第 4 章 RF& 無線 4−1:無線通信の基本中の基本① AM と FM の違い はじめて無線機を設計しますが,AM と FM の違い もよくわかりません.それぞれの良いところを教え てください. 変調の方法には,正弦波の波形の振幅を変化させる 振幅変調(AM:Amplitude Modulation)と周波数を変 化させる周波数変調(FM:Frequency Modulation)が あります. ■ AM 変調回路 図 1 振幅変調方式による 変調波…搬送波の振幅を 変化させて変調情報を伝 送する 電圧[V] 電圧[V] 電圧[V] AM は図 1 のように,搬送波の大きさ,つまり振幅 を変化させて変調情報を伝送するため,振幅変調と呼 ばれます.変調情報で正弦波の波形振幅を可変できる 回路が必要です. ● 復調方法 AM の復調 (検波)には,おもに 3 種類の方式があり ます.これらの方式を基本として,ディジタル信号処 理による復調回路も増えています. ① 包絡線検波 (整流) 方式 受信信号をダイオードとコンデンサで整流し,直流 成分となる振幅値を変調情報として得る方式です.図 2 のように包絡線検波の回路構成はシンプルです.図 3 にその波形例を示します. ② 2 乗検波方式 受信機内部で,受信信号を 2 乗する回路を通します. 2 乗により得られる成分 (項)の一部を受信信号の振幅 値として得ます.これを LPF を通すと実際の振幅値 が得られます.図 4 にその波形例を示します. ③ 同期検波方式 受信信号と,搬送波と同じ周波数の受信機内部で作 った正弦波とを乗算させることで,変調された変調情 報を取り出します.乗算によって,受信信号と受信機 内部での正弦波との和と差の周波数が得られ,差の周 波数成分を振幅値が得られます.これにより得られる 波形は,図 4 とかなり近いです. ●[Good answer]回路構成がシンプル AM は,なんといっても回路構成がシンプルです. 受信機側では信号を整流すれば,変調情報を復調でき ます.ゲルマニウム・ラジオも,AM を包絡線検波で 復調する方式です. 2 乗検波方式や同期検波方式は,包絡線検波(整流) 1 0 −1 (a)搬送波 時間[s] (b)変調情報 時間[s] (c)変調波 時間[s] 1 0 1 −1 図 3 図 2 の回路で得られ る波形の例 電圧 [V] 1 (a)整流回路出力 電圧 [V] 状.これが整流により得られ 時間[s] 1 包絡線は,変調波の各ピーク 点をつないで表される波形形 0 0 (b)ローパス・フィルタ出力 た振幅値に相当する 時間[s] 電圧 [V] 1 0 (a)2乗回路出力 時間[s] (b)ローパス・フィルタ出力 時間[s] 図 4 2 乗検波回路で得ら れる波形の例 132 電圧 [V] 1 0 2016 年 5 月号
© Copyright 2024 ExpyDoc