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自由論題5「台頭する中国の外交」
報告2
周生升(早稲田大学大学院博士課程)
「台頭中国と南シナ海問題——非対称的関係と『連横』外交から分析する——」
中国台頭は21世紀における最も重要な国際現象であり、世界経済のみならず、クローバ
ルガバナンスや安全保障問題や文化など多くの方面にわたって深刻な変化をもたらしてき
ているといえよう。近年来、南シナ海をめぐる一連の事件が特に注目が集められている。
大国の拡張的行動に対して、関係諸国が勢力均衡政策を取って大国をけん制するのが、こ
れまで国際関係分野における主流の見解である。しかしたくさんの事例が示したように、
「大国」特に「超大国」に対する勢力均衡政策が有効とは言えない。今日で言えば、アメ
リカのイラク戦争やロシアのクリミア併合などがあげられる。南シナ海における中国の埋
め立てと島建設もまさにそうである。したがって、本研究の問題意識として、まずなぜ関
係諸国が中国を止められなかったのか。言い換えれば、なぜ勢力均衡政策が南シナ海問題
においてほとんど機能しないのか。そして、この拡張行動について、よく「軍事化」の一
面が議論されてきたが、中国の反論として、「航行自由」の維持や「公共財」の提供など
を強調し実行もしている。ゆえに、もう一つの疑問が浮かんできた。つまり、埋め立てや
島建設を止められない場合、関係諸国が引き続き勢力均衡政策を取るのか。
以上の問題意識を持って、本研究は国際関係学の勢力均衡理論と中国の「合縦連横」思
想に基づいて、比較研究を通じて、埋め立てや島建設をめぐる南シナ海問題を検討した。
まず、勢力均衡政策のジレンマについて、主に二つの原因が考えられる:1、中国と関係諸
国における非対称的関係;2,大国が小国に対する「連横」外交。この 2 点が、中国へのけ
ん制を無力化した。そして、本研究は、中国に対するけん制の失敗が必ずしも地域秩序の
崩壊を意味するとは限らない。もし、中国が秩序維持や公共財提供もできれば、南シナ海
における安定が「力のバランス」ではなく、
「力のアンバランス」によるものになる可能性
がある。