Document

自由論題 アジアの経済・金融
報告2
斉
中凌(日本大学経済学部非常勤講師)
中国の銀行部門の現状と課題についての考察
China's Banking System: Current Status and Challenges
中国は金融がテコとなり、高度経済成長を遂げてきた。金融市場では株式、債券などの
直接金融に比べ、銀行融資を中心とする間接金融が中核的な役割を果たしている。実体経
済が金融システムから受けた新規資金の総額である社会融資規模をみると、2014 年 1 月か
ら 11 月まで直接金融としての債券発行が融資総額の 15.7%、株式発行が同 2.5%であるの
に対し、間接金融としての銀行貸出は同 77.7%を占める。資金融通の仲介である銀行は中
国経済にとって極めて重要な存在である。
中国経済の減速傾向が鮮明になるのに伴い、シャドーバンキングや不良債権問題の再燃
など金融市場の安定性に対する懸念が高まっている。本稿では、銀行経営の健全性を示す
幾つかの関連指標を俯瞰したうえで、金融市場の安定性と効率化において銀行業が抱えて
いるいくつかの問題を指摘し、最後に銀行業が今後どのような課題に直面するのかについ
て分析する。