点からパルス
幅に相当する時間だけ伝送する。パルスの位置が伝送路の雑音やひずみを
受ける。
④パルス符号変調(PCM:Pulse Code Modulation)
パルスの有無の組合せによる符号で伝送する。伝送路による伝送品質に対
する影響が少ない。
(2)アナログ信号と比較した
ディジタル信号の優位性
①位相のずれや振幅ひずみの影響を受けにくく,雑音妨害に強い。
②漏話(cross talk)がなく,時分割が可能である。
③画質劣化や音質劣化を意識せず複写が可能である。
④コンピュータ処理が可能である。
[注]
画像・動画をディジタルデータとして転送するには,
広い伝送帯域が必要であり,コストも高いが,
IC技術,光通信技術などのディジタル技術,
帯域圧縮技術等の進歩・発展が著しい。
(3) 標本化・量子化・符号化
(a)PCM方式の流れ
パルス符号変調(PCM:Pulse Code Modulation)方式の例
(入力)
①
②
標本化
量子化
③
符号化
(あるいはサンプリング)
(出力)
伝送路
⑤
補間ろ波
④
復号化
(b)標本化
① 一定の時間間隔でアナログ信号の振幅値を抽出すること。
1秒間をいくつに分割するかをサンプリング周波数という。
② 振幅に応じて変化するパルスを
PAM(Pulse Amplitude Modulation)という。
③ 標本化定理
「原信号に含まれている最高周波数の2倍以上で標本化すれば,
原信号を完全に復元できる」
周波数帯域は 0.3~3.4 kHz であるから
余裕をもって最高周波数を約 4 kHzとすると,
標本化周波数は,8 kHz以上となる。
パルス間隔は 1/8,000=125μ秒以下となる。
(c)量子化・符号化
① 標本値は無限個の実数値であるが,
これを有限個の値にする。すなわち整数化を行う。
② 区切られたステップ数を量子化ステップという。
③ 量子化によって区切られた値を
0,1の符号(2進数)の信号に変換することを符号化といい,
信号が何ビットで表現されるかを量子化ビットという。
④ 量子化の際の丸め誤差による雑音を量子化雑音という。
⑤ サンプリング周波数が高く,量子化ビットが多いと
量子化雑音が少なくなり,音質が良くなる。
(d)復号化・補間ろ波
① デジタル伝送路より受け取ったパルスを
受信側とは逆の操作でPAMパルスに戻すことを復号化という。
② PAMパルスを滑らかに結ぶことで
送信前のアナログ信号に戻すことを補間ろ波という。
③ 補間ろ波は低域フィルタと同じである。
音声信号の場合,4 kHz以下の周波数だけを取り出すことで
実現される。
サンプリング
間隔
音声波形
PAMパルス
間隔
PAMパルス
補間ろ波
(e)音声のビットレート
① 電話伝送では,PAMパルスをパルス8で符号化する。
これを「符号化ビット数が8である」という。
② 秒あたりのパルス数をビットレート(単位:bits/sまたはbps)と
いう。標準的には,符号化ビット数が8であるため
8bits×8,000回/秒 = 64,000 bits/s = 64 kbps
となる。
(4)音楽等のデータについての補足
①人間が耳で感じることができる周波数範囲は,音声信号より広く,
20 Hz ~ 16 kHz
程度である。
②特に感度が良いのは, 1,200~4,000 Hz のあたりである。
③音として感じる強さの限界を最低可聴値という。
2.5.3 多重化方式
(1)多重化とは
複数の小容量チャネルを大容量チャネルを使って同時に伝送すること
① 周波数分割多重(FDM):アナログ回線
送信するデータチャネルごとに異なる搬送波を変調して,周波数軸に並べて
多重化する。
② 時分割多重(TDM):デジタル回線
時間軸上に設定されたタイムスロットに規則的に並べて多重化する。
③ 波長分割多重(WDM):光ファイバ
送信するデータチャネルごとに異なる波長の光波を変調して多重化する。
用語
①ひとつの通信のデータを複数の通信回線や伝送チャネルに分割して、並列伝
送することを逆多重化という。
②多重化を行う装置を多重化装置(Multiplexer)またはマルチプレクサという。
③アナログ伝送における多重化では,周波数分割多重(FDM:Frequency
Division Multiplexing,またはFDMA:Frequency Division Multiple Access )
が主に用いられる。
④周波数分割多重とは,伝送周波数帯を更に細かい複数の狭い帯域チャネルに
分割し、それぞれのチャネルを独立した通信チャネルとして使う方法。
(2)音声信号の多重化
単側帯波方式(SSB:Single Side Band)
①音声信号(0.3~3.4kHz)に4kHzの周波数帯域が割当てられることを利用し、伝
送周波数帯が12~24kHzのとき、周波数分割多重を行う例を示す。
②図では、音声信号の各信号の上部側帯波だけを、4kHz毎の12~16kHz、16~
20kHz、20~24kHzに分割・変調して合成している。
CH1
0.3
変調
3.4
変調
CH2
0.3
3.4
CH3
0.3
3.4
変調
合成波
12 kHz
16 kHz 20 kHz
24 kHz
両側帯波方式(DSB:Double Side Band)
両側帯波を送信。
CH1
0.3
CH2
変調
3.4
変調
合成波
12 kHz
16 kHz 20 kHz
24 kHz
残留側帯波方式(VSB:Vestigial Side Band)
下の例は,下部側帯波の一部と上部側帯波を送信。
振幅
通過特性
多重化のハイアラーキ
一度に多数の通話路を積み上げると,多数のフィルタが必要となるので,
段階的に多重度をあげるのが一般的。
これを多重化のハイアラーキ(階層)という。
チャネル1
チャネル2
チャネル3
チャネル4
チャネル5
チャネル6
伝送路
多重化
分離
チャネル11
チャネル12
チャネル13
チャネル21
チャネル22
チャネル23
上記では 6 種類のフィルタが必要だが,以下では 3 種類だけでよい
チャネル11
チャネル12
チャネル13
多重化
1
チャネル21
チャネル22
チャネル23
多重化
2
多重化
変調器と復調器
① リング変調器(SSB用)
出力 e - f に DSB-AM 波が現れるので,
帯域ろ波器(BPF)で下部側帯波を取り除くと,SSB波が得られる
下部側帯波
上部側帯波
fc1
入力
a
T2
T1
g
e
B
P
F
3.4
0.3
信号波 b
f
c
d
fc1:搬送波
fc1+0.3
h
BPF:帯域ろ波器
(Band Path Filter)
fc1+3.4
② 復調器(SSB用)
変調時と同じ周波数 c で変調すると p の帯域と p+2c の帯域に変更される。
ここで下部側帯波をとり,低域フィルタにかけると元の信号が取り出される。
a
T2
c
入力信号 B
p+c P
F
b
T1
d
p+2c
e
L
P
F
出力信号
p
f
搬送波c
BPF:帯域ろ波器
(Band Path Filter)
LPF:低域フィルタ
(Low Path Filter)
③ トランジスタ変調器
[リング変調器の欠点]
① 両方向性を有し,不要側帯波成分が終端インピーダンスに影響するので,
入力インピーダンス制御が難しく,不要側帯波成分抑圧用ろ波器の損失補
償設計が困難である。
② 搬送波で反転動作するスイッチと考えられるが,ダイオードには,その逆方
向の微小交流インピーダンスを持っているため,理想的なスイッチとはなら
ない。そのため,ひずみ率,搬送波漏洩,搬送波レベルの変動による変換
損失等が大きい。
スイッチング素子としてトランジスタを用いる。
トランジスタ変調器の回路
搬送波信号電圧により2個のトランジスタを交互にON,OFF出力を得る。
a
入力信号
出力信号
b
T1
T2
搬送波
(3)時分割多重化方式
① TDMの構成モデル
時分割多重化方式は,パルス符号変調の多重化に用いられる。
送信側スイッチS と 受信側スイッチR は
同一速度でなければならない
CH1
CH2
CH3
CH4
CH1
CH2
CH3
CH4
伝送路
送信
ロータリースイッチS
受信
ロータリースイッチR
条件
①送信側のすべてのパルスの速度は同じである。
②両回転スイッチは常に同一速度で回転する。
受信された多重化信号からタイミング信号を抽出する(クロック同期)
③ロータリスイッチの接点位置を同じ位置に合わせなければならない。
ロータリスイッチの回転ごとに特定のパターンを挿入する(フレーム同期)
② ビットデータの多重化の様子
ビットデータの多重化する例を示す
1
0
1
0
0
1
1
1
1
1
0
0
1
0
1
CH1
0
CH2
CH3
CH8
多重化
0
1 0 1 1
C
H
8
C CC
H HH
3 2 1
1 0 0 0
(b) TDMの多重化の様子
1 1 1 1
0 1 0
ロータリー
スイッチが
1回転する時間
時
間
③ PAMデータ多重化の様子
PAMデータの多重化
CH1
CH2
CH3
CH8
多重化
C
H
4
C
H
3
C
H
2
C
H
1
(b) TDMの多重化の様子
ロータリー
スイッチが
1回転する時間
時
間
④ PCM波形の多重化の様子
多重化されたPCM波形
1フレーム ( 8 ビット ×24 チャネル + 1 = 193タイムスロット)
1 /8,000秒 = 125 μ秒
CH1 約 5.2 μ秒
(≒ 125/24 μs)
CH2 約 5.2 μ秒
CH24 約 5.2 μ秒
1タイムスロット0.65 μs
0.324 μs
1 2 3 4 5 6 7 8 1 2 3 4 5 6 7 8
1 2 3 4 5 6 7 8
フレーム同期パルス
1タイムスロット = 125μ秒/193
= 0.648μ秒(1.544MHz)
1デューティ
= 1タイムスロット/2 =0.324μ秒
(3)光ファイバ伝送もおける多重化
(a)多重化方式の種類
従来のSONETでは時分割多重であるが,
光ファイバ伝送でも周波数分割多重が適用される。
光ファイバの場合,特徴的な多重方式は波長分割多重である.
(a) 時分割多重(TCM: Time Compression Multiplexing )
(b) 光波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing )
(c) 光カプラ多重(DDM: Directional De-coupling Multiplexing)
(d) 光周波数分割多重(OFDM:Optical Frequency Division Multiplexing)
(b) 光波長分割多重
TCM(Time Compression Multiplexing)
(b)時分割多重(TCM)
① 光アクセスでも,メタリックケーブルにおけるN-ISDNと同様,
局から利用者宅に向かう下り方向と,その逆方向で,使用時間を割り当て,
送受信を切り替える時分割制御伝送方式(TCM)すなわちピンポン伝送方式が
使用される。
② 一般的には,上下とも同じ波長の1.3μmが使用される。
[上下信号を時間的に切り替えて交互伝送]
切換スイッチ
切換スイッチ
E/O,O/E両機能を持つ光源
光
光源
光源
光
(切換は同期をとる)
E/O:Electrical/Optical(電気/光変換)
O/E:Optical/Electrical(光/電気変換)
WDM(Wavelength Division Multiplexing)
(c)光波長分割多重(WDM)
① 1本の光ファイバで,波長が異なる複数のデータを多重化する方法。
② 送信側の合波器によって波長の異なる複数の光を搬送波(キャリア)として多重化。
③ 受信側の分波器によって波長を分けて受信する。
④ 複数の光信号を1本の光ファイバを使用して異なる方向に伝送する場合,合波・分
波の両機能を持つ光合分波器が必要である。
[WDMによる上下信号多重]
E/O
W
D
M
回
路
O/E
O/E
波長1
波長2
W
D
M
回
路
E/O
多重化する波長の数による分類
① 2波長WDM(2波)
: two wavelength WDM
② WWDM(4波~10波) : Wide Wavelength Division Multiplexing
③ DWDM(16波以上)
: Dense wavelength Division Multiplexing
2波長WDM
① 1,300 nm 帯と1,500 nm 帯の2つの波長を使用。
② 波長間隔が200 nm と広いので,
送信側の発振周波数制御を行う必要がない。
③ 合波分波器の簡略化が可能である。
④ 双方向伝送または短距離での2種類信号を
多重伝送する際に有効。
WWDM(4波から10波)
① 波長間隔を10 nm 程度として 4 ~ 10 波程度を多重化。
② 比較的,波長間隔が広いので温度補償回路が省略可能。
③ 比較的安いコストでWDMを構築可能である。
④ 10 Gbit イーサネットで採用されている。
⑤ 8波程度を多重化するWDMを,
特にCWDM(Coarse WDM)と呼ぶこともある.
DWDM(16波以上)
① 周波数間隔を50 GHz (波長約0.4nm)の整数倍とし,
数 10 ~ 数 100 波程度の光信号を高密度で多重伝送。
② 最大の多重波数は,送信機の周波数間隔,
光アンプの利得帯域幅で制限される。
③ 最小周波数間隔は 50 GHz,
光アンプ利得帯域幅は現時点で最大 8 THz であるため,
最大多重波数は 160 程度である。
④ DWDMを実現するためには,自動偏光制御技術,
波長偏光分離技術,高速光受信技術等が必要である。
DDM(Directional De-coupling Multiplexing)
(d)光カプラ多重(DDM)
TCMにおける切り替えスイッチの替わりに,光カプラを用いて上下信号を多重化
E/O
光
光
カ
プ
ラ
光
カ
プ
ラ
O/E
O/E
光
E/O
OFDM:Optical Frequency Division Multiplexing
(e)光周波数分割多重(OFDM)
光ファイバ上で,異なる周波数の光信号チャネルを多重化する方式
① 異なる周波数を持つ7~8程度の光信号を多重化する。
② WDMと似ているが,光FDMでは受信された光信号を
電気信号に戻した後,多重化されたチャネルを分離する。
WDMでは,光信号の段階で多重化されたチャネルを分離し,
分離された信号を電気信号に変換する。
[注意]
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)も
OFDMと略称されるので,注意すること。
(f)光ファイバー通信における多重度
光ファイバの減衰特性は,波長1.55[μm]付近で最低となり,
その近くの波長でも十分低く,実用的な減衰定数を得ることができる。
波長1.55[μm]付近で利用可能な波長帯域幅を,
例えば1.500[μm]から1.600[μm]の0.1[μm]とすると,周波数帯域は
f 1 = 3×10 8/(1.5×10 -6 ) = 2.000×10 14
f 2 = 3×10 8/(1.6×10 -6 ) = 1.875×10 14
f W = f 1 - f 2 = 0.125 ×10 14 = 12.5 ×10 12 = 12.5 [THz]
この周波数帯域に,光の搬送周波数を 100 [GHz] 間隔で配置すると,
125 チャネルの搬送波をのせることができる。
1つの搬送波に 10 [Gbps] の情報を乗せると以下の伝送量になる。
125 × 10 × 10 9 = 1.25× 10 12 = 1.25 [Tbps]
(g)周波数安定化の必要性
周波数間隔が接近しているので,OFDMやWDMを使うには,
複数の半導体レーザの周波数を安定化させる必要がある.
例えば,ファブリペロー共振器をも用いることにより,
共振周波数間隔を確保し,周波数間隔を
数 10 [GHz] ~ 数 100 [GHz]
まで設定することができるので,ひとつの周波数基準で
周波数間隔を等間隔に安定化させることができる。