ロボットピッキングシステム 「ピッキングアイ」の紹介 株式会社マクシス・シントー/西郷知泰 本稿では、弊社製品、ロボットピッキングシステム 「ピッキングアイ」を紹介する。 「ピッキングアイ」 では、設備上部に固定された3D物体認識用ビジョンセンサとロボットハンド部に取り付ける2D物 体認識用ビジョンセンサを併用するデュアルセンシング方式を採用している。物体の姿勢/位置 自由度の高い物体位置認識が可能な3Dビジョンと、状態に応じた動作が可能なハンドカメラの 両立によるロボットの知能化を実現している。 1 ロボット産業 2010 年予測)。 そのような先進的知能化の取り組みの 1 つとし 多様な動作が可能であり、高速/高精度での移 て、バラ積み部品のピッキング(物体把持)作業が 動が可能な産業用ロボットは、重量物運搬/溶接 ある。弊社は自動化設備メーカとしての長年の経 工程などのいわゆる 3K 作業の人からの代替に多 験と、大学との連携による 3 次元画像処理技術開 く活用されている。また、国内での少子高齢化に 発を融合し、バラ積み状態を含めたロボット・ピッ よる労働人口の減少/海外生産拠点での人件費向 キング・コントローラ「ピッキングアイ」を独自 上やその他リスクの回避といった要求に加え、ロ 開発した。 ボットメーカ各社が産業用ロボットの低価格化を 本稿では、「デュアルセンシング方式」と名付け 進めているため、生産設備の産業用ロボットによ た特徴的な「ピッキングアイ」の部品認識方式を る自動化は益々成長していくものと思われる。 中心に紹介する。まとめとして、自動化設備に欠 さらに、ロボット関連メーカは「知能化」をキー かせない「システム・インテグレータ」の観点か ワードに力覚センサ、ビジョンセンサとの連動と ら「デュアルセンシング方式」を用いた「ピッキ いった“状況に合わせた”動作を可能にする技術 ングアイ」の優位性を示すとともにまとめと今後 開発が行われている。これら技術の進展により、 の展望を述べる。 その作業複雑性や多品種対応性が原因で人間が作 業している工程も産業用ロボットに置き換える取 り組みも加速していくものと考えられる。このよ 2 「デュアルセンシング方式」 うな流れから現在の産業用ロボットの市場規模は 平面に置かれた(姿勢が安定した)物体は、基本 1 兆円であり、約 20 年後の 2035 年には 2.7 兆円、 的にXY方向、θ(回転)方向の 3 つの位置自由度を 介護等次世代ロボット産業を含めれば 9.7 兆円と もつ。2 次元ビジョンセンサにより物体を撮影す いう試算も行われている(経済産業省・NEDO、 ることで上記 3 自由度の数値を確定させることが eizojoho industrial May 2013︱35
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