物 性 物 理 化 学 (セミナーⅠ・Ⅱ) - 物 性 科 学 入 門 - 講義の形式について: これは堀内研の 4 年生が受講する「セミナーⅠ・Ⅱ」ですが、化学系 3 年生、4 年生、 院生なら誰でも参加できる公開セミナーです。1 年生や 2 年生は基礎知識が不足している ので、参加してもあまり得るものはないかと思いますが、もちろん参加は自由です。同様 に他系、他学科、他学部の学生でも、教員でも誰でも参加自由です。いつから参加しても、 興味のあるところだけ参加しても結構です。講義の途中から参加しても、途中で早退して も構いません。次頁以降の講義予定を参考にして下さい。ホームページに講義の進行状況 を毎週載せますから、それも参考にして気軽に参加して下さい。 講義の内容について: 物性科学とは本来は統計力学に基づいてミクロのレベルから物質が示すマクロな性質を 理解するものですが、このセミナーでは、物質の示す性質(物性)を考えるとき、その構 造を知ることがまず基本であるという考え方に基づいて、結晶、液体、ソフトマター、超 分子等の構造の特徴について概説することを主眼とします。したがって、残念ながら本題 である物性については、時間の関係上あまり触れることはできません。その代わり、広く 浅く物質科学(材料科学や生命科学を含めて)を紹介します。その際、できうる限り最先 端の内容を盛り込むつもりです。 教科書は 千原秀昭・中村亘男 訳、アトキンス物理化学(第 8 版)上下、東京化学同人 を使いますが、アトキンスには載っていない内容も多く紹介します。毎回レジュメを配り ます。このセミナーの内容を検討する際に参考にした文献はかなりの数ありますが、アト キンスの他には主に C.Kittel 著、キッテル固体物理学入門、丸善 川村肇著、固体物理学、共立出版 上村洸編著、物質科学-物理編-、放送大学教育振興会 です。これらの本は図書館にもあるので、興味のある人は参考にして下さい。 琉球大学理学部 海洋自然科学科 堀内 敬三 講義予定: 1. 物性とは-巨視的な観点と微視的な観点から- 4月 1・0 基礎事項 1・0・1 格子振動 1・0・2 (自由電子)Fermi 気体 1・0・3 気体分子運動論 1・0・4 統計分布 1・0・5 補足説明 1・1 機械的性質・力学的性質(連続体力学) 1・1・1 弾性体 a 弾性率 b 弾性波 1・1・2 流体 5月 a 静止流体 b 完全流体 c 粘性流体 d レオロジー e 超流動 1・1・3 輸送現象 a 粘性 b 拡散 1・2 熱的性質(熱力学) 1・2・1 熱容量 a Dulong-Petit の法則 b Einstein モデルと Debye モデル c 電子熱容量 1・2・2 熱伝導 1・2・3 熱膨張 1・3 電気的性質(電磁気学) 1・3・1 誘電性 a 誘電体 b 誘電率と分極率 c 誘電損失 1・3・2 伝導性 a 電子伝導 e イオン伝導 b 伝導性高分子 f 固体電解質 c 分子性導体 d 超伝導 6月 g 超イオン導電体 h (化学)電池 1・4 磁気的性質(電磁気学) 1・4・1 磁性体 a 磁性 b 常磁性と反磁性 e 分子磁性体 c 強磁性 d 金属磁性 f マルチフェロイック 1・4・2 応用 a スピン(エレク)トロニクス 1・5 光学的性質(光学) b 複屈折 c 断熱消磁 7月 1・5・1 反射と屈折 a 屈折 b 磁気科学 c 反射 1・5・2 旋光性 1・5・3 散乱 1・5・4 吸収とルミネセンス 1・5・5 非線形光学 1・5・6 磁性体の光学的性質 2. 物質の凝集力 2・1 凝集力 2・1・1 化学結合 2・1・2 金属結合 a バンド理論 b バンド構造と物質の分類 c 半導体素子 d 半導体・絶縁体の光学的性質 e 太陽電池 f 有機 EL と有機エレクトロニクス 2・1・3 分子間力 a van der Waals 力 d 電荷移動力 b 交換斥力 e 水素結合 c 分子間ポテンシャル f まとめ 2・2 結晶の凝集力 a 凝集エネルギー d 金属結晶 b イオン(性)結晶 e 分子(性)結晶 c 共有結合(性)結晶 f 固体の分類について 8月 g 結合半径 2・3 液体の凝集力 a イオン性液体 b 室温溶融塩 c 液体金属 d 分子性液体 3. 物質の凝集構造 3・1 結晶の構造 3・1・1 結晶格子 a 対称性 b 結晶学の基礎 c 代表的な結晶構造 d 低次元結晶 3・1・2 単結晶 X 線構造解析 a X 線の発生 b X 線と物質の相互作用 d 構造因子と位相問題 c Bragg の法則 e 実験装置と実験の手順 f 放射光科学 3・1・3 X 線吸収端と異常分散 a X 線分光 b 異常分散効果 c 絶対構造 3・1・4 X 線粉末回折法 a はじめに b 粉末回折法の原理 c 実験装置と実験の手順 3・1・5 中性子回折 a 中性子線 b 中性子回折法の特徴 d 磁性体による散乱 e 非弾性散乱 c 結晶による散乱 9月 3・1・6 電子回折 a 電子線 b 基本原理 c 実験装置と実験の手順 3・1・7 準周期構造 a 準結晶 b 非整合結晶(不整合結晶) 3・1・8 格子欠陥(格子不整) a Schottky 欠陥 b Frenkel 欠陥 d 結晶中の原子の拡散 g 固溶体と合金 c 空格子点 e 色中心 f 不定比化合物 h 水素吸蔵合金 i 規則-不規則格子と超格子構造 j 転位 k 結晶成長 l 積層欠陥(積層不整) 3・1・9 固体の表面構造 a 表面再構成と表面緩和 b 表面の指定と表面格子 c 電子の密度分布と仕事関数 e 吸着と触媒作用 d 固体の吸着現象 f 表面の測定手段 3・1・10 包接化合物 a 包接化合物(クラスレート化合物) b 多孔質化合物・層状化合物 c 層間化合物(インターカレーション化合物) 3・2 液体の構造 3・2・1 動径分布関数 3・2・2 液体の表面構造 a 表面張力 10 月 b ぬれと毛細管現象 c 核生成 3・2・3 超臨界流体 3・3 ソフトマターの構造 3・3・1 液晶と柔粘性結晶 a 中間相 b 液晶 c 液晶の X 線回折 3・3・2 アモルファス a アモルファスとは b アモルファスの構造 c ガラス転移 3・3・3 非晶質・液体の X 線散乱・中性子散乱 a 非晶質・液体による散乱 c 実験装置と実験の手順 b 非晶質・液体 X 線散乱の原理 d X 線異常散乱法 e 液体の中性子回折 3・3・4 高分子 a 高分子の分類 c 高分子の高次構造 b 高分子化合物の一般的特徴 d 高分子固体 e 高分子溶液 f 接着 3・3・5 生体高分子の X 線構造解析 a 解析のあらすじ b 構造の評価-解析の限界、信頼度および精度- 3・3・6 界面・コロイド a 界面化学とコロイド化学(界面科学とコロイド科学) b 分散系 f 膜 c コロイド分散系 d 粉体 e 界面活性剤 11 月 g ゲル 3・3・7 X 線小角散乱・中性子小角散乱 a X 線小角散乱の原理 b 高分子・非晶質・液体における X 線小角散乱 c 中性子小角散乱による生体高分子の構造解析 3・3・8 乱れのある系・構造不規則系 3・4 分子集合体の構造 3・4・1 分子集合体-ミクロとマクロの架け橋- a クラスター b 超微粒子(ナノ粒子) c 超分子 3・4・2 ナノテクノロジー 3・4・3 メゾスコピック系 3・4・4 自己組織化と複雑系 4. 相転移-凝集構造の変化- 4・1 相平衡 4・1・1 相図 4・1・2 相図の熱力学的解釈 4・1・3 (Gibbs の)相律 4・1・4 2 成分系・3 成分系の相図 4・2 相転移 4・2・1 相転移の分類 12 月 4・2・2 転移の次数 4・2・3 一次の相転移 4・2・4 二次の相転移 4・2・5 相転移の応用例 4・2・6 熱分析 a 示差熱分析(DTA) c 熱重量測定(TG) b 示差走査熱量測定(DSC)
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