ヨウ素ドープカーボンナノチューブ を用いた透明導電膜の開発 名古屋工業大学大学院工学研究科 教授 川崎 晋司 透明導電膜の従来技術とその問題点 ITO(インジウム・スズ酸化物) 問題点:(1)高価 (2)柔軟性に欠ける 安価で柔軟性に富む カーボンナノチューブ導電膜が期待されたが CNT導電膜 問題点:(1)電気伝導度 (2)透明性 ITOに及ばない なぜダメか。 その原因は? カーボンナノチューブ透明導電膜の問題(1) ナノチューブの凝集をどう解くか? カーボンナノチューブ透明導電膜の問題(2) 光の透過率 1本1本の電気伝導性を良くできないか? 電気抵抗 問題解決策 ナノチューブにヨウ素をドープする と2つの問題が解決 (1)少量のドープで電気抵抗1桁下がる (2)ヨウ素ドープで凝集が解ける 簡単なヨウ素ドープ法を開発 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、ナノチューブの 凝集を解くことに成功した。 • 本技術の適用により、ナノチューブの電気伝 導度が1.5桁以上改善できるため、少量(すな わち高い透過度)で透明導電膜を作製できる。 簡単なヨウ素ドープ法 Intensity / Aub. units I5- ヨウ化物イオンが溶けた水の中で ナノチューブに正電位をかけるだけ! I3- SWCNTs ACF 0 Ag/AgCl C W 200Raman 400 600 Shift / cm −1 R aq. electrolyte Intensity / Arb. units NaI NaCl NaBr 未処理 0 1000 2000 −1 Raman Shift / cm 3000 800 ナノチューブにヨウ素をドープすると水に分散する どうして分散するのか? ファンデルワールス力で凝集 静電反発 δ+ δ+ Pristine tubes I-doped tubes ヨウ素ドープで電気伝導性UP! ヨウ素ドープ I@SWCNT 1×10-7 Ω・m −1 Intensity / a.u. 1594.57 cm TSURUGA 4 probe Ω −1 1587.21 cm 中空のチューブ 5×10-6 Ω・m empty 0 I-doped SWCNT Glass Substrate 1000 Raman shift / cm 2000 −1 現状と課題 スプレーコートで作成したヨウ素 ドープナノチューブ透明導電膜 問題点:ナノチューブ保持力 グラフェンとのπ-πを入れる 想定される用途 1. フレキシブル透明導電膜 2. 環境汚染除去フィルター 3. 高容量電気化学キャパシタ (電解質型疑似容量キャパシタ) 想定される用途(2) 環境汚染イオンの除去 汚染水処理の流れ図 ヨウ素 回収機 浄水 汚染水 ヨウ素 回収機 ヨウ素排出時は切り離す 2経路有るので連続運転可 133Xe 1100京Bq 131I 16京Bq 134Cs 1.8京Bq 137Cs 1.5京Bq 土壌汚染: 水溶性Cs, Sr, I など 日刊工業新聞社 保坂義男ほか著 「土壌汚染の本」 外部電源 排水管 ペーパー状に加工した カーボンナノチューブ 今できていること (1)CNTフィルター作成法 (2)CNTの特異・高速イオン吸着 (3)元素選択性 (4)ヨウ素吸脱着可逆性 (5)検知方法(静的、動的) 金属対極 今後やるべきこと (1)CNTフィルター最適化 選択性向上 吸着効率向上 繰り返し利用 吸着検知方法開発 (2)動的環境下での回収 (3)他元素吸着方法 高速性 可逆性 正電位をかけるとヨウ素が吸着し、負電位 をかけると脱着する(ラマンスペクトル) Intensity / Arb. units 負電位 ヨウ素のピーク { 正電位 0 1000 2000 Raman Shift / cm 3000 −1 最適な電位サイクルの決定 繰り返し性 能向上 想定される用途(3) 高容量キャパシタ 電気二重層キャパシタ(原理、特徴) Discharge ! e- Charge ! 電極 陰イオン 陽イオン 長所 ・長寿命 ・安定性 ・ハイパワー ・環境負荷が小さい 電解液 電気二重層キャパシタ(課題) パワー密度 / W / kg 10000 Al電解 コンデンサ 電気二重層 キャパシタ 1000 課題 2次電池 100 ・低容量 10 0.01 0.1 1 10 100 エネルギー密度 / Wh / kg 1000 飛躍的な高容量キャパシタ 電解質レドックスキャパシタ = 二重層容量 + 電解質の酸化還元反応 キャパシタ + 二次電池 ナノチューブの高比表面積 ヨウ素の酸化還元反応 実用化に向けた課題 • 現在、フレキシブル基板に塗布が可能なとこ ろまで確認済み。しかし、耐久性試験が不十 分である。 • 今後、耐久性について実験データを取得し、 保護膜の必要性について検討する。 企業への期待 • 未解決の保護膜の付与については、高分子 技術により克服できると考えている。高分子 メーカーの方などからアドバイスをいただけ れば幸いです。 • また、キャパシタやイオン選択吸着フィルタに 関しては開発初期段階であるのでターゲット の選定などから一緒に開発していただける パートナーが見つかるとうれしく思います。 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :導電材料及びその製造方法 出願番号 :特願2012-190409 出願人 :名古屋工業大学ほか 発明者 :川崎晋司ほか お問い合わせ先 名古屋工業大学 産学連携コーディネーター 伊藤 TEL 052-735-5627 e-mail [email protected] 承子
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